TDM - トウキョウダンスマガジン

Zeebra with NATSU 〜 Always Fresh!! 〜
Zeebra with NATSU 〜 Always Fresh!! 〜
ヒップホップアーティスト、“Zeebra”がついにTDM初登場。2014年1月のWORLD WIDEで、ダンサーNATSUをディレクターに迎え、GOTO、MAYUの振付の元、オーディション通過ダンサーたちとライブを披露してくれる。マイクから常にアグレッシブなメッセージを放ち、今なお進化し続ける彼にとって、ダンスは切っても切れない存在だった。今回も、ディレクターを担うNATSUと共にWORLD WIDEに対する意気込みと自信、そして、これからのダンスシーンへのメッセージを語ってもらった。

Zeebra●Zeebra

2013年にラップ活動25周年を迎えた不可能を可能にする説明不要のヒップホップ・アクティビスト。常にトップの座に君臨し続け、常に上のレベルを追求する姿勢に共感を覚えるリスナーも数知れない。その音楽性の高さや技術、スマートなスタイルと存在感により、男女を問わずリスナーの間でカリスマ的存在となっている。また、他のアーティストからの信頼やリスペクトも厚く、自身の作品に加え世代やジャンルを超え、数多くの客演も行っており、昨年には客演作品を100曲収録した「100 Feat. 〜Zeebra 25th Anniversary Box〜」を発売した。

最先端のビートと最高峰のラップスキルが詰まった8枚目のオリジナルアルバム「25 To Life」が絶賛発売中!! http://www.zeebra.jp/


NATSU●NATSU

香川県出身。1995年結成のCRiB(クライブ)のメンバーであり、日本を代表するDJ KAORIのダンサー。Double、Zeebra、AIなどのBIGアーティストをはじめ数多くのアーティストのツアーダンサーや振り付け、PV出演の他、TLC、USHER、CHRIS BROWNをはじめ数多くの海外アーティストとの共演を果たすなど、アンダーグランドでは日本のガールズヒップホップのパイオニア的存在としてシーンを牽引。その他、映画出演、モデル、デザイナー、インストラクター、LIVE演出のディレクター、イベント企画、ブッキング、プロデュースなどダンサーとしてできる事のすべてを総称してダンスクリエイターとして活動中。
http://ameblo.jp/natsu918/

Zeebra with NATSU 〜 Always Fresh!! 〜

自分の感覚を1番はじめに受け入れてくれたのはダンサーかな。

TDM

前回のWORLD WIDEでの演出が好評で、Zeebraさんから再度、NATSUちゃんにディレクターの依頼がありましたが、今回もお願いすることができて本当に嬉しいです。

NATSU

こちらこそ、光栄です。

Zeebra

よろしくお願いします。

TDM

前回のWORLD WIDEをやってみて、どうでしたか?

Zeebra

Zeebra俺は、昔からああいうエンターテイメントは好きなんだよね。WORLD WIDEは間口も広いから子どもでも楽しめるし、普段伝わらないところにも伝わるものもあると思うから、こういうエンターテイメントを俺はすごく大切だと思っている。

ヒップホップでも、アンダーグラウンドなラッパーはたくさんいる。でも、アメリカのメインストリームは大きなところでバーン!とやって、そこではダンサーもたくさん出てくる。そういうところでやれる機会がある人は、どんどんやっていった方がいいと思うし、俺は基本的に大好きだね。

NATSU

最初はそういう感じじゃないのかなと思っていたから、WORLD WIDEの出演のお話を聞いて一瞬ビックリしたけど、すごく嬉しかったです。

Zeebra

俺がまだキングギドラでデビューする前に、元々ダンサー畑のDJのKEN-BOにくっついて、ダンサーのパーティーでMCをやってたんだよ。それからMAIN STREETにも呼ばれるようになって、ライブをやらせてもらったり、司会までやらせてもらったりするようになっていたから、ダンサーの友達もいっぱいいたし、自分の才能みたいな感覚を1番初めに受け入れてくれたのはダンサーかなって気がしてるよ。

ラッパー同志はある意味、商売敵というか、バトルやビーフもあって、いい意味で、ライバルの関係でもある。当時は、斉藤くん(LUKE)とか、CAPとか、あの辺と仲良くなって、ダンサーのみんなと毎日のように遊んでいた時に、いろいろ見えてきたものがあったなって思う。

