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Sound Cream Steppers 〜 20th Anniversary Special Voices! 〜
Sound Cream Steppers 〜 20th Anniversary Special Voices! 〜
歳を重ねてカッコ良くなる時に、「Sound Cream Steppersみたいにカッコ良くなるのってイイよね」と、周りのダンサーとも共感したのは先日のABUSOLUTEでのこと。3人のショーが、めちゃくちゃかっこよかったのだ。いつまでも、何かの形でスペシャルになるというのは、やはりすごい。そして、Sound Cream Steppersとは、みんなの美観に反応する踊りのできるパーソナリティの集まりだと感じた。

結成してから、20年間という歩みの中で変わりゆくもの、変わらないものを、3人からバランスよく聞かせていただいた。おしゃれでユーモラス、ハッピーでロックでクールetc...そんなSound Cream Steppersに敬意を表して言わせていただこう。最高にカッコいいおじさんたちに愛と祝福を込めたロングインタビュー!11月2日はCITTA'でお会いしましょう。

●Sound Cream Steppers

ストリートダンス創世記の1980年代から活躍していたHORIE ・YUKI・GOTO からなるダンスチーム。HORIEとGOTOは日本のHip Hop発祥地原宿ホコ天出身、YUKIは福岡のオリジナルダンスグループBe-Bop Crew出身。ダンススタイルはオールドスクール・HIP HOP・HOUSE等オールジャンル、特に1930年代に派生した即興性の強いジャズスタイルBE-BOPにおいて日本では第一人者である。

生きてる以上進化しなくちゃいけない。止まりたくはない。

TDM

今年で、結成20年周年、おめでとうございます。3人から見て、今のダンスシーンに何か感じることはありますか?

YUKI

YUKI流行りの踊りはどんどん進化するからね。俺たちも俺たちなりに進化させてるんだけど。20年前とあまり変わってないよ。

クラッシックの良さもある。でも、生きてる以上進化しなくちゃいけない。止まりたくはない、という気持ちはあるね。そういうところは若い時から変わってない。

でも、前ほど、俺たちも深くいろんなことにチャレンジしなくなったよね。そりゃそうなんだけど。昔は当時流行ってるものは、全部手をつけたからね。

ヒップホップも細分化されてわかんないし。わかるヒップホップはオールドスクールだけ(笑)。

GOTO

音楽もそうだけどヒップホップ自体、2000年までは進化してたけど、それ以降、無くなりはしないけど、ちょっと行き詰まった感はあるのかな〜なんて思うこともあるけどね。

YUKI

劇的な進化はないかもね。今の若い子はその爆発の時代を知らないから、今が爆発してるって感覚なんだよね。その感覚は自分も欲しいな。この微妙な、スピードの遅い進化を若者は感じ取れるから。俺たちは鈍ってんのよ(笑)。爆発の時代も知ってるから。

HORIE

でも、それは年齢的に必然的なことかもしれないよね。

YUKI

そうだね。今の子は今の子でエネルギッシュに感じられる年齢層だからね。


HORIE

HORIEヒップホップっていう言葉はいつの時代も若者にぴったりな言葉だから、俺たちも若い頃はヒップホップがぴったりだったわけで。

いつの時代も、ティーンエイジャーとか20歳くらいの子が流行を作るものだから。これからも形を変えて、ヒップホップっていう言葉自体が貪欲に生き残るよ。

40代、30代、20代の人が感じるヒップホップが、それぞれ違って当然なんだよね。それイコール、豊かなことだと言えるしね。

YUKI

バブルを知らない若者はお金を持ったことないから、贅沢を知らないというか、スケールがちっちゃい。俺たちからしたら安全パイというか、真面目なところでやってるように思える。その子たちの世界はそこで、俺たちはヌルいと思うけど、若者は熱いと感じる。そういう敏感なところがある。

