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DANCE@LIVE ファイナル目前特集
HORIE 〜ホリエハルキ的自由論〜
DANCE@LIVE ファイナル目前特集 HORIE 〜ホリエハルキ的自由論〜
“40過ぎてもBBOY”のラップでお馴染み、ストリートダンス界の生粋のBBOY・HORIE。1983年から始まったとされる日本のストリートダンスブームのど真ん中でダンサーとして青春期を謳歌し、今や日本を代表する大御所ダンサーとしての存在は周知のとおり。今回は彼がジャッジを務める「DANCE@LIVE FINAL」@両国国技館が目前ということで、HORIEにフォーカスしてみたい。自由すぎる思考、その中にあった彼独自の美学からは、今のダンサーがぶつかりそうな悩みに、一筋の光を差し込ませてくれるかもしれない。

HORIEHORIE HARUKI
from SOUND CREAM STEPPERZ


1984年、原宿ホコ天でのストリートパフォーマンスに若者が集まっていた頃、16歳のハルキ少年はブレイクダンサーとしてコンサートツアーなどでの仕事を開始。後に単身ロンドン・ニューヨークで、ビバップ、ヒップホップ、ハウス等オールジャンルのダンスを習得。1980年代後半、TV番組「ダンスダンスダンス」にてセミグランドチャンプに輝き、現TRFの母体となる「MEGA MIX」を結成。後にTRFの初期メンバーとして活動。1990年代、MEGA MIXからYUKI、GOTOと共にSOUND CREAM STEPPERSを結成。以後、ゲストショウケース、ゲスト審査員はもちろん、浜崎あゆみ、パクヨンハ、KAT-TUNなどをサポート。今現在、SOUND CREAM STEPPERZに表記を改め、自身も時折HORIE HARUCALLOWAY (ホリエ・ハルキャロウェイ) と名乗りながら、ジャズ・フュージョン、ハウスなどのステップと共にマイクを握って韻を踏み鳴らしている。

ダンスが好きでさ、ダンスを踊ってだよ、
その感覚だけで生きられたら、その人生は成功でしょう (笑) 。

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早速ですが、HORIEさんの中で、ヒップホップ、ブラックカルチャーの虜にさせている、そのど真ん中にあるのは何ですか?

HORIE

(長い沈黙) ・・・フリーダムみたいなものだよ。自由さっていうか。あと、ジャンクさ。感覚だけでいけるっていうところだよね。そういうところがいっぱいあるから好きなんだよ、たぶん。

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今のダンスシーンって、広がっていくのか、流れて終わるのかっていう変換期のような感じがしています。ただ、個人的には広げたいという人がいる限り、広がっていくと思うんですけど・・・。率直にHORIEさんから観る今のダンスシーンってどんな感じですか?

HORIE

HORIEうーん、結構、同じような感覚かな。広がりは見せてるけど、少子化とかもあるから、物理的にも難しいかもしれないけどね。子供がどんどん少なくなって先細りになっていく、って思った時に、もしかしたら、 (ダンスは) 今大人の人たちがずっと楽しんでいくものなのかなってたまに思ったりもするし、逆に人は少なくなっても好きな人はやってるはずだから、ずーっとこういう風に続いていくんだろうなとも思う。

本当にポジティブに考える時は、ダンスとか音楽なんかのストリートカルチャーが、革命を起こすくらいの力になると思う。ヒップホップ第2次革命みたいな感じで。虚脱感や無目的感とかを覆すような気がするね。音楽とかダンスで革命を起こせたらいいよね。戦争や暴力では何も解決しないってことは誰でもわかってるから。実際、地球規模で考えると、絶対俺たちが手出しできないようなところで、手出しのできない紛争がいつも起きてる。俺たちがいくら叫んだって、新聞社に電話したって、どうしようもできない悲しい話もいっぱいある。でも、ものすごいアーティストやダンサーの力で、ジョン・レノンみたくさ、ダンスで地球を救う人が出てくるんじゃないかなとか真剣に考えたりもしますよ。

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HORIEさんのような上の世代の方がそう思っていてくだされば、下にも繋がっていくと思いますよ。

