TDM - トウキョウダンスマガジン

TDM Special interview「SLAVE 2006」YAS. TAN 2/3

「自分の結晶」=「SLAVE」


Y
「SLAVE」を始めた時の純粋な自分を思い出すと、自分の全てが「SLAVE」で形成されている感じでした。今後もダンスを続けますが、その理由の一つは“「SLAVE」があるから”ですね。ダンスは仕事のためだけではないし、自分の地位を確立するものでもない。自分の今の気持ちやエネルギーを発散するためだけのものです。

以前は、「SLAVE」が終わる度に、自分は次の「SLAVE」までに自分のどんな感覚を養っていけばいいのか?という想いを持ちつつ、それがいつしか「SLAVE」の準備に追われるようになっていて…。やりたいことがあって、それはやらなきゃいけないことではないとわかっていながらも、なんとなくこなしているような感覚があったんですよね。

30歳の誕生日をLAで一人で迎えて、10年間ダンスをやってきた自分が一番思うこと・感じること・やってきたこと・やりたいこと・今まで入ってきたこと・大切なものを考えた時に、それがダンス、そして「SLAVE」という自分の結晶として生まれた一つの価値観として再認識できました。「SLAVE」に対しては毎回いろんな気持ちがあっていつも同じことがないですね。作っている4人にとっても、出演しているダンサーにとっても「SLAVE」と自分との置き方は皆バラバラなんでしょうね。

セクシーへのこだわり


Y
「SLAVE」では毎回セクシーな場面がありますが、セックスに対してのもともとの概念として、単なる体とのふれあいということではなくて、いろんな意味で支える・支えあう、コミュニケーションやシンボルの意味合いで内緒にしたり、いけないものにしたりしている感覚があると思います。

そもそも女が好きと男が好きとでどう違うのか、という部分でもともと自分の中で引っかかっていました。それが自分の中でもある種の人との大きな差だと感じていて、それを肯定したいという思いがあるのでしょう。ものすごくセクシーなものをさらけ出すことでアプローチしていますが、実は人は見たいと思っているはず、ということからセックスに対しての違いをうまく肯定できるんじゃないかと思い、セクシーな部分がどうしても前に出てきていたりしますね。

T
人間的素質は違うけど信頼できますし、YAS.が言っていることも受け入れられるし、共感できますね。「それはありえない」っていうことがまずないんです。

Y
TANとは普通の感覚じゃないところをいいと思う感覚が同じだったりします。エンタテインメントをテーマに、わけのわからないものではなくて、お酒を飲みながら観て、楽しかったねって思ってもらえるようなものにしようという気持ちに賛同してくれます。あとは常識的なところでの知識でも支えられていますね。箱を押さえたり、受付が何人で、道具をいろいろ作ってくれるスタッフの派遣まで、ショービジネスの面でも力になってくれています。最初は舞台自体がどうやって作られているのか?がわからなくて「ブカン(=舞台監督)ってオレじゃないの!?」って思いましたもん(笑)。

グラフィックデザイナー TAN 〜やるべき事がある〜


T
自分はダンサーでもないし、振付もしないし、舞台監督でもない。グラフィックデザイナーとして「SLAVE」に携わっていますが、他の3人とはいわば違う次元にいる立場です。自分を直接的にさしているのではないわけですが、YAS.やGANKOに出会わなければ体験できなかった時間が過ごせている現実と、自分の仕事としても、趣味としても、自分の主観では発信できなかったであろうことができているという実感があります。船に例えるなら、たまたま乗った小さな船が、今も沈まずにうまく乗っている、という感じでしょうか。ただ、自分はダンスの現場にいる人間ではないので、お客さんの目線で判断できるということ、運営している側ではない感覚でものを見ることができるということで、存在が活かされているかもしれません。「SLAVE」は自分にとって非現実的なことであり、つまりは普段の仕事とは関係ないことをやっているわけです。平面のデザインではないところで、空間演出やディスプレイ、小道具など頭 に描いたものをカタチにしていく事には興味が膨らみます。自分が受け入れられているということは、ここにいてやるべきことがあると思うので。YAS.たちのことを尊敬しているし信頼しています。

今回は中心メンバーのGANKOが参加できないということで、その分いつもよりもただの乗組員じゃなくて、船長室に近い部分にいかなくちゃいけない意識があります。でも、やったことのない世界だったりもするので、どこまでできるか不安はあります。でも、今まで回を重ねて来て出演者やお客様も増えているという確かな実績がありますし、船自体も大きくなってきて、的も岸も見えてない感覚ですが、何とかやってみようという思いですね。
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DANCE TRIBE HOTTEST SELECTION
2006.11.09(Thu)&11.10(Fri)
「SLAVE 2006」の詳細はこちら。



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