LUKE, CAP:
どちらもZOOのメンバー。


あとは、当時すでにラッパーとして活動していたアキラくん、つまり、CRAZY-Aさんとの出会いかな。アキラくんとは、当時俺が10代でDJをしてる時にはじめて会った。といっても、挨拶しただけなんだけど、俺はテレビで見たことあったから知ってた。ある時、俺の友達とアキラくんが話してた時に紹介されて、「こんにちは。」って言ったら「よっ。」って感じで、“いきなりかまされた!”と思ってさ(笑)。でも、その感じがなんかBig Daddy Kane (ビッグ・ダディ・ケイン)みたいだなと思った。それが、日本のラッパーというCRAZY-Aとの出会い。俺もラップはしていたけど、まだラッパーとしての活動はしていなくて、でも、アキラくんはCRAZY-A&THE POSSEの活動をやっていたからね。

その後、ダンスイベントの現場では必ず最後にアキラくんが出てくる時期があったから、よく会うようになって、一回2人で飯食いながらお互いのことを話してた時に、“俺は、もしかしたらこの人のやってきたポジションを、受け継ぐのかな。”って思った。

ダンスも含めた、ヒップホップっていう全体を背負うのかな。ラップも含めて、ストリートのヒップホップをこの人は背負ってきたんだな。もちろん、高木完さんとか、いとうせいこうさんとか、文系なヒップホップもあるんだけど、こっちの部分はアキラくんが背負ってきたんだなと思った。

あとダンスに関することと言えば、一時期Rock Steady Crew にMCとして入っていたこともあるし、あと、FIRSTKLASっていうユニットをDJ KEN-BOと俺と今井了介とやっていた時に、俺らが考えていたことは、ヒップホップとR&Bとポップスの融合だった。それをどうやるのが一番いいかと言ったら、ダンスだったんだよね。

KEN-BOがフロアを意識した音楽を作って、日本の音楽界に新しいエッセンスだったヒップホップをR&Bと絡めるというので、安室ちゃんやEXILE、BoAちゃんをやったりしたのはその時。当時、自分が出したアルバムでは、HIPNOTIC BOOGIEをダンサーとして付けたり、毎回全ライブをダンサー付きでやってた。

その前に出していたアルバムは、ストリートを見せなきゃいけなかったのもあって、“不良イズム”の方が前に出ちゃったからハードになり過ぎたところがあったと思う。だから、その次はグッとエンターテイメントに寄ったんだよね。

そんな感じで、俺が何からスタートしたかっていったらダンス。だから大好きです!(笑)。

TDM

いや〜、嬉しいですね。

NATSU

だから、踊れる音が多いというか。ダンサー周り特に反応しますよ。

目の前に鏡を置いてください。俺が観たい!(笑)。


TDM

WORLD WIDEに向けたリハーサルはどんな感じですか?

NATSU

みんな、オーディションで踊った曲でもテンションが上がってくれていて、「これで踊りたいです〜!」って感じで(笑)。

Zeebra

Zeebra俺がいつも思うのは、本番で“目の前に鏡を置いてください!”って感じ。俺が観たい!(笑)。後ろにも目が付いていたらいいのになって、すげーそう思うんだよね。

NATSU

なるほど!DVDじゃなくて、生で観たいですよね。でも、出ちゃうと見れないのはしょうがない(笑)。

単体のライブだと、ラッパーとして好きなファンがメインだけど、WORLD WIDEって子どもから大人までいるから、そこの反応が楽しみ。ジブさんを「怖い人だと思っていたのに、すごく聴きやすい!」みたいな(笑)。そういう場でパフォーマンスできるのは貴重ですよね。

Zeebra

今回、ラッパーも若い子たちを連れていくので、奴らにも勉強させたいし、楽しさをわかってもらいたいね。俺が連れてく連中は、怖くないし(笑)、これからのシーンを背負っていく世代だから、次の世代でもダンサーとのコラボも増えていったらいいと思って、声かけさせてもらったよ。

TDM

NATSUちゃんは曲を聴いて、どういうところから、イメージを作っていきますか?