HORIE

さっきも言ったけど、この (ダンスの) 世界は感覚で生きていられる、感覚で生きてこられた世界。少なくとも俺はね (笑) 。あまり計算せずにここまで生きてきちゃったんですよ。だから、いわゆる頭のきれるビジネスマンっていう一面がなくていい。でも、その反面、このまま生きていけたら幸せだなと思う。駆け引きとか、損得とか、そういうのでキリキリするような人生は、個人的には避けたいかな。だって、ダンスが好きでさ、ダンスを踊ってだよ、その感覚だけで生きられたら、その人生は成功でしょう (笑) 。

たぶん自分は、人に応えようとする気持ちがすごく強いんだよね。そういう気持ちや、何かを全力でやっていこうとすることと、これまで経験したことで身についた自分の知恵や好奇心、優しさとかをずっと失わないでやっていったら、本当にすごい人になれると思うんだよね。

ハードルの高くなったダンスシーン。逃げ場がなくなる…?

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確かに、人生を感覚で生き切るのはすごいことですね。

HORIE

HORIE今は感覚で生き難い時代ですから。おおらかな時代ではないような気がするんだよね。ヒップホップとかが始まった時代の方が全然おおらかだったよ。もうなんでもアリで無茶苦茶だった。今は、窮屈だなって思う時もある。細かい話だけど、ショーケース一つとっても、きちっと揃えて、きちっと曲もテーマもあって、それこそブロードウェーの舞台に立つくらいの心構えみたいなものがないと、ダンスのプロにはなれない!っていうくらい、ダンサーを志す人にとってはハードルが高くなった。

昔も似たような気持ちはあったけど、皆 (現実を) 見ないようにしてたのかな。今はもう、ちゃんと見えてるからね。でも、今それを突きつけられてる子供とか、若いダンサーは、プレッシャーとか感じてるんじゃないかな。昔はそんなに目標がなかったんですよ。だから、おおらかだったんだよね。どこかでタイトルを取ってこないと!っていう大会もなかっただけの話なんだけど。結構ロマンチックな時代だったのかな。今は現実味が強いというか、リアルになりすぎてるのかもしれないね。俺も自分で考えると、そんなに強い子でもないし、俺、そんなにハードル高かったら別の方に逃げちゃう気がするんだよね (笑) 。

やっぱり昔のダンスやヒップホップは、受験戦争とか競争とか、ちょっと窮屈な世界から逃げてきた子たちに待ち構えていたものだった。今は、ヒップホップの中でも競争が生まれちゃってるからね。気力・体力が充実してる子たちはいいんだけども、実際はきっとそういう強い人たちの方が少数のはず。弱くて、ヒップホップに逃げてきたはずなのに、「ここ、逃げ場所じゃなかったんですか〜・・・」って感じてる子たちが多いような気がする。別にリサーチしたわけでもないけどね。だって、でも、スクールに来る子なんてとかも弱いよ〜?「お前下手くそだ!向いてない!」なんて言ったら来なくなっちゃうよ〜。そういう弱い奴でもしっかり楽しめるよ〜っていうもののはずなんだけどね。

俺は高校くらいかな、自発的に自分の好きな音楽を聴くようになって、楽しみながらやってたから、ダンスにも味が出てきたと思うんだよね。振付の先生がかっちり振付しても、いなたい感とか、まったり感とか、"そんな詰め込まんでも〜感"とか、音楽ももっと抜こうよ〜的な感覚とかは、例えば「ニューヨークが好き!」っていう気持ちとか、自分で手に入れていかないと生まれない。

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感覚で踊ってる人かテクニックで踊ってる人かは、観たらわかりますよね。さらに言えば、感覚にテクニックが伴って、その一瞬を制する人が強いと思います。

HORIE

それは究極だね。ダンスシーンがもっとスパルタになったり、リアリティーがもっと増しちゃって、もっと競争社会になっても、結局俺は俺の感じてることしかしゃべれないと思う。でも、「おーい、競争になりすぎると、逃げる羽目になるぞー、でもどこに逃げるんだー?逃げ場がなくなるぞー」って言いたくなるけどね。

でも、良く考えたら東大受験よりも絶対厳しいって!東大は新入生が毎年何百人か入れるけど、優勝は1つでしょ!?それに対して何万人もが目指すんかい!っていうそんな過酷な世界にしてしまうのか〜と思ってしまうよね。