夢を知らないというか、バブルを経験したおっさんたちはいまだに夢を見てるから(笑)。現実と夢との振り幅が、若者は堅実、リアルだよね。

GOTO

俺たちでしょ?うん、いまだに夢見てる(笑)。

Sound Cream Steppersの活動をしている中で何かが、当たる。もっといいことが起きるかもしれない。どこで何がどう転ぶかわからないと信じてる。

HORIE

時代が絡むものだから誰にも責任はないよね。ダンサーもそうだけどセッションするミュージシャンとか、みんな俺たちより若い子が多い。だけど、こっちはこっちで普通にやるだけ。そこで、共感し合う。

ダンスって、はっきりしてるからさ、普通にやるだけでうちらは尊敬されるよね。「やっぱ、深いっすね〜。」「一味違いますね〜。」って若い子に言われたりするよ。

GOTO

確かに、HORIEくんは状況をつかむ力とか、周りの気持ちをつかむ力は確かだから、それで俺は勇気付けられる。

俺はどちらかと言うと、自分の中では精一杯やるしかなくて、若い子たちが「自分たちをどういう風に思ってるんだろう?」って感じるタイプかな。褒められても、「そりゃダメですとは言わないだろうしな〜」って思っちゃう。

でも、HORIEくんがそうやって言うから、「よし、大丈夫なんだ。」と自信がもてるというかさ。

「よく動くおじさんだなあ〜」「よっぽどダンス好きなんだな〜」


TDM

先日インタビューした、Beat Body Boiは、武道館を目指していて、それは若い世代のチャレンジだなと思います。すでにワンマンで1700人動員できる集客力はすごいなぁと思いますね。


YUKI

結局、集客できるかだよね。あ、俺たちに集客のことを聞いてもダメだよ(笑)。“カッコいい=集客力がある”でもないしね。そこのバランスが保てた人が成功したと言えるんだろうけど。

やりたいことがやり続けられてる環境でやれてる人間は、我慢してる側からすると成功者だと思う。でも、何を基準にして、誰が成功者かわからないけどね。

HORIE

さっき、Sound Cream Steppersは進化したかって話したけど、昔のビデオを見て、「うゎ〜ダメだな〜」って思う。ということは、進化してるんだよね。踊りが拙いって思えるわけだから。

GOTO

20年って普通に考えれば長いじゃん。だから、あれは10年くらい前かな。昔のビデオを見て、「この時の方が体もキレキレだったし、今はちょっとあれはできないな」って思う時期もあったよ。

でも、今はそれを越えて、歳もとったし、体力が落ちた時に、それに慣れるまでに時間がかかって、今は、今の40代後半のスタイルに落ち着いたようにも見える。けど、進化もしてるんだけど。・・・まぁ、そういう時期もあったね。

