TDM - トウキョウダンスマガジン

NAO・注目のハウスダンサー新勢力
そうなるとこれからどんどんショウとかバックダンサーとかをやって行く?
そうだね、今は出るチャンスが増えたから、ドンドンやっていきたい。でも前はね、ショウタイムって苦手な部分があって、…クラブで踊りすぎちゃったから。ルーティンとかスゲエ緊張するんだ(笑)、「あぁコレ覚えられねぇ」とかって(笑)。
(爆笑)
最近慣れたんだけど。それがすごい苦労したかな。覚える、頭で考えてちゃんとルーティンを踊るっていうのが俺の第一の苦労で(笑)。で、今度、8エイト(16小節。8カウントを一塊=ワンエイトと見て、曲の長さを数える)なら8エイトのなかでフリー(ソロ)をやらなきゃいけない。その前はこう一人でやってたりしたから、全部自分で決められるじゃん。3分間なら3分間をイメージして、自分の中でやってたから。チームで踊りだした頃はなんかねー。
決められた枠の中で出したいものを出すのが難しい?
だからね、頭使うのが苦手なのね(笑)。ホンット(笑)。で頭を使っちゃうと、体と頭のバランスずれてきちゃうんだ。少し前までバランスがずれてる時期で、一生懸命修正してきたんだ。だからほんとに調子のいいっていうかそのソロでやってた時は、…なんていうんだろね。(すぐ横を指差しながら)ホント音楽がここにいるって感じ。少し前まではちょっと(少し遠くを指して)あの辺にいるって感じだったかな。いい時はホントに音楽がそばにいて、自分が止まると音楽が止まる。自分がなんか技やってパッと止めると音楽もそこで止まる。自分で笑っちゃう感じ。踊ってる時。「オォ、何これ」って。それがこうやっぱ食べてこうって(考えた)中でいろいろ葛藤があって、どっか頭で考えながらやってるとこがあったと思う。

今は戻ってきてるね。いいテンションでみんなとも踊れてるし、自分の中でもいろんなことが回りだして来てるし。音楽もだいぶ近くなってきてる。あと3mmくらいかな?(笑)。
音楽をすごく大事にしてるよね。じゃあ自分でレコード買ったりとかもする?
レコード屋に行くのは好きだね。買わなくても行って聴いてるといい音に出会うからね。
ジャンルは?
関係ないね、まったく。ヒップホップとか…ジャズとかもね。なんかね、針置いた瞬間にわかるな、いい音って。試聴したりしてて針をパッと置いた瞬間にね。「あ、コレ好きだなー」って思ったらジャンル関係なく買うよ。
ところで、今ハウスダンスってNYハウスで一本になってる感じがあって、ヒップホップみたいに誰それみたいなスタイル、誰それみたいなスタイルっていうほど差が見えにくい気がするんだけど。
そうだね。スタイルはね、うーん。N.Y.の影響は大きいと思うよ。日本のハウスダンスの始まりがN.Y.のダンサーだと思うから。最初はやっぱりCALEAF※、BRIAN、SHAN。それからTERRYが来て。
※CALEAF:ハウスダンスのオリジネイターの一人。独特の浮遊感と重さの共存するスタイルにはファンが多い。
Terryの(スタイルの)拡がり方はすごかったね。
うん。伝わってきたものがひろがって。んで、そのスタイルがまた変わって。で、今はやっぱりDance Fusion※なんだよね。
※Dance Fusion:SHAN、CALEAF、TONY、JUSTICE、MIKEなどによるダンスユニット。静岡出身の日本人、HIROもメンバーの一人。
日本人の特質として、新しく入ってきたものに対してすごく敏感で、でもみんなが結果としてそれ一色になっちゃう。
そういう所はあるね。でもみんなが真似するってことは、流行ってるもの自体はかっこよくて影響力があるってことじゃない?あとはそれ自体をどう取り入れるか、どう理解していくかだと思う。コピーで終わるか、自分の物にできるか、その人次第だと思う。俺自身は「音楽=自由」だからドンドン自分の枠を広げていけばいいし、後は自分のセンス次第だと思う。俺について言えば、そういう意味での自分のスタイルは、なんか、崩れないな。これからも多分ね。
がんばってほしい。応援します。
ガツンとね(笑)。
最後に、今踊りを始めたいとか、始めたっていう人がすごく多いと思うんだけど、その人たちに対して何か…。
ま、一番は………自分のいいと思ったものを、信じる。信じるっていうか、自分がいいと思った音楽を大切にして欲しいっていうのと、情報とか、映像だけで判断するんじゃなくて、自分の目で見たもの、人がコレをいいって言ったからいいんじゃなくて、やっぱ自分が見ていいと思った、感動したものは信じてやってほしいなっていうか。やっぱ自分かな?自分のやっぱ、考えとかスタイルとかを、大切にして欲しいかな。そしたらなんか、自分達の家の中だけじゃなく、外にもいい音楽流れてくと思うんだよね。
趣味(?)は日曜大工という彼の愉快なキャラクターで、かなり笑いっぱなしのインタビューでした。自分の実際の経験を通して固めてきた、音楽やシーンに対する考え方にはうなづかされることしきりです。これからも大活躍してくれるであろうNAO、機会があれば是非、生で見ることをお勧めします。惚れること間違いなしですよ。
'01/01/06 UPDATE
Interview : JIRO

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