TDM - トウキョウダンスマガジン

bjリーグ 〜 バスケットボール×エンターテイメントへの挑戦 〜
東京アパッチ・ダンスチーム / 高松ファイブアローズ・アイザック・ソジャナー
bjリーグ 〜 バスケットボール×エンターテイメントへの挑戦 〜 東京アパッチ・ダンスチーム / 高松ファイブアローズ・アイザック・ソジャナー
2006年にTDMで紹介した日本初のプロバスケットリーグ「bjリーグ」のことを覚えているだろうか?まだまだ認知度は高いとは言えないまでも、過去2年の間でチーム数も増え、ファン (ブースター) のサポートと共に、エンターテイメント性のあるプレーとド派手なパフォーマンスで盛り上がりつつある。

今シーズンの「東京アパッチ」ホームゲームの土曜日を担当するのは、一般オーディションによって選ばれたダンサーたち。今回はその東京アパッチダンスチームダンスディレクターの丸田えり子氏とダンサーのERINAさん、そして、選手サイドの視点から、「高松ファイブアローズ」のアイザック・ソジャナー選手にインタビューを行った。




丸田えり子

1974年8月17日生まれ。東京都出身。中学高校時代は器械体操、大学でチアダンスに出会い国内の大会で優勝、全米選手権で2位の実績を持つ。97年に大学時代の仲間とチアダンスをメインにしたダンスチームを設立。ダンサーとして多くの大会やイベントに出演するとともにダンスインストラクター・振付師として活動する。現在日本チアダンス協会理事・ダンスディレクター。bjリーグ東京アパッチダンスチームダンスディレクター。
TDM

まずは丸田さんにお伺いしていきます。そもそもチアのご出身ということですが・・・

丸田

丸田えり子はい、私はチアリーディングではなくチアダンスになります。チアダンスはチアリーディングの中のダンスの要素だけで構成されている競技なので、派生は同じなんですけどまた違うものなんです。アメリカでも応援するためにピラミッドを組んだりするチームと、ダンスだけをやるチームっていうのは分かれていて、競技として、規定自体が違うものなんです。

TDM

初めて知りました!もともとチアダンスから入られたんですか?

丸田

私はもともと、中学校・高校と器械体操をやっていたんです。体を動かすことが好きで、小さい頃からバリバリの体育会系です (笑) 。それで、体操も活用できて、ダンスもすごく好きだったので、それが融合しているのはチアリーディングだと勝手に思っていたんですが、大学で今のチアダンスに当たるソングリーディング部での先輩たちを見て、いろんなダンスができてかっこいいなと思い、のめりこんでいったんです。ちょうどそこには、現在、東京アパッチのチームアドバイザーでもある三田智子さんもいらっしゃいました。

TDM

ちなみにチアダンスのスタイルは主にジャズになるのでしょうか?

丸田

ジャズだけでなく、まず、基本となるポンダンス (Pom Dance : ポンポンを持って踊るダンスの造語) の動きがあって、ジャズとヒップホップが融合していないとだめなので、全部が踊れないといけない。となると、チャレンジ精神がわくじゃないですか (笑) 。そんな感じで選びました。

TDM

バスケに限らず、いろんなスポーツに対して応援するという意味での“チアダンス”ですよね。ストリートダンサーは“応援するために踊る”という感覚になじみがないのですが、どういう意識で踊っているのですか?

丸田

基本的に全部がお客さん・オーディエンスのためというか。振付ひとつとっても、自分の内に入り込んで気持ちいいと思うよりは、お客さんにそれをアピールする振付になるので、自ずと体の使い方も変わってくると思うんですけど…。アームモーションとかもチアは決まった動きがありますし…でも、今回のアパッチさんにお願いされているのは、どちらかというと、こういったチアの要素ではなくダンスだったので、正直、最初はどうしようかなと思いましたけど (笑) 。bjリーグの全国のチームにもそれぞれチアチームはあるんですが、東京を代表するチームのチアなので、他とは一線を画す、クールにかっこいいダンスでの応援になっています。

TDM

今回はどういったコンセプトで担当されることになったのですか?