HORIE

うん、そういう時期もあるよ。

GOTO

でも、トータル的にはやっばり、歩き続けてはいるよね。

HORIE

も〜、GOTOさんはとにかくね、当たり前のことしか言わないんだよね(笑)。 「んも〜、いいよ!当たり前だよ〜!」って思っちゃうよ(笑)。

GOTO

GOTO俺がしゃべってると、「もう、しゃべんなくていいよ〜」っていうのが表情でわかる(笑)。でも、俺にもしゃべらせてくれよ〜(笑)。

YUKI

でも、20年を長いと思ったことはないな〜。

GOTO

もちろん、長いとは思わないし、気持ちは全然20年前と変わってないよ。

YUKI

ある程度、自分たちはベテランじゃん?目利きがあって、骨董品と同じだと思う。ビンテージ感とかがいいんだと思う。


GOTO

キッズはSound Cream Steppersのダンスを見て、どう思うんだろうね。

YUKI

「スーツ着て、よく動くおじさんだなあ〜」って程度だろうね(笑)。でも、それでいいんじゃん。

GOTO

「この人たち、よっぽどダンス好きなんだな〜」とも思うかな。それが一番いいけどね。

俺みたいのが一匹いていいと思うんだよ。


TDM

HORIEさんのfacebookでの言葉とかからもそれは感じますからね。毎回みんなシェアして、影響力を感じますね。

HORIE

あれはいいね。自己表現できるからね。

TDM

HORIEさんの言葉がスーッと入ってきて、もう一回読み直したくなるんです。

HORIE

そう言ってもらえると、嬉しいね。でも、こういう俺みたいのが一匹いていいと思うんだよ。ダンスのことをとやかく言ってるやつがシーンにいた方がいい。

昔は口うるさい先輩とかさ、「お前、これがいいんだよ」「こんなの見てちゃダメだ」「お前にはまだこれは早いよ」とか、ダンスの掟を語る先輩がどこの地域にもいてさ。そういうのに教わって、ちょっと背伸びしたりしてたもんだけどね。

極端な言い方したら、ダンススタジオでは、実技は教え続けるけど、そういうハートの部分も教えるのかなぁ?とも思う。すごく踊れてるけど、ハートは置いてかれたりしてる。すごく上手いのに、心がない。だから、俺みたいのが一匹いて、とやかく言うのはいいのかなとね。

やっぱり、責任なんじゃないかな。長く踊ってる人としての。俺たちの責任なんだよ、そういうことを言うのは。

TDM

言い方もかっこいいですしね。

HORIE

一応、気をつけてるんだよ。ネットにはネットの常識があるからね。人の悪口を絶対言わないとか、誰かを悪者にして自分を高めたりはしないとかね。

TDM

なるほど。あと、お写真もイケてますよね。

HORIE

HORIE自撮りのHORIEってね(笑)。も〜どうしようもないよね(笑)。

TDM

いやいや、センスバッチリです。Sound Cream Steppers皆さん、センスがとてもいいです。

HORIE

でも、写真をどう撮るか、どういう服を着こなすかとかは、イコールダンスと同じだからね。

昔、坂上誠二さんが「ダンサーはおしゃれじゃなきゃいけない。その辺の街行くやつより一歩リードしていなきゃいけない。それがダンサーだよ。」って言ってたらしいからね。なんか、俺、その言葉が忘れられないんだよね。それはその通りだなと思って。

GOTO

GOTO周りからハルキのfacebookの話は、俺は見ないけど、よくいろんなところで耳にするよ。俺はそういうのを見る習慣がないからさ。

俺が初めてHORIEくんと会ったのは、HORIEくんが17歳くらい高校生の時で、ホコ天でブレイクダンスやってたんだけど、直感的に、「あ、この人はたぶんヒップホップの中心的な人になってくんじゃないかな」って思ったけどね。本当に。そういう、雰囲気というか実力もまずなきゃダメだけど、それプラス、説得力とかをHORIEくんには感じる。

でも、Sound Cream Steppersになるのは、その、初めて会ってから10年後なんだよね。だから、Sound Cream Steppersは20年だけど、ダンス歴はちょうど30年くらいだもんね。

中華も洋食も和食も全部食べた方が豊かなのに。


HORIE

ジャズもヒップホップもソウルもダンスミュージックでしょ。30年も踊っててさ、それくらいで捉えられなきゃおかしい。ヒップホップは好きだけど、ジャズは嫌いとか、レゲエは聞くけどハウスは聞かないとかはない。全部ダンスミュージックだから。ダンスミュージックは聞くけど、ダンスミュージック以外のものはあまり聞かない、はあると思うけどね。 ヒップホップダンサーがビバップを見て、ヒップホップと全然違うと捉えちゃうのは、若者を代表する意見のひとつだと思う。

少なくとも、俺はジャズを知らない頃から、バリバリBボーイだった頃から、「ジャズはヤバい!生きてる間に絶対制覇したい!」と思ってた。

全然わからないけど、ニコラス・ブラザーズとか、フレッド・アステアとかの映像を見るのが好きで、燃えてたね。それは、ヒップホッパーだからとかじゃないんだよ。ダンサーだからなんだよ。肉体で勝負してる以上、これは避けて通れないだろうと思えるくらい、ジャズは大きいものなんだよ。