NATSU

曲のタイプはいろいろあるんだけど、王道で踊れるスタイルには王道な音のフロウがあるから、そこはミスマッチにしないようにしてます。重いビートをとった振付とか、軽い音には、流行りの早いステップを入れたりとか。

観ている人もずっと同じスタイルだと飽きるし、せっかくいろんな楽曲があるから、それに合わせて創らせてもらっています。任せてもらってありがたいです!(笑)。

Zeebra

今回のアルバムに関しては、一曲一曲ですごく表情を変えて録っていて、ヴォーカルも自分でやってるから、ビートがあと乗りなら、あと乗りでラップしてるし、ジャストならジャストでとるし、そういうのが曲ごとに違うと思う。それを聞いたら乗り方も変わってくるはずだから、あんまり心配してないというか、もう、お任せって感じ(笑)。

NATSU

アルバムのオープニングの曲って「オープニングだな!」って感じの作り方、踊り方になるし、最後の方にくる曲もそういう感じになっているので、ライブでもそういう流れがあって、気持ちいいですね。

Zeebra

そう、曲順って、ライブやDJ、映画でもそうだし、世の中もそういう流れががあって、それが頭の中でもできて作るから、結局、1曲目は1曲目っぽいよね!ってなりやすいね。それがまた、何度もやってマンネリ化してきた時に、変えてアレンジするのはアリだけどね。

なっつんがディレクターだから、なっつんの作品になっていい。


TDM

Zeebraさんは音を作る時と、ライブやDJ、いわゆる空間を作る時で、自分の中の刺激はさまざまですか?

Zeebra

そうだね。まず曲を作る時に、ライブをする時のことを考えるのは一番あるパターンだと思うんだけど、それと同じくらい、クラブでかかった時のことを考える。どちらも同列でいつも考えるね。

たとえば、デモテープを家で作るとして、当時ならDATとか、そういうできる限り良い音質で録って、クラブでかけてた。だから、「全然音が違うな」ってすぐ気づいたし、俺はずっと現場でいろいろやってるからね。あと、一番はじめにできたレコードを、洋楽のヒップホップとつなげてかけた時に、「あれ?なんか、ここの低音が足りないな。」「歪み過ぎて聞こえないな。」っていう問題とかをいっぱい経験してるから、“フロアで鳴った時にどうなるか”を事前に考えながら作ってるよ。

そうすると、「だいたいこの曲は朝の4時くらいにかかると調子いいな。」とか、「これは別にクラブじゃなくても、ドライブしてる時に聞いてほしいな。」とか、そういうシチュエーションもイメージできる。

ライブをする時は、ひらめきで流れが決まったりもするけど、これは俺が常に思っているんだけど、PVって自分の作品ではなく監督の作品だと思ってるんだよね。誰かにリミックスを頼む時も、自分の曲を誰かに振ったら、あとはリミックスした人の作品だと思ってる。というのも、ここで俺があーだこーだ言ってブレるくらいだったら、やらない方がいいし、だったら、“共作”と言った方がいい。だから、俺はやっぱり誰がその場のボスなのかをバシッと決めた方がいいと思う。

Zeebra今回のWORLD WIDEでのライブはなっつんがディレクターだから、ある意味なっつんの作品になっていい。だから俺も丸投げができる。もちろん、アイデアとかは俺も言うけど、最終ジャッジはそっちで決めて欲しいと思っている。やっぱりボスは1人でいいなと思ってるからね。

NATSU

「ダンサーが俺の曲を使って踊るところに、俺が登場する感じでいい。」って言ってくれたんです。それって・・・すごく、嬉しいじゃん!(笑)。いつもはアーティストをバックアップする側のダンサーたちが、逆の目線で言ってくれるのは、ありがたいと思った。

Zeebra

あと・・・これ言っちゃうと、ダンサーからの好感度アップしまくって気まずいくらいなんだけどさ(笑)、ステージでのラッパーとDJの関係ってあるよね。俺がZeebraという名前でライブをするに当たって、今はDJ YOSSYが必要不可欠。俺が1人でDJして、音をかけたら、前に出てから歌ってカッコつけるわけにもいかないわけじゃん(笑)。そういう意味でも絶対に必要不可欠で、奴がミスったら、俺のショーもダメになるけど、奴が頑張ってくれれば良くなる。野球のポジションみたいなもんだよね。ピッチャーが1人で外野まで走ってボールを取りにいけないし。俺が本当に思うのはダンサーもショーというエンターテイメントのポジションを持っている。