丸田

丸田えり子東京アパッチと、ホリプロの共同プロジェクトによって企画されたチームで、チームアドバイザーを務めている三田智子の後輩に当たるということもあって、ダンスの部分を私が担当するという形で頂いたのですが、全体的な脚本や演出家がいるので、一緒に創っています。 テーマが“魔法”で、ドラッグクィーンがダンサーたちに魔法をかけて、ダンサーが操られるように華やかに踊って、会場を沸かせ、チーム自体を盛り上げていくっていうコンセプトです。なので、例えば、衣装の早脱ぎなどで、魔法にかかっているような演出をしています。

TDM

我々TDMもこれまでbjリーグの取材をしている中で、スポーツとエンターテイメント性の重要性を意識しているリーグなのだと思うのですが、その重要性をどう感じていますか?

丸田

私も今期からbjリーグに関わった身なので、特に、東京にあるアパッチというチームに関してかもしれませんが、バスケを観るにあたって、試合に付随していろんなイベントをやっています。バスケだけがメインではなく、「会場で何か面白いことやってるよ」とか、「じゃ、休日にゲーム観にいってみる?」って思えるような一般のお客様に向けて創り込んでる部分もあるんですね。なので、「土曜日の夜、クラブに行こうよ!」みたいなノリで、この有明コロシアムに来て、ゲームを観て、ダンサーを観て、美味しい物を食べて、かっこいい音楽に乗って…っていう空間を楽しんでくれたら嬉しいです。そのプラスアルファとして、「みんなを有明に呼んじゃおうよ!」みたいな心意気が、アパッチには特にあるんだと思います。
TDM

アパッチの選手の中にエンターテイメント性を感じる人はいますか?

丸田

ヘリコプターさんですね。まだそんなに交流があるわけではないので、ゲーム上でのプレーしか観ていないんですけど、観ていてすごく自分が楽しんでいる姿というか、一生懸命プレーに入り込んでいる姿がエンターテイメントというか…なんて言うのかな。プロを観ている気がすごくするんですよ。もちろん、お客さんにサービスするっていうのも大事だと思うんですけど、すごく入り込んでいるので、 (選手紹介での) 花道とかでも、逆に歩いてきちゃったりとか (笑) 。彼ならではの個性が発揮されるので、それがすごく意図していないエンターテイメントって感じで、かっこいいなと思います。

TDM

オーディションをされたということですが、選んだポイントは?

丸田

コンセプトが決まってはいたんですけど、徐々に作り込んでいく作業もあったので、当初はアピールできるダンス力というかスキルと、ビジュアルももちろんありますし、あと、“何かを持ってる感じ”の子というか、そういう点を見たつもりです。

TDM

なるほど。今回合格された子たちはどんな感じですか?

丸田

丸田えり子今回の子たちはですね、ちょっと、やっぱり募集の時にダンスチームとはあったんですが、チアだと思っていた子もいたんですね。なので、今までチアとかバレエは経験あるんだけど、ヒップホップは初めて…とか、みんながひとつ必ずこれをやっている共通のものがないというか。今回求められているものの中にヒップホップはあるので、そういう部分で難しい部分は正直あります。

TDM

実際にそうした構想で産まれたものを、合格したダンサーたちに具体的に落としていかれたのだと思いますが、その過程で、難しかった点は?

丸田

メンバーの中には、チアへの憧れがあったり、バレエはできるけど、ヒップホップを踊れない子たちもいるので、そういう子たちにヒップホップの心を教えるっていうのは難しいかもしれないけど、ヒップホップ独特の音の取り方から一から教える部分はありました。たとえ、振付を教えたところで、人前にもっていける出せるレベルかっていったら、それには訓練が必要だと思うんです。そういう心はすぐには身につかないですし。そういったスキルの部分を整えていくのは難しいかなぁと思いました。もちろんヒップホップが得意な子もいるので、いかにその子たちを例えばソロパートなどで目立たせて、輝かせるか、他のみんなも周りで楽しくするのか、っていう調整が今回ありました。

TDM

丸田さんも普段は踊られているんですか?