もし、ジャズって言葉を排除してダンスを踊っていったら、すごい大事なものを排除してることになる。もちろん、偏ってひとつのことをやることも、いいことなんだけど、ジャズは無視できない、絶対。

しかも、ジャズのはじまりはヒップホップと同じだからね。貧乏なスラム街の人たちの音楽だから。まったく同じ考え方でできてる。料理で言うと、中華は好きだけど、洋食は嫌いなのね〜。中華も洋食も和食も全部食べた方が豊かなのにね〜って思うんだよね。

YUKI

ジャズをやらないってことは、調味料がないっていうか、ダシが効いてない、インスタントだね。

HORIE

カップラーメンしか食べてないってくらい、食生活が貧弱なものになるよ。

YUKI

きっと勉強していくと気づくだろうけど、オーガニックなんだよね。ベースになってるものは昔のものだって。

GOTO

全部つながってるからね。

HORIE

俺たちはふざけて見えるかもしれないけど、ダンサーとしてはまっとうなんだよ。

ブレイクダンスからはじめて、ヒップホップして、ジャズにたどり着いたわけだから、歴代のダンサーたちが歩んできた道をそのまま歩んでるだけ。

YUKI

たしかに、若い時は、バレエとかコンテンポラリーとか否定してたよ。それは、経験や知識の恥ずかしい若気の至りだよ。今は否定なんてできないもん。自分ができないというだけで。

HORIE

たしかに、今は言わなくなったね。バレエもジャズも、素晴らしいものは素晴らしいと言えるようになったね。

よーく考えたら俺もあのタイツが嫌だっただけで、動きは別にね(笑)。

YUKI

今は逆に履いてみたい(笑)。

HORIE

嫌いなものが好きになることはあるからね。むしろ、何も感じないものは何年経っても変わらないけど、嫌いってことはひとつの感情だから、反転すると好きになるんだよね。


GOTO

興味があるってことだもんね。

HORIE

そうそう。嫌いってことは好きになる可能性が大なんだよね。

YUKI

オッさんになったってことだね。いいことだね。

全員

(笑)。

HORIE

そうだね。キッズダンサーがいっぱいいるなら、オッさんダンサーもいっぱいいないとバランス悪いじゃん。

かっこよさだけは追求していきたい。


TDM

Sound Cream Steppersのはじまりは?

YUKI

MEGA MIXっていうSAMさん、サンチェ、CHIHARUちゃん、ETSUちゃん、と俺たちでの活動があって、それが母体となって、後にTRFができて、そのあとにSound Cream Steppersになった。

TRFとしてデビューもしてEZ DO DANCEまでは一緒に歌ってたんだよ。そのあと、TRFが忙しくなりそうだったときに、俺たちは好きなことをやる方に行きまーすとわかれたんだけどね。

TDM

Sound Cream Steppersという名前の由来はどこからなんですか?

YUKI

俺たちがラップやってたんだよね。その中の俺が書いた詞の中に Sound Cream Steppersがあったの。それで、響きがいいから、名前にしようってね。

GOTO

この名前、いいよね。

HORIE

うん、海外の人が聞いてもいいんじゃない。

YUKI

俺たちが結成して以降、長いチーム名を真似したチームもいたもんね(笑)。

HORIE

日本でこれだけオリジナルメンバーで続けてるチームはないからね。入れ替わったり増えたりしてるチームはあるけどね。オリジナルのまんま。

GOTO

うん、この3人ではじまって、この3人で継続してるのはいない。

YUKI

3人とも友達が少ないのよ(笑)。

全員

(笑)。

GOTO

そうなのかな?(笑)。

HORIE

3人とも、ちょっと変わり者なんだろうね。

GOTO

しかも、3人のバランスも合ったんだろうね。じゃないと、20年続かないよね、きっと。運がいいとしか言いようがないけど。

HORIE

芸能人でもないし、でも、古きストリートダンスの昔の感覚が今でもあるようなチームだから、すごく稀なんだよね。

だから、このインタビューを読んでくれて、「あ、芸能人にならなくてもいいんだ」って思ってくれてもいいし、俺たちはテレビにいっぱい出て有名になりたいとかそこまでは言わないからね。でも、かっこよさだけは追求していきたい、とは言うんだよ。

