だったら、誰かが自分の踊りをしてもらった方がいい
昔、大きなステージをこなし、世界的にダンサーとしての知名度が上がり始めた頃、NYCのクラブで躍り狂ってる時にこう言われたんだ。「イージョー、キミは有名人なんだ。あまり躍りを見せちゃダメだよ。」俺が「そんなことないよ。俺はダンサーだ。」って答えたけど
「このニューヨークで君のスキルを盗みたがってるやつはたくさんいる。だから見せすぎるのはよくない。」って言われた。
よくこんな風に周囲に言われるようになったけど、おれの踊りはオレが死んだら誰にもできない。だったら、誰かが自分の踊りをしてもらった方がいいって俺は思うんだ。オレのスキル、オレのスタイル、オレの全てのダンスを盗んでもらってもかまわないし、分け与えたい。どうぞ、持ってってかまわないよ。
今、日本人ダンサーはもちろん、世界中でオレをリスペクトしてくれている人がいる。多くの人が“イージョーは素晴らしい”って称えてくれる。誰かが真似するとか、ヒップホップとハウスはジャンルが違うから一緒に躍らない、とか、そういうことは全く関係ない。今も昔もジャンルによって、限られた視野しかないファインダーがあって、そのほとんどが目の前の本当に狭い部分しか見ようとしていないと思う。でもハウスはいろんな音楽ジャンルの組合せで生まれたものだから、世界をワイドに捉えられるんだ。
ヒップホップやブレイキンはバトルの精神から生まれたダンス。時に、敵対心を出したり、アグレッシブに、怒りを表現したりする。一方、ハウスはいろんな音が組み合わさった背景もあって、全てをつなぐ、ピースな踊り。他ジャンルに対してもオープンなんだ。ヒップホップも、カポエラもブレイキンも、サルサもジャズも何でもウェルカムだよ(笑)。
そうそう、最近、ハウスをやりたがるブレイカーが増えているんだ。
今NYにはヒップホップとハウスのクラブが主流なんだけど、ヒップホップのクラブにはブレイカーはなかなか行かないかもね。ヒップホップも強い踊りだから、ダンサー同士がバトルになっちゃうしね。でも、ブレイカーがハウスのクラブに来ると、みんながピースに音楽に合わせて躍ってる姿を見て、やってみたくなるみたいだよ。ハウスはサルサやカポエラ、ブレイキンにヒップホップが
それぞれ少しずつ取り入れられているから、フリースタイルに近いし、それがハウスの魅力だね。
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