丸田

現在二児の母なので、そちらからは遠ざかっているんですけど、もともとチームでクラブやコンテストに出たりしていました。「ダンディラ」 (=DANCE DELIGHT) や、自分は出ませんでしたが「RAVE (2001) 」 にも挑戦していましたね。プラス、チアダンスの競技もやっていたんです。

チアダンスでもヒップホップとかジャズとかを真剣に習ってるってことを知って欲しいんですよね。

TDM

今後の展望などはありますか?

丸田

私個人としては、チアダンスの普及として、大会を運営したりする役目はあるんですが、それ以外では、ダンサーとして、指導者として、チアダンスを教える自分もいつつ、パーツとして入っているジャズとかヒップホップをさらに勉強して、パフォーマンスをするという二本の道がくっついています。

TDM

bjリーグ、つまりはバスケットボールにチアという要素が必要だということで、東京アパッチとの融合となった時に、丸田さんの力が求められたんだと感じました。4月までの残りのシーズンでこのダンスチームをどうしていきたいですか?

丸田

さっきも言いましたが、応援をするダンサーなりチアリーダーというのは、必ずスポーツには必要だと思うんですね。ハーフタイムなどでのパフォーマンスで踊ることで、観客のみんなさんを盛り上げる役目は絶対に必要。それが、チアリーダーなのか、ダンサーなのかっていう垣根や違いは、お客さんからすればわからない部分があると思うんです。例えば、ポンポンを持つっていうイメージがあると思うんですけど、それはそれでスタンダードであって、でもそれ以外にも、今回のアパッチのダンスチームみたいに、ポンポンを持たなくても、いろんなジャンルのダンスが踊れますよ、応援する心をアピールしてますよ、みたいないろんな種類のチアリーダーがいて、いろんな応援のスタイルがあるということを、このアパッチで表現できればいいなってすごく思うんですよ。

丸田えり子しかも、この演出では、チアリーダーだけじゃなくてドラッグクィーンなんかが出てきちゃって、台詞をしゃべったりして、「こんなのありなの!?」って感じで、まさにエンターテイメントだと思います。それがスポーツと融合しているひとつの形としてすっごい面白いと思います。

TDM

では、実際に見事合格し、今アパッチのダンサーとして踊っているERINAさんにお聞きします。今まで数ヶ月経験してみて勉強になったことはありますか?

ERINA

私は主にクラブのショウタイムをしていて、今までチアの経験はまったくしていなかったんですけど、アパッチはそこまでチアではないですが、お客さんがいて、お客さんに「一緒に応援しよう!」って伝える状況が初めてで、最初は正直どうなんだろうなって自分自身思いました。声も、ダンスしかやったことがないので出しづらくて、「イェー!」とか、ホントにどうしよう!って思ってたんですけど、今は楽しいです。

TDM

ERINAさんの普段のスタイルとの違いってどういうところですか?

ERINA

ERINA今はジャズをメインにやっていて、最近はヒップホップもやっているので、踊りはなんか近いなっていうのがあるんですけど、やっぱり表情が違いますね。顔とか表現が大きく違うかなって個人的には思います。クラブとかでショウタイムを踊るのと違って、笑顔で踊って、っていうことなので…。あとは体のことは気にかけています。ボディラインっていうんですかね。いつも必ず毎日鏡を見て「これなら人に見せられるかな」って… (笑) 。

丸田

ちゃんと説得力のあるかどうか見なきゃね (笑) 。でも、そこはダンサーの基本だと思います。

TDM

もともと何をきっかけに今回の話を知ったんですか?