YUKI

ま、そこが、長く続けられる秘訣なんじゃない。

これがチームメイトにいるってことは、最高だよ。


HORIE

もう20年くらいすると、もっと、価値が出てくるだろうね。坂本龍一あたりが俺たちに目をつけて、「映画を撮りたい!」って思われるとかね。

世界中に一気に知られるかもしれないんだよ。「ストリートダンスの生き字引が、東洋にいるらしい!黒人より黒人らしいんじゃないか!」みたいに取り上げられるかもしれない!

全員

(笑)。

YUKI

それでやっと価値が出てくるね。

HORIE

それこそ、さっきGOTOさんが言ってた通り、何が起きるかわからないんだから。

GOTO

うん、続けてる限りね。信じてる。

YUKI

そう、夢、追っかけてんだもん。あんまりダンスはお金って考えたくないからね。

大富豪にはなれないかもしれないけど、それくらい社会的にそこまで価値がある人が食えないはずがない!ってとこまで持ち上げないとダメだね。

若者がかっこいいと思うのは、踊り自体もそうだろうけど、生活が成り立ってて、社会に貢献してて、お金を稼いでるということ。

HORIE

意外とうちらは人間的にはまっとうだよ。若い子にノーギャラで仕事させたりしないし。聞くと、いるらしいんだよね。「あなたはまだかけ出しなんだから、お金のこと聞くんじゃない。」ってひどい扱いされてる話。「お前はそんなにひどい目に遭ったのか?」って思うけどね。

GOTO

うん、遭ったんじゃない。繰り返しちゃうんだよ。

YUKI

そうやって立場の弱い人から権利を得てしまう。

HORIE

俺たちはラッキーだったかな。あんまりいじめられてないからね。

YUKI

うん、俺らはどちらかというと上の人にケンカするタイプだったね。

HORIE

俺もマイク持つとSAMさんの悪口ばっかり言ってたから、怒られるかと思ったら、全然怒られなかったね(笑)。

上の者に立ち向かうのはいいんだよ。でも、弱い者をいじめたらおかしい。だから、俺がSAMさんの悪口を言うのはアリなんだよ。ま、悪口じゃなくて、ギャグなんだけどね(笑)。

俺たちはいじめられてないからね。GOTOさんも若い時から、ダンサーとしてちゃんとギャラもらって仕事してたし、YUKIなんて、Be-Bop Crewの天才少年だからね。プリンスだった。

GOTO

隠し球だったね〜。たしかに、そういうイメージ。“九州にすごいのがいるらしい!”って言われてた。

今みたく情報が何もないから、昔は面白かったよ。イベントにしたって、“どこどこであるらしい”って感じだったしね。

最初はYOSHIBOWさんのことをOHJIさんやSAMさんから「九州にすごいのがいるらしい!」と聞くわけよ。それで、結構すぐに東京に呼んだしね。

HORIE

実際、YUKIはストイックな踊りしてたしね。ま、俺から見たら今も変わらないんだけど。だって、人前に出たら絶対に下手打たないから。そこが、まずあり得ないよ。

俺とか結構下手打つからね(笑)。本当にあり得ないことやったりするし、GOTOさんも自分の踊りが気に入らないと、ショーのあと誰にも何も言わないで帰っちゃったりするし(笑)。