ダンサーの友達がいっぱいいるからってのもあると思うけど、ダンサーを付属品みたいな風に扱うのは俺は納得いかなくて、そうじゃない付き合いをしてるつもり。

NATSU

アガるー!!!(笑)。

Zeebra

アゲるぜ(笑)。

NATSU

本当にそういう感じで「もっとダンサーがダンスを見せればいいんじゃない?」って言ってくれて、すごくダンサーのことを考えてくれてると思います。

Zeebra

ま、今度のWORLD WIDEの本番を観てもらったら、もっとわかってもらえるかな(笑)。

ダンスがなかったら俺はヒップホップに入らなかった。


TDM

Zeebraさんはダンスを、どういう風に捉えていらっしゃいますか。

Zeebra

たとえば、自分の好きなタイプの曲を聴いたら、自然に身体がその曲のリズムやグルーブに乗っちゃう自分がいる。その瞬間に、それはダンスだから、“踊る”っていうことに対しては、ものすごく普通の動作であって、当たり前のものだと思う。

うちの子どもたちも、1歳になる前から、音楽をかけると踊ってたわけで、リズムに対して体を動かすのは、人間が食べるとか、寝るとか、そういう普通の動作のひとつなんだよ。活発な子はダンスをどんどんやると思うし、そうじゃない子もいるかもしれないけど、俺はどちらかといえば活発な子だったから、子どもの頃からそんなことをずっとやっていて、はじめはブレイクダンスでヒップホップに入った。その前は、Michael Jackson (マイケル・ジャクソン) のマネをしてたよ。

小学生くらいで洋楽にハマった時に、はじめはTOP40を聞いていた。当時は、ヘビメタとかが流行っていたんだけど、ティーンエイジャーはそっちに走りやすかった時代で、でも俺は、マイケルとかPrince (プリンス) とかを見てた。プリンスはステージの真ん中で、James Brown (ジェームス・ブラウン) みたいに超踊るし、そういうのを見て、「かっけーな!」と思っちゃって、どんどん惹かれていった。みんながヘビメタを聞いてたけど、俺はダンスミュージックを好む人だったのよ。

そこからブレイクダンスに出会って、ヒップホップが楽しくてしょうがなくなっちゃった。もちろんニュージャックスウィングが流行った頃は、いろいろやってみようとしてたし、周りも当たり前のようにやってたからね。

17歳くらいの時に、六本木でDJはじめて、その当時はBobby Brown (ボビー・ブラウン)も流行るか流行らないかぐらいだったから、俺がDJでかけても、みんな全然踊ってくれないし、ユーロビート大好きだし、「困ったなぁ。」みたいな状況だった。俺はその時、毎週金土に六本木にあったJ TRIP BARで、ハウスのDJとユーロビートのDJと俺とで1時間ずつ回してたんだ。

その時はアメリカのヒップホップレーベルで Def Jam(デフ・ジャム)が盛り上がりはじめていて、Public Enemy(パブリック・エナミー)の2枚目が出た頃だったから、向こうではヒップホップが盛り上がっていたんだけど、日本ではほとんどの人が一切見向きもしてなくて、俺がかけたら、LL COOL J (LLクールJ) もわかってくれなくて、「これはキツイわ。」と思ったところから、“じゃ、どうやっていこうか。”と考えたね。

ヒップホップが好き過ぎてニューヨークに行ったんだけど、そこでいろいろ聞いて、向こうのラジオのKISS FMでかかってた、Tony Humphries (トニー・ハンフリーズ) の少しブラックなハウスをチェックして、レコードをゲットして、そういうのからヒップホップからハウスにつないでいって、Todd Terry (トッド・テリー) とかかけて、そこから、だんだんBig Daddy Kaneのテンポが早いのにつないで、そこからバン!と落として・・・

そんなことをやってるうちに、Bobby Brownが流行って、「キマシター!!」ってなって、学生サークルみたいな常連たちが「今までもずっとかけてましたよね!早かったっすね!!」って言ってきて、それから俺がスターDJみたいになって、19歳くらいまでは、学生のパーティーに呼ばれてDJをしていた。

そういうのがもともとあったから、ダンスが当たり前のように周りにあった。渋ジェイ (渋谷ジェイトリップバーの愛称) で回してた時があって、当時は風営法で1時までしか営業できなかったから、夜8時から1時までの5時間を俺ひとりでDJするっていうイベントがあって。もう、マジでキツイんだけど(笑)。でも、そこにダンスレッスンのコーナーがあったから、そういう面でもすごく身近だった。