HORIE本当は皆、日々それぞれの楽しみがある中で生きてるんだろうけど、大きな目的がそこにあるような気がしてね。"有名になる"のは必要なんだろうけど、例えば、コンテストに優勝して名を上げることは、一つの道なんだよくらいに思っててほしいな。もっとあるじゃん。銀座の歩行者天国でパフォーマンスして、雑誌に取り上げられて有名になるとかさ。そういうのも社会的に見るとコンテスト優勝に匹敵するくらいのインパクトを与えられると思うんだよね。犯罪にならなければ、ストリートダンサーらしいやり方でもっと攻めていけるんじゃないかなー。実際、俺が17、18歳の頃に銀座でやったら、警察に止められたけどね (笑) 。

若者に教わり、若者に伝える。それが俺にできること。

HORIE

やっぱりこういう文化は、結構、若者のものっていう部分もある。若者がいつも主導権を握らなきゃいけないだろうし、若者が流行を創るから。だから、俺は流行を若い人に教わってる。でも、歴史的なこととか、若い人が経験できなかったこととかは、俺が伝えるようにはしてる。

新しいスタイルは音楽もダンスも、いっぱい出てくるじゃない?最近は打ち込みのヒップホップとかいっぱいあって、 全然わからない部分もあるけど、若者に「その辺だったら何がいいの?」って直接聞くんだよね。そしたら「HORIEさんはやっぱりサンプリングヒップホップの良さを知ってる人だから、カニエ・ウェスト (Kanye West) とか聞いたらいいんじゃないんすか。」って。 言われて聞いてみたら、「カニエ、いいじゃん!」みたいな (笑) 。あとはミッシー・エリオット (Missy Elliott) もすんごい大好きだね。 だから、若い人にはお返しに、「『ワイルド・スタイル (Wild Style) 』って映画があってさ、ニューヨークのサウスブロンクスで、ゲットーのスラムから抜け出したくて、ヒップホップ音楽が始まって、DJ クールハーク (Kool Herc) 、 グランドマスター・フラッシュ (Grandmaster Flash) 、 アフリカ・バンバータ (Afrika Bambaataa) っていうDJがいたから聞いてみ〜」って話したりね。あとはジャズも好きだから、 「ジャズだったらチャーリー・パーカー (Charles Parker Jr) とか聞いてみ〜」っていう、そういう情報交換を若い人とよくするよ。それが俺にできることだよね。俺が知らないことは若い人が知ってるから。

ジャッジでイベントのバランスを取る。それがカンタローのセンス。

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そんなHORIEさんに毎回ジャッジをお願いしている「DANCE@LIVE」のファイナルが4月20日に両国国技館で行われますね。「DANCE@LIVE」との付き合いは長いんですか?

HORIE

ジャッジをお願いされてるのは立ち上げからだね。俺がオーガナイザーの (カリスマ) カンタロー君を意識したのは、2003年にSound Cream Stepperz (以下、文中サウンドクリーム) の10周年パーティーをCLUB CITTA' でやった時に、ハウスコンテストをやって、あいつが出てきたんだよね。そこが出会いかな。

HORIEそれから彼がイベントをやるようになって、利発な子だから、「僕、こう思ってて、こうやりたいんすよ!」って直球で投げてくるから、「うんうん、頑張れよー」なんてざっくばらんに話せる間柄になった。またストレートな奴だから、「HORIEさんはいいっすよ!いいっすよ!」って感じになって、ともすれば俺の先輩かのように、「いや〜、HORIEさん、ホントいいわ〜。」って俺の頭をヨシヨシ撫でるくらいの雰囲気になったりもする (笑) 。そうやって、あいつにはよく口説かれてるんだよね。「俺とHORIEさんで何か一緒にやりましょう!」とか「俺もHORIEさんのよくわかんないけど足の早いやつ、やりたいっす!」って常に俺に襲い掛かってくる (笑) 。

そんな勢いで、「いつ空いてますかー!?じゃ、この日お願いしまーす!」ってスケジュール入れられながら、細かい打ち合わせはせずに、「HORIEさんはHORIEさんでやってくれればいいっすよ!」って言ってくれる。先輩後輩というよりも、ダンス仲間。いい奴だよ。現場で会ったら挨拶くらいで、あいつも感覚で生きてる部分もあるから、目を見てわかり合える感じかな。俺もジャッジという持ち場はしっかりやらせてもらいますよって感じだし、向こうも、それを信頼してくれてる感じ。俺も人に応えたい人間だから、そんな俺を名指しで呼んでくれるんだったら、「お前が喜ぶような仕事したる!」って思うよね。ま、口説き上手なんだよ。