全員

(笑)。

HORIE

でも、YUKIは人前に出ても絶対に下手打たない。これがチームメイトにいるってことは、最高だよ。ちょっとおかしいくらい(笑)。

GOTO

うん、スペシャルだね。

YUKI

YUKI褒められすぎて気持ち悪いな(笑)。

HORIE

みんなYUKIさんすごい!って言うけど、俺たちはチームメイトだから分析できる。だって、ルーティンうろ覚えのままステージ行くから(笑)。

しかも、なんとかしてくるんだよ。もう、真面目なダンサーにとっては、南極と北極くらい違うよね(笑)。こ〜れ〜は〜すごいよ。なかなか出会ったことがないタイプだよ。横で真面目にルーティン踊ってる俺がバカに見えるからたまにやめて欲しいんだよね(笑)。

YUKI

ごまかし上手なんだよ(笑)。

GOTO

何のために真面目にやってんだろうってね。

YUKI

俺も真面目にやってるよ(笑)。

HORIE

スッと出るポージングが、いい所にしか入らないんだよね。羨ましいよ。こっちは命がけで考えてるのに(笑)。でも、踊りの練習は相当してると思う。そこは3人のダンサーとしてまっとうな部分だと思う。

でも、GOTOさんは1年前くらいに「俺も踊りの練習しないとな〜今まで全然してなかったから。」って言ったからね。よく考えるとそれもすごいなと思った。「ずっとしてなかったのかよ!」って。

GOTO

でもさ・・・練習ってしてる?ダンスはやめてないけど、本当に真剣に練習してるのかって言ったら、意外としてないんだよ。そう思った時に、そういう風に言ったんだと思う。仕事の中で流されてるって言うかさ。

HORIE

でも、俺たちはどこかに雇われて他人の振付を一日中踊るタイプのダンサーではないし、流されても、自分の踊りの中で流されるわけで、レッスンも自分のステップを教えるわけだし。

踊る人をかっこよく、プラスの部分が出るように振付できるか。


TDM

いい振付ってどういうことだと思いますか?

GOTO

自然な動きだといいよね。

YUKI

自分の踊りを押し付けるのは振付師じゃないよ。踊る人をかっこよく、プラスの部分が出るように振付してあげるのが、いい振付師。その人らしくいさせてあげる。

GOTO

そうだね。その人が踊りやすいというか、その人のいい所を引き出す振付師ね。

HORIE

1983年頃のマイケル・ジャクソンの振付師でマイケル・ピータースってのが俺は好きだけどね。ゲイで死んじゃったんだけどね。

80年代のニューヨークのゲイはみんな死んじゃってる。2000年まで生きられない。セックス、ドラッグ、無茶苦茶な人たちだったと思うから。ミュージシャンでも、ダンサーでも、その頃のアーティストは生き残れない。

GOTO

GOTOヒップホップの初期だね。やっぱり、そういう所もジャズシーンとも似てるね。チャーリー・パーカーとか、マイルス・デイビスよりも前の人たち。マイルス・デイビスだけは、病気でヤバかったんだけど、生還したんだよね。

HORIE

俺たち自体もその時代を越えたって意味では、生還したのかもしれないね。でも、若い頃は悪いものに憧れるんだよね。ドラッグで死んじゃったって話を聞くと、ドキドキ興味深々だったもんね。カッコ良くて、ちょっと悪くて、優しかったりしたら、俺はイチコロだね(笑)。

TDM

影響を受けたダンサーっていらっしゃいますか?

