SEVA(以下S):
もともと皆が“クランプ”っていう言葉が入ったヒップホップの一部としてやり始めた時に興味をもったんだけど、一時の流行りかなと思ってた。でもこの「RIZE」を見た時に、「タダの流行じゃないな。」って思った。映画にはトミーザクラウンのやってた「クラウン」とタイトアイズたちのやってた「クランプ」の2種類出てくるけど、その中で俺たちがひかれたのは「クランプ」の方。
クランプはすごく宗教と関連性があって、教会でお祈りの後にセッションを始めたりする。でも、俺たち日本人ははっきり言ってそう言うのはない。それでもその精神面にひかれたんだ。今までヒップホップをやってきたけど、それと比べると自分の中で精神のコントロールが違う。純粋にやってて気持ちいいね。見た目は怒ってるように見えるかもしれないけど、自分の気持ちを解放できる。一番純粋に自分の気持ちを出せるんだ。
PATO(以下P):
変なしがらみがあるようで、でも理屈じゃなくて、すごくシンプルなダンス。たぶん最初に“ヒップホップ”って言うダンスや音楽のカテゴリができ始めた時に回帰しているような感じがする。結局、体を使って自分を表現する、その原点に還ったのかなってオレは思ったよ。
S:
うん、原点に近いアフリカンダンスとかにあるような“泥臭さ”を感じる。ヒップホップダンスのシーンで進化してきた中で生まれてきたものだけど、でも一番底辺にあるダンスに近い気がする。結構若いダンスに見られがちだけど、年齢や女、子供に関係なく誰でもできる。でも“クランプ”って名前がある踊りだから、ある程度の形やリズムとかのルールはあるよ。 P:
でも、形じゃなくて精神的な部分でそう感じることがあって、ポップやハウスとか他のダンスを見てて、「あ、こいつらクランプしてるな」って思う時があるし。「今まで日本でクランプを見てきた中で、一番純粋にクランプしてるように見える」って言われたりね。
S:
周囲も俺たちのショウ見て、「あー、なるほどね。いいね!」って言ってくれるんだよね。レッスンも増えがちだけど、練習の代わりにバトルしたりするよ。バトルにもいろいろやりかたがあるのがおもしろい。例えば「スタミナバトル」っていうのがあって、それはいいバイブスを出しながら、スタミナが切れるまでバトルする、本場には「体重別」とかもあるし、「ハンディキャップマッチ」は、力があるヤツ1人に対して3人で戦ったり、子供対かなりファットなヤツとのバトルとかあるしね。そういうのが成立するのはおもしろいよ。
P:
RIZEに出てくるバトルゾーンでは、クランプvsクラウンが成り立ってたけど、クラウンはヒップホップ色が強いし、気持ちの表現の仕方が違うだろうね。両者の決定的な違いはそこだと思う。 S:
もともとは誕生日を祝ったり、手品をしたりするピエロから派生したものだから、クラウンはエンターテイナー寄りなダンス。クランプはアングラでギャング的なノリに見えるかもしれないけど、クラウンから生まれたものだし、ピースな部分を残しつつ、でも踊りの部分だけで確立させたいって思ったタイトアイズたちのクランプに分かれたんだ。クランプは、ヒップホップの一番いい要素が残っていながらも、新しいダンスだと思う。ヒップホップダンスはスタイルや音の違いによってバトルが成り立たなかったりするけど、クランプは「イェー!!」って盛り上がったら勝ち。“俺はこう言うスタイルが好きだから”とか、“1人で踊りたいから…”って言う感覚はなくて、常に人に対する踊りなんだ。
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