ERINA

スタジオに貼ってあったんですよ、オーディションの紙が。それで、普段CHOCO BALLのRIKAさんに習っているんですけど、3年前にRIKAさんが (東京アパッチのダンスチームを) やってるのを見ていたので、今回の募集を発見した時に、「アパッチ受けてみようと思うんですけど」ってRIKAさんに相談したら、「うん、受けなよ〜」って (笑) 。今度観に来てくれるって言ってました。

TDM

前回のインタビューでまさにそういう若い世代に影響を与えられたら嬉しいって言ってたけど、まさにその通りになったわけですね。では、お二人に共通の質問ですが、ダンサーとしてお客さんを魅了するという点でどういうことを心がけていますか?

丸田

丸田えり子月並みな言葉かもしれないですけど、自分自身が楽しむことです。自分が楽しむまでの精神状態に持っていくのって、すごくいろいろ必要だと思います。ただ、10人でも100人いても、箱が大きくても小さくても、そこのお客さんの前で自分自身が楽しむためには、当たり前ですけど、振りを完璧に覚えられるとか、基礎をちゃんと身に付けるとか、表情の一つ一つまで決めて鏡の前で練習するとか、結構そういうちっちゃい努力が実は必要で・・・。

もちろん自由に楽しむことも必要なのかもしれないんだけど、やるべきことをやった上で、初めて土台に立てるというか。結局ダンサーが気持ちよくなかったら、観てるお客さんも気持ちよくない。無理して演じる必要はまったくなくて、自分自身が最高の演技をすれば、お客さんは応えてくれるというのが自分の考えですね。チアダンスも同じで、心からちゃんと練習してきて、音に乗れて、楽しかったら自然に笑顔が溢れると思うんですよ。

それでも、自分を余裕のあるポジションに持ってくのってなかなか難しいんですよね (笑) 。そういう自分のモチベーションをあげる努力っていうのは、自分も常に怠らずにいきたいなって思います。

ERINA

自分はダンスの波が結構あるんですけど、結局諦めないことだなと思って。何回も「あ〜…」って落ちる時があるんですけど、でも結局やっぱりダンスやりたい!って思っちゃうんですよ (笑) 。結局はダンスが好きだから、ずっとやっていくんだと思います。

TDM

最後にダンサーに向けてのメッセージをお願いします。

丸田

ダンスをエンターテイメントとしてダンサーの子たちが頑張っているので、是非とも生で観に来てほしいです。生で観てはじめてわかることも多いと思うので。バスケの試合ももちろんそうだけど、ダンサーの子たちの頑張りも観に来てほしいかなって思います。ジャズやバレエやヒップホップやチアとか、いろんなダンスの種類をやっているので、これからダンスをはじめる子たちも、いろんなダンスを観に来てもらえればなって思います。

ERINA

確かに自分が普段やらない踊りができるので、すごい楽しいです!もしできないテクニックがあると悔しくて、「あ、バレエちょっとやりたくなっちゃった」ってなったりもしたりするので、とにかくいろんなダンスを学べて、私たちもすごい楽しいので、観てる人も楽しんでくれると思っています。

TDM

ありがとうございました!残りのシーズンも頑張ってください!
'08/02/22 UPDATE
interview by AKIKO
Photo by AKIKO & imu

協力・写真提供 by 東京アパッチ
東京アパッチOfficial Web Site
12Next →
関連Topics

[Present] 東京アパッチ対戦試合観戦チケットプレゼント!
[Present]
東京アパッチ対戦試合観戦チケットプレゼント!


いよいよ4月に今シーズンのファイナルを迎えるbjリーグ。残りの東京アパッチの対戦試合観戦チケットをTDM読者にプレゼントいたします!アパッチダンスチームも生で観れるチャンス!
[PEOPLE] bjリーグ 東京Apache (アパッチ) 専属ダンサー[J-rome]メンバー MIHO BROWN & RIKA
[PEOPLE]
bjリーグ 東京Apache (アパッチ) 専属ダンサー[J-rome]
メンバー MIHO BROWN & RIKA


(Update:06/03/31)
2007.07.20 (Fri) WORLD WIDE SUMMER PARTY 2007
[PEOPLE]
bjリーグプレイオフ開幕直前スペシャルインタビュー
MIHO BROWN×仲西淳×ヘリコプター


(Update:06/04/21)


Back Number