HORIE

それはもういっぱいいるよ。

GOTO

ヒップホップの歴史の中にいっぱいいるね。

HORIE

リアルに1980年代から好きなダンサーもいるけど、その前の白黒時代のタップダンサーたちまで掘るからね。ボージャングルだとか、ニコラス・ブラザーズだとか、ベリー・ブラザーズだとか、そういう人たちも会ったこともないし、亡くなってるし、映像でしか見たことないけど、影響は受けてる。

でも、だいたい黒人系の人たちになるのかな。会ってもあんまり教えてくれないね。「教えてください!」って言っても、「うん、だいたいそんな感じ〜」って流される(笑)。だから、あんまり教わってはないかもしれない。

昔、SAMさんと一緒にEJOEのワークショップを受けたことがあって、俺たちはルーズレッグとかを習いたかったんだけど、タップっぽいのとかビバップ風なステップをいれて来て、「こういうのが好きなんだろ?」って言われてるみたいな(笑)。EJOEなりに気を使ってくれたんだろうけど、その辺がなんかズレてて面白かったな(笑)。

YUKI

こっちが先輩だから気を使ったんだな(笑)。

HORIE

そうそう、たぶんね。帰りにSAMさんと「的が外れましたね〜」みたいな話してさ。

TDM

たしかに、EJOEはかっこいいですよね。

GOTO

そりゃもう!やばいよね。

HORIE

あの辺り、1992〜1993年のブルックリンのダンサーたちは奇跡的に天才を生み出した年代だね。

最初のブレイクダンスの時代と一区切りズレるから、ブレイクダンサーたちの影響をあまり受けてないから、新しい動きがたくさん産まれたんだよ。

YUKI

ルースジョイントがその間にいるんだけど、ルースジョイントはオールドスクール系になる。

HORIE

うん、明らかに入ってるね。

GOTO

SHAN Sとかもオールドスクールと関わりはあるんだけど、やっぱり音楽がガーッと変わったからね。

HORIE

あの時のブルックリンには、ブレイクダンスが産まれたすごさと同じくらいの起爆力はあったよね。

GOTO

うん、弾けたね。

HORIE

今の子があれを勉強してるかわからないけど、ヒップホップはあの年代がクラシックになってるんじゃないかな。

YUKI

ミドルスクールがね。Bボーイはもう別カテゴリかもしれないね。俺たちはヒップホップって、ブレイクダンスと思っちゃうんだけどね。

HORIE

3人ともブレイクダンサーだったもんね。

HORIEの無茶苦茶バックダンサー時代。


HORIE

GOTO今じゃ、振付師も業界もヒップホップを知ってるけど、俺たちの頃は、テレビ局行っても、誰もできないし、振付師さえもわかってない。「好きなようにやってください。」って言われるもんだから、こっちは「適当にやっちゃおうか〜!」ってなってた(笑)。

ふざけてやってても、「イイっすね〜!すごいっすね〜!ブレイクダンスができる日本人がいるんですね〜!」って言われる時代だったからね。

風見しんごさんの「涙のテイクアチャンス」がブレイクダンスを使ってて大ヒットしたんだけど、俺が高校生のときにオーディション受けて、受かってからツアーに連れてってもらったんだよ。

高校が終わるたびに電車乗って、合流してさ。それはもうひどいもんだったよ!毎回「今日は何やろっか?」「じゃ、ずっとソロ回しやろっか!」って言ってさ。だって、決まってないんだもん(笑)。今の業界でダンサーが「何やろっか!」って言ったらびっくりしちゃうよね。

俺は高校生だったけど、ほかのメンバーは去年まで暴走族だったのがストリートダンスをはじめた奴らで、それはひどかったなぁ〜。ホテルの番号を書いたおしぼりをステージから投げたりして(笑)。舞台監督に「お前ら悪さばっかりするからバラしを手伝え!」って怒られる羽目になるんだけどね(笑)。