あいつは社長もやってるし、アパレルもやってて、ビジネスとしての顔もある、そんなダンサーなんて、貴重だと思うよ。プロデュース能力も高いから、俺みたいな感覚肌の奴を (イベントに) 入れて、あえてイベントを硬くしたくないんだと思う。それがカンタローのセンスなんだと思うな。

でも、あいつはエネルギー強いからあんまり会いたくないね (笑) 。たまにでいいって感じ。2・3週間に1回で十分だな (笑) 。

センスのYUKI。ナチュラルなGOTO。今後もやっていける予感がする。

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HORIEさんは本当にナチュラルな感覚をお持ちですね。

HORIE

でも、人間って放っておいてもナチュラルにはなれないんだよ。放っておくと何かに染まっていくから。ナチュラルを志したり、ナチュラルで生きたいっていうポジティブにナチュラル志向じゃないと、ナチュラルには生きられないと思う。

HORIEま、その点、サウンドクリームはいいっすよ〜。3人がナチュラルだし、センスで勝負してる。去年は少しお休みがちになっちゃったから、今年は4月のMAIN STREETを皮切りにまた活動していくよ。サウンドクリームは面白いから、面白がってくれればいいです。

YUKIはとにかくセンスだよね、学ばせてくれる。GOTOさんはナチュラルさとかかな。"嘘で生きちゃいけない"とか、"自分のルールは自分で決めろ"って言われたのもGOTOさんだし、"人の決めたルールで生きちゃいけない"って俺に警告してくれた。そういう影響を与えてくれたのはGOTOさんだね。あの人もそういう風に生きようと努力してる人。俺よりもそういう部分が強いから、商業的な話はほとんどしないね。おいしい話にはまったくなびかない。"なびかない度"は半端ないね (笑) 。GOTOさんは手強い、だからかっこいいんすよ。

逆にGOTOさんからは、俺の“人に応えたい”っていう部分とかから学ぶことがあるらしく、「HORIEからもそういうところからは俺がもらってるから、トントンだよ。」って言ってくれるね。うん。だから今後もサウンドクリームはやっていける予感がする。

確かにかっこいい素晴らしいショーはいっぱいあるけど、その人自身が楽しんでるかどうか、っていう部分はあるよね。変な話になるけど、俺たちは楽しもうとする貪欲さが強い。結果、人様にある程度のものは提供したいんだけれども、それよりも自分たちが楽しむ方が勝っちゃうんだろうね。そこも一つの魅力なんだろうから、そこを大事にしていきたいと思うよ。

まぁ、まずサウンドクリームの3人で集まったらもう「振りはシンプルで」ってなるし、YUKIなんて下手したら「ルーティーンいらない」ってなるし (笑) 。「え!?合わせ一個もやんないの!?」「いいでしょ?」「よくないっしょ!?!」って (笑) 。がっちり止めないとホントにそうなるからね〜 (笑) 。

HORIE俺は一応リーダーだから全体のバランスを考えるんだよ。イベントによって、ハウスは他のチームが来るだろうから、俺たちは今回もビバップ系でいこう、とか。でもそこでYUKIが「ハウスやりてー。」って言うと、俺もGOTOさんも好きだから、「ハウスいいねー!」ってなびいちゃうんだけど、俺がバランスを見て、「やばいやばい!待て待て!ハウスチームは他にもあるし、お客さんも違った方が楽しめるだろうから俺らは変えていこうよ!」みたいな調整は俺がするんだよね。だから面白いんだけど (笑) 。

オーディションを受ける健全な表現者。

HORIE

でも、まぁ、ダンサー人生は過酷ですよ。ま、どんな仕事しててもあるんだろうけど。今でも、若い人に混じってオーディションを受けたりもするんだよ。たぶん、表現者としてそれが健全な姿なんだと思う。ダンスの世界だけで見ると、「HORIEさんは大御所だから、来た仕事やるんでしょ。」ってイメージで思われてるかもしれないし、インタビューでもかっこつけてそういう風に自分を出したりする時もするからね。すごくやっぱり過酷な世界だし、ショウビズの世界でね、自分に魅力もないくせに有名になりたいとか、蓄えもないくせに人に何かを与えたいとか、そんな矛盾はありえないからね。

