TDM - トウキョウダンスマガジン

HIDEBOH・own style (自分自身、自分流)
「FUNK A STEP」はRHYTHM TAPを基本とした、よりファンキーな色彩を加えたオリジナルスタイルである。音楽的にはTAPのオリジナルサウンドであるJAZZを基調としながらHIPHOPやSOUL、また時にはSAMBAといったリズム性の高い音楽を取り入れているのが特徴。これらのサウンドから体が感じ取ったフィーリングをTAPとして表現し、HIPHOP的な動きを加えて個性的なリズムムーブメントとして完成させたものである。 そんな、ダンススタイル作り上げてきたHIDEBOH氏にインタビューを試みた。
実際、FUNK A STEP という言葉はHIDEBOHさんが考えて作ったのですか?
TAPダンスは6歳のころからずっとやっていたんだけど、中学生の時、初めはDJになりたかったんですよ。MIXなんかしたりしてね。それで当時で言うディスコに通いながら、TAP以外にフラッシュダンスという映画に影響を受けてブレイクダンスなんかにも手をつけていたんです。その時に「どうして自分の好きな音楽とタップって合わないんだろう」と思っていたんですね。TAPとHIPHOPやFUNKを合わせる方向とかもあるんじゃないかと思って、19歳のころにNYに渡ったんですよ。そしてストリートダンスに影響を受けたんです。

ストリートダンスって言ったらリズムだから、ショウの形とかにとらわれることもないし、どんな踊りでも合うんじゃないかと思ったんです。それで僕はもともとファンクミュージックが好きで、FUNKでよく踊っていたんですね。HIPHOPのもとになっているものとか。もちろん僕も、JBとかから入ったんですがね。じゃ、僕のダンスは、新しいステップを作って、FUNKで結構やっているから、FUNKでやるSTEP。だから、「FUNK A STEP」って名付けたんです。僕は、「FUNK A STEP」っていうのはどちらかというとステップの名前ではなくてHIPHOPとかHOUSEなどと同じように、ジャンルの名前だと思っているんですよ。カルチャーにしたいという思いがあるからね。TAPっていうのは元からあるものでしょ。ニュアンス的には、それを現代の人が改良して、今のリズムやニュアンスやスタイルを持たせたTAPダンスにした踊り。ブロードウェイスタイルではなくてRHYTHM TAPの流れが変化した、現代的なもの。「FUNK A STEP」というものができたのは1998年ぐらいで、もちろんそれに先駆けることはずっとしていて、NYに行った19歳ぐらいからずっと「FUNK A STEP」の元になるような踊りを作っていんだけどね。
HIDEBOHさんのダンススタイルのルーツは?
タップダンスのイメージってショウ向けのブロードウェイスタイルというものだと思うんですが、もうひとつ、RHYTHM TAPってものがあって僕はそっちのほうのスタイルなんです。RHYTHM TAPというのは、奴隷制のときに船の甲板の上で木の靴を履いて踊っていて甲板の木と打って音を鳴らし踊る、体ひとつで踊れるよっていうものです。タップの中でもショウみたいに見せるブロードウェイスタイルではなくて、もともとのアフリカアメリカンのストリートダンスがRHYTHM TAPなんですよ。それが1930,40年の話なんだけど、それがどんどん進化していって、日本にも1950年ぐらいにいろいろな形で入ってきたんです。22歳の頃ですね、グレゴリーハインズの師にあたるヘンリールタンに弟子入りしたのは。そこでリズムタップの世界に、ドバッと入ったのがルーツですね。
両親がTAPの世界にいて、自然的にTAPダンスを始めたと思うんですがそれに対しての抵抗はなかったですか?
よく聞かれますね(笑)。僕は、6歳からTAPダンスをしているのですが、ちっちゃい頃はね、遊びたいし、学校のクラブ活動とかもしたいでしょ。やっぱり友達とかと遊べなかったりするのがつらかったな。親父が、TAPにはものすごくうるさくて、「TAPのレッスン時間に遅れるぐらいだったらクラブ活動をやめろ」って言う人だったからね。だから、「中学に入ったらタップはやめる」って言ってました。僕は、野球選手になりたかったんですよ。でも、実際中学に入ってみるとね、今までずっと続けてきたものってTAPしかないなって思って、自意識も出てくる年頃だったのもあって結局やめなかった。親父は芸ごとにはうるさくて、もう、生き方が芸人だったね。良いところ悪いところもひっくるめてすべて尊敬していますよ。それで、親のTAPの舞台出演するうちに中学高校ぐらいでバンドをやり始めたんだよね。
なぜバンドなんですか?
もともと歌を習ってたんだけど、音楽を知らないで踊りばっかやっててもカウントでしか踊れないし、歌や楽器のフレーズで踊れるようにならないとダンスはどうのって言う話もしてたりして、だから僕らの踊りは簡単に言うと足のパーカッションなんですよ。カウントだけで投げかけてても心にはこないでしょ。手のパーカッションでもそうでしょ。強いところとか弱いところとかがあって心にくるものがある。それを体で作り上げているような感じだね。

「ファッション感覚で音楽もやってるんです」って言うことではなくて、やっぱり音楽って、音を楽しむって言うぐらいだから、様は音楽が好きで追求していきたいということですね。音楽があってダンスもあるし、音楽に触発されて踊りたくもなる。ストライプスでノリヤスっていうヤツがいるんだけど、うちにミュージシャンがいるっていうのはそういう理由もありますね。
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