あとは当時の黒人ディスコに行っていたから、フリースタイルの時間に自分も参加したり、黒人の友達も踊ったりしてた。本当にダンスは普通なもので、ヒップホップにはダンスがなかったら俺は入らなかったね。

TDM

そうだったんですね。ダンスが軸というか、ベースにあったものなんですね。

Zeebra

そうそう。ヒップホップとしてハマった後に、メッセージにぶつかった感じ。音と、感覚と、自分が参加することから入るタイプだった。

Zeebra with NATSU 〜 Always Fresh!! 〜

やっぱり、クラブは“踊ってナンボ”。


Zeebra

俺はどちらかと言うとオールドスクールなんだよ。たとえば、Big Daddy Kaneがダンサーと一緒に踊っちゃうライブを観て俺は育ってるから、ダンスがヒップホップのライブで一緒になってて当然だと感じるのは、オールドスクールなのかもしれない。

今のアメリカの若い子たちのPVにはダンサーも出てくるけど、ステージでしっかりダンサーとのコラボレーションがやれているかって言うと、なかなかそこは難しい。本当に大きなP. Diddy (Pディディー) くらいのステージを用意すれば、やれるんだけど。どっちかと言うと、Justin Timberlake (ジャスティン・ティンバーレイク) とかR&Bアーティストの方がそういうことをちゃんとやるじゃん。そういうコラボレーションはもっとあっていいなと思ってる。

ちょっと前だけど、Missy Elliott (ミッシー・エリオット) もすごくダンサーとのコラボをやってたじゃん。俺はああいうのが大好き。そういう意識で俺もやってるんだよね。

TDM

そういう取り組み方、捉え方をダンサーのみんなにわかりやすく伝えられたら、それはすごくありがたいことですし、みんなにとってもクリアなインフォメーションとして伝わって嬉しいと思います。

NATSU

今回のライブでは、クラブみたいになれるというか、お客さんとリンクできると思うので、ただ観に来てるだけというよりも、一緒に参加してもらう感じになるといいですね。

Zeebra

そうだね。みんなが盛り上がる感じが出るといいね。

NATSU

今回のセットリストは、全部アルバムからの新譜なんですけど、すごくイメージができるんです。想像ができるから、やれる部分はありますね。

Zeebra

今回のアルバムは、“すごく踊りやすいじゃん!”と思って、ダンサーのみんなが気に入ってくれたら1番嬉しいから、そういう意味でも、今回やらせてもらえるのは光栄です。ダンサーに向けた1番、純プロモーションの場だから。

NATSU

あとは、「他の曲もいいんだよ!」って言って買わせる!(笑)。だって、「本当はこの後の3バース目もいいのに!そっち使いたいくらい!」って思うけど、ライブだから切らなきゃいけない。だけど、本当は全部聞いて欲しいところがいっぱいあります!

Zeebra

そうなんだよね。今回も、短くするのをすごく頑張った。

NATSU

そう!ライブだけでは聞けない部分もすごく良いんです。

Zeebra

俺の普段のライブでも、大きなところでやる時には、ダンサーの皆さんにお世話になるかもしれないんで、その時には、長くやれるかな〜!その時は、ぜひそこも観に来てください!(笑)。

TDM

そうやってダンサーとアーティストが連動してもらえると嬉しいですね。

Zeebra

そういう意味で言うと、俺が最近DJやっているからっていうのもあるんだけど、もうちょっとクラブが楽しくなるといいなって思うんだよね。いい意味で、クロスオーバーしたダンサーのイベントも増えたらいいしなと思うし、もっと遊びに行ったらいいのになって思うよ。

NATSU

ジブさんのDJを聞きに来て欲しい!たぶん、敷居が高いと思われてるのかもしれないんだけど、いや〜、すごく良いんです。

Zeebra

ダンサーのみんなにはぜひ盛り上げて欲しいし、やっぱり、クラブは“踊ってナンボ”だと思うから。今は“盛り上がってナンボ”になっちゃってるところがあると思う。ヒップホップのパーティーは、どこ行っても、EDM(Electric Dance Musicの略)ばっかで、それはそれでいいんだけど、グルーブのあるのもかけたいよねっていうのが、本当のヒップホップやってる奴らの意識。ダンサーがクラブで踊って盛り上がるようなパーティーがいっぱいあったらいいのになって思ってて、俺もそういう場を作っていきたいし、みんなも遊びに行って欲しいな。