今は業界の人も振付師もわかってるから、いくらやんちゃなヒップホッパーだって、ちゃんと仕事としてするもんね。


GOTO

真面目な奴はストリートダンスをやらなかったからね。今と全然状況が違うよね。

HORIE

うん、今の子が聞いたらぶっ飛んじゃう話ばっかりだよ。無茶苦茶だったね。

YUKI

ROCKな時代だった。

HORIE

今は、ヒップホップっていう言葉みたいな強烈なもの、若者しかわからないもの、大人が手出しできないものなんでないもんね。

GOTO

若い子たちだけで、自然発生的にシーンを作り上げたりするようなものは、ヒップホップじゃないところではいっぱいあるんじゃないかな。

HORIE

そうだね。ちょっと前まで秋葉原がオタクカルチャーとかで盛り上がってすごかったじゃん。あれが、昔の原宿にあったんだよね。

GOTO

うん。俺たちが知らないだけでどこかできっと盛り上がってるものはあるんだろうね。

Sound Cream Steppers 〜 20th Anniversary Special Voices!

“こんなおっさんたちもまだがんばってるよ”それだけでいい。


TDM

今回の20周年イベントをやろうと話したのはどういうときだったんですか?

GOTO

俺が2年前の忘年会で、「20周年イベントを武道館でやりたい!」って提案したんだよ。そしたら、HORIEくんがすごい不機嫌になった。

全員

(笑)。

HORIE

そんなのできるわけねーだろ、って(笑)。


GOTO

冗談で言ったけど、ちょっと調子にのってたかな(笑)。HORIEくんはリーダーだから現実的に考えてくれるからね。

HORIE

でも、結局は、投げかけたてくれたから20周年をやろうかということになったけどね。

GOTOさんとYUKIは、大きいことを言うのがいいんだよね。俺は小ちゃいこと言うから、GOTOさんやYUKIが大きいことを言ってくれるから、それで、動かされることは大きいね。それで、今回もやることになった。

GOTO

無責任なだけだよ。武道館は却下されたけど、CITTA'でできるのは、感謝だよ。

HORIE

さっきからSound Cream Steppersはすごい!って言ってるけど、実は「そんなに認められてないんじゃないかな?みんな関係ないと思われてるかな?大丈夫かな〜?」とも思ってるわけ。

だから、GOTOさんに、「CITTA'の松井さんに直接聞いてきてよ」と言ったら松井さんは「やるしかないっしょ!全力をあげてやりますよ!」とノリノリだったらしい(笑)。

GOTO

そうそう。「俺にやらせてください。俺しかできないです!でも、武道館はちょっと…(笑)。」って言われたけど(笑)。そしたら、なんで、武道館が無理なのかを、ちゃんと数字で説明してくれた(笑)。松井さんは本当にすごい。

HORIE

今回もそうだよ。いろんな各地の重鎮ダンスチームに声をかけても、こちらとしては、半分ドキドキでさ、「自分たち忙しいんで」と断れるかもしれないわけで、でも、誰に電話してもみんな「光栄です!」って言ってくれるんだよね。

だって、自分たちのイベントに、お忙しいであろう人たちに結婚式にくるようなつもりでお祝いダンスを踊ってもらえませんか?って話、なかなか頼みづらいですよ。

ひとつのチームからは、「Sound Cream Steppersの歩んできた歴史は、どんな世界一のチームでもなり得ない存在ですから。ぜひ、やらせてください!」って言われてね。シーンからそう言う風に思われてると思うと、嬉しかったなぁ。

YUKI

最近はおっさんと若い人が一緒になれて楽しめる場もなかなか少ないからね。当日は同窓会みたいなもんだね。

“こんなおっさんたちもまだがんばってるよ”っていうことだけでいいんだよ。20年やってりゃ、何かにはなるだろ、ってね。何もなってないけど(笑)。

あ、あと映像作ってて、当日、イベント前にCLUB CITTA'の横のシネチッタで流してくれるの。

映画がメインでもいいくらい(笑)。それを見ると、ダンスの良さが伝わる感じ。

HORIE

Sound Cream Steppersの映画を一時間上映するよ。イベントと映画を合わせたプレミアチケットは180人限定!

TDM

すごい!観たいです!!11月2日は日本のストリートダンスシーンの同窓会ですね。楽しみにしてます!

interview & photo by AKIKO&imu
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