TDM - トウキョウダンスマガジン

NUMERO UNO・raison d'etre(存在理由)を模索し続ける挑戦者
MAIさんはHIPHOP、JuNGLEさんはJAZZよりというイメージですね、そんな2人が組む時に不安はありませんでした?
M:それはあまり考えなかったね。

J:うん。全然ないね。

M:なんかうまくいきそうな気がしてた。本当に何も考えなかった。「がんばろう」とか「2人で続けよう」ともしなかったし。結局私はJuNGLE以外に長く続いたチームなかったしね。ユニットはあったけどチームほとんどなかったもん。
そこからNUMERO UNOが結成されたと。
M:うん。でも昔から知り合いで「一緒にやりたい」って言ってたんだよね。仕事を一緒にやっていたのと、そのついでに一緒にショウタイムに出ようってなって。NUMERO UNOは当初3人でやっていたの。仕事の延長でそのままやってて。でも仲は悪く無いんだけど1人が方向性の違いで外れることになった。その後2人でやりたいようにやっていたらこういうスタイルになったの、不思議なんだけどね。
ショウタイムの参考になるものは何かありますか?
M:いろいろだよね。映画とかもあるし、その時その時で違うよね。いきなり思いついたことを夜メールで報告したりして。でもその思いつきを真剣にやっている感じだね。毎回毎回、テーマもある。

J:あるよね。たまにタイトル付きの台本が書けそうなくらいに。なんかパッとイメージしたことをMAIにメールしたりする。それはごく普通に、日常生活の中でテレビを見ていたり、街を歩いていたりするときに、フッと浮かぶ。

M:イメージはあるんだけど、PVとか映画とかいろいろな場面が混じってくる感じ。
NUMERO UNOは玄人受けしますよね。その点ショウタイムで気を使うところはありますか?
M:ウチらが知らない所でショウをやっても、“シーン”とされる時あるよね(笑)。でも逆にわざと“ひいちゃう”ショウタイムをつくるときがあるよね。どうせならあえてやっちゃえ!みたいに狙っているところがあるの(笑)。練習中とかはいつもふざけて踊るんだけど、以前それをそのままショウにして出た時があって、そん時はかなり楽しかった。

J:「これでいんじゃん」って感じで。だから結構私達の本性に近いね。あれは楽しい(笑)。

M:普段踊っているNUMERO UNOも全部実はパロディー版があるんだよね。ふざけてるバージョンが。それもウチらのひとつの面だね。
今までの経験で、楽しかった事やキツかった事は?
J:私は自分が一番尊敬している人、WARNERさんから自分のダンスを「イイ」って誉められた時、やっぱりやっててよかったなって思った。その時、いろいろあってダンスを辞めようと思っていたから。
辞めようと思った時があったんですか?
J:JO君※が亡くなった時、辞めようと思ってた。はじめてなの、15歳からダンスを始めて23歳まで続けていて辞めようと思ったのが。私の中でJO君の存在が凄く大きくて、すごい好きだったから。当時、彼は23歳で私と同じ歳だった。ダンスは本当にNO.1で、外国に行っても「あいつJOだよ」って言われていたし、個人的にも尊敬して好きだった。だからあの時は相当暗かった。あまりのショックで当時2年位の記憶は全然覚えていないね。
M:私はその時に初めてJuNGLEと深く知り合ったから、この人はナーバスな人なんだなっていうイメージだった。本当に凄い繊細なんだよ、この子は。すぐ連絡とれなくなるし、携帯にも出ないから心配になっちゃて「今何してるの?」って、家とかに電話かけてた。 ダンスをやっていて良かったのは、人の踊りを見て心の底から感動した時にがんばっていく力をもらえること。最近見て感動したのはBUTTER※で、海外ダンサーではELECTRIC BOOGALOOS※。彼等を初めて見た時は、2日間眠れなかった(笑)。目を閉じてても、ずっとその姿が浮かんできて「眠れない!どっかいけ!」みたいな(笑)。そのことをずっとJuNGLEにメールで送ってたよね。そしたら「興奮しすぎて鼻血でるわよ」って返事が来た(笑)。そういう人達の踊りを見て感動したときに、意欲が沸くね。

J:私もO-SHIMAさんとSHINICHIさんは大好き。見るとあがる、幸せになる。
※JO:突出したキャラクターとそのスキル、パワーからBBOY界の中でも一目置かれる存在であった。SPARTANIC ROCKERSの一員。毎年ドイツにて行われる『BATTLE OF THE YEAR 』で1999年に準優勝を果たす。その年、帰らぬ人となる。

※BUTTER:O-SHIMAとSHINICHIの2人HIPHOPユニット。アンダーグラウンドだけでなくオーバーグラウンドでも活躍しており、宇多田ヒカルやEE JUMPのバックダンサーを務めている。

※ELECTRIC BOOGALOOS:POPPIN'PETE、SKEETER RABITで今も活躍中のポップチーム。以前はSAM、SAUGA POPもいた。見る度に進化する彼らのダンスはまさに“神様”的存在。
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