NATSU

今はダンスがメインのイベントがどうしても多くって、プレイだけなら小箱になってしまってるかもしれないですね。

それぞれのポジションでやるべきことをやればいい。


TDM

先日、渋谷のVISIONでDABDABというイベントをやったんですが、ダンサーたちの空気がすごく良かったです。

Zeebra

それはいいね。そういう仕掛けることもやっていけば、みんな反応するし、遊びに来る。それが習慣になってくると、またひとつ違う盛り上がりになってくるから、そういうクロスオーバーが、もっとみんなでできたらいいね。俺もダンスイベントにDJで誘ってもらえたら嬉しいし。

NATSU

じゃ、久しぶりに私もREAL LOVEやろっかな。(笑) ジブさんは今までDJでがっつりやっていたわけではないけど、そういうポジションからのメッセージも絶対伝わるから、ダンスイベントの現場にいて欲しいなと思いますね。

Zeebra

VISIONだったら、たくさんフロアがあるし、1番小さいフロアでいいので、昔の曲ばかりかけるオジさんって感じで呼んでください(笑)。VISIONなら、メディアミックス的なことがやれるよね、ジャンルを分けたりしてさ。フロアで色が違うと、遊んでる方も、“こっちは飽きたから、あっちに行こう”ってできるからね。

昔、芝浦GOLDとかがあった頃は、ヒップホップとハウスのイベントをいっぺんにやったりするのは当たり前だったしおもしろかった。VISION側もそういう風に使って欲しいと思っているだろうし、ラッパーだけのフロアっていうのを任せてくれたら、いろいろ入れ込むよ〜。

NATSU

そのフロア、豪華すぎる!(笑)。

Zeebra

あそこは、村田大造さんっていう、西麻布Yellowや代官山AIRを経営していた人がやってるクラブで、今、俺が参加している風営法について考える会議には1番顔出しくれてるよ。

Zeebra氏は昨今のダンス営業規制の見直しを図るため、アーティストやクラブ事業者らでつくる「クラブとクラブカルチャーを守る会」の会長としても活動している。

俺は、KEN-BOのDJをやる時に、サイドMCをやってたんだけど、サイドMCに関しては、本当にできる子とできない子がいると思う。邪魔な奴と、DJをさらに良くする奴と2パターン。盛り上げられるサイドMCにラッパーがどんどんコミットしていって欲しいと思うけどね。要は、そういういろんな人たちをもっとミックスして欲しい。昔はそれをすごく意識してやってたよ。

NATSU

DJとサイドMC・・・確かに今いないかも。必ずいましたもんね。それで盛り上がってた気がする。

Zeebra

そう。盛り上がり方が全然違う。優れた人は両方できるし、どちらかが、すごく上手い人もいる。優れたラッパーがみんな優れたサイドMCかといえば、全然そうじゃないなっていつも思う。逆に、優れたサイドMCがステージで光るかといえばそういうわけではない。別物だから。

そう考えると、それぞれのポジションでやるべきことをやればいいんだよね。今回のWORLD WIDEは、パーティーじゃなくて、ライブ。ライブもピンキリで、狭い箱でやるライブから、ブルーノートみたいに座って観るライブとか、大きなアリーナでやるものもある。

今回のライブはあれだけのサイズでやるわけだから、よりエンターテイメントが必要になってくる。映画をiPhoneで観るのと大画面で見るのは違うじゃん。今回は大画面で見るようなものだと思うから、それだけバシッとエンターテイメントとして、引きで観てもおもしろいものにするべきだと思う。小さい箱で声を響かせてラップするのとは違うからね。醍醐味はそれぞれにあるから、そういうライブだと思って楽しみにして欲しいね。

NATSU

普通のライブでは見せられないジブさんのライブなのが楽しみですね。ダンサー目線としても楽しめるし、一般の目線でも楽しめる。

感受性が豊かだから、どんなことにでも転がれる。


Zeebra

あとは、ホラ、おかげさまで、俺も今回出てくれるダンサーの親世代でもあるじゃないですか(笑)。「昔聞いてました!」と言ってくれるお父さんお母さんもいらっしゃるので、親御さんが喜んでくれるとまた嬉しいね。ダンスやらせてる親って、ある程度、いい意味で友達っぽいから、ちゃんと責任を持って子どもと一緒に遊んでくれていいと思う。

NATSU

ダンサーでもラップや歌に興味を持ってくれたりもするかもしれないですね。

Zeebra

そうそう。ダンサー出身のラッパーとかDJは世の中いっぱいいるじゃん。RINO LATINA IIとかもそうだしね。言ってしまえば、俺もダンスをかじってからラップをはじめたから。ま、出身ってほどではないけど(笑)。

元ダンサーのDJはすごくいっぱいいる。今、シーンの一線に残ってる連中は大体そうでしょ。KANGO、KOYA、ワタさん(WATARAI)もだし、HASEBEもそうでしょ。HAZIMEもそうでしょ。

TDM

今挙がったDJたちは実際に、踊れる音をかけてくれるんですよね。

Zeebra

より感覚が鋭い人たちが多いと思うし、音から自分のダンスを表現するってことは、感受性だから。“これがあーだから、こうなる”って頭で思っているうちは、表現になれてないと思うし、それがフワッと出てくる時点で、そういう人たちは感受性が豊かだから、どんなことにでも転がれる。

それを他のことに合わせた時、ラッパーだったら音を聞いた瞬間に言葉が浮かぶとか、DJだったら、曲をどの流れにしたら気持ちがいいとかがわかるわけで。ダンスは言葉も機材もいらない、ヒップホップに一番入りやすい手段のひとつだから、大切なものだと思ってるよ。

TDM

ダンスから、はじめやすいってことですね。

Zeebra

みんなそうじゃない?アメリカの黒人の子どもたちだって、まず3歳くらいで踊るでしょ。 うちの子だってみんなそうだし。うちの次男なんて、音楽を全然本気でやる素振りを見せずに大学に行かせたら、途中でやめやがって、今ビート作ってるからね(笑)。 でも、子どもの時に、曲がかかれば踊っていたからだと思うし。だから、そういうもんなんじゃないかな。

NATSU

自分の将来の何かに必ずつながる。ダンサーになっとけば、間違いないね!(笑)。

TDM

センスと、ボディコントロールを踏まえて、作品創りを突き詰めていって、仲間とも出会っていく。ショーを創るために、選曲、演出、構成考えて、衣装を決める。そのためのお金もすべて自分で払う。それらをダンサーは当たり前にやっていますもんね。

そういうひとつひとつがダンサーを成長させていくことだとすると、たとえば、大きなステージ、小さな舞台 、展示場とかのちょっとした空間を創るとか、そういう感覚を持っていれば、本当はどんどんまっとうできる人になれると思います。自分がプレイヤーだけでずっと生きていくのは難しいところがあるかもしれないけど、ダンスは表現のひとつだし、自分がどういう関わりをするのか、年齢と共に考えなきゃいけない。

Zeebra

そうだね。今の年上世代がさ、いろいろ頑張ってさ、シーンのインフラを整備していってさ、みんながやりやすく、入り口や出口を作ってあげて、どっからでも入れてどっからでも出れるようになってるのが、一番いいんじゃないかな。

常にヒップホップはフレッシュに!


Zeebra

Zeebraさっきも話したけど、普段のライブでは、そんなにダンサーを連れてやれる機会もなかなかないんだけど、PVとかでは今回のダンサーのみんなとも絡めたら嬉しいね。

昔、インタビューで「なんでダンサーと絡むんですか?」みたいな質問された時に答えてたのが、バックダンサーとしてやる時に、「バックダンサーとしておもしろくない曲でやらなきゃいけない現状もプロとしてある。」っていう意見を聞いていて、「それなら、普段聞いてる音で踊れた方が楽しいじゃん。」ってことを当時から思っていた。だから、自分たちがやってることでダンサーのみんなと絡みがもっといっぱいできたらいいなと昔から思ってるんだよね。

WORLD WIDEのステージは、今年1月にもやって、来年1月もやらせてもらうから、やっぱり、全然違う驚きにはしたいなって言ってるよ。やっぱり、常にヒップホップはフレッシュだと思っているので、前回とはまた違う見え方、見せ方ができたらいいなと思っております。毎年頭はWORLD WIDEのステージで!(笑)。

って感じで、今回はよろしくお願いします!

TDM

今回も楽しみにしてます。よろしくお願いします。今日はありがとうございました!
interview & photo by AKIKO
'14/01/06 UPDATE
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