HORIE俺もやっぱり蓄えたものを、日頃勉強したものを出したくて出したくてしょうがない。それで、オーディションを受ける。やっぱり17、18歳からオーディションを受けてるだけあって、うまいんだよ〜。踊りじゃない時は落ちる気もするんだけどね、ダンスだったら絶対負けない (笑) 。でも、振り自体はきついよ〜 (泣) 。プライベートでは絶対やらないような振りだからね。「あ〜俺が今までこだわってきたダンスが一個も入ってねー (泣) 」って (笑) 。でも、ゲットしなくちゃいけないから。ある意味、若い子と同じ状況に身をおかれるわけですよ。

かと思えば、別のオーディションでは自分が審査席に座ってる時がある。受ける側も見る側の時もあるから、受けてる時に感覚的に受かるかどうかはわかっちゃうよ。俺の場合、全開でやるかやらないかのどっちかだけどね。

でも、これは長年オーディションを受けてきてわかったことだけど、過去の自分を出してうまくいった試しはないね。そんなの書かれてたって、今の自分その人しか見ないから。経歴として何も持ってない人よりは通用するかもしれないけど、それだけ。だから、オーディション会場に行ってもそういうダンサーの過酷な一面は感じちゃうね。

ダンス中心の人生・・・神様に選ばれた幸せ者。

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今ダンサー人生を振り返ってみて大変だったことってありますか?

HORIE

ぶっちゃけて本音で言えば、今でも崖っぷち。外からは見えないかもしれないけど、内面ではすっごいエッジの所に立ってる感じ。「いい歳してなんでこんな不安感に苛まれてるんだろう・・・」ってよく思う。でも、もう一人の自分が、「でも、そういうドキドキ感、好きなんでしょ?」っていう自分もいる (笑) 。でも、さっきのオーディションの話じゃないけど、何の保障もない中で一個一個体張って生きてるし、うん・・・うん、怖いよね。自分の中で怖さをクローズアップする時もあるよ。その危険度は、18歳の頃、この世界を志した時と変わらないね。この健康な体と、勉強熱心な自分がいるから、何とか崖っぷちを、ずーっと、ただ滑らずに歩いて来れただけ。崖っぷちは相変わらず崖っぷちのまま。「え!ダンスの大御所の人がそんな感覚で生きてるの!?」って思われるかもしれないから、なかなかこういうことは人前では言わないけど。でも、その反面では、ものすごく楽しいことがいっぱいあるんだよね。

HORIEそれぞれ違うだろうけど、俺は一般的なダンサーが取るような生活を送ってないのかもしれないね。 俺は本を読むのが大好きで、とにかく読書家なんですよ。俺がすごいなって思ってる人のエッセイが好きで、その人の半生記とか自伝みたいなのを読むと、大体"良く生きなさい"とか"人に迷惑をかけないなら自分の好きなことをしていいですよ"って書いてあるもんね。やっぱり学ばなきゃいけないなって思うよ。もちろん羽目をはずして、失敗や馬鹿なことは誰でもするよ。勝負は、いかにそれを反省して何を学ぶかかな。教訓として次に活かさないとね。

だから、俺はたいていトレーニングに行くか、図書館に行くかどっちかなんだよね。ダンスに関係ないけど、国際政治学とか宇宙の話とか知るのが好きなんだよね。感覚的に生きてるから、野蛮に見られがちだけど、俺としてはインテリジェンスに思考してるんですよ。インテリになりたいというか、生きてる間にインテリジェンスを手に入れたいと思ってる。でも、本を読まないと絶対馬鹿になるって思ったのは二十歳くらいの頃からかなぁ。俺みたいにただ感覚ばかりになっちゃうと、最後には好き・嫌いでしかしゃべらなくなっちゃう。じゃなくて、知識を蓄えて、経験していったら、知恵がつくと思う。「知りたい、知りたい!」って気になってしょうがない。だって、例えば、この点が地球だとしてさ、するとこの離れたところに銀河の固まりが並んでるらしくて・・・そういうことを良く発見したなー!って思うし、もうそっちを考え始めちゃうと俺は帰って来れないね (笑) 。もう大好きなんだもん。男だからというか、誰でも持ってるんだろうけど、純粋に知りたいっていう知識欲なんだろうね。それが自然に沸いてくる以上、止められないね。知りたい・・・知りたい・・・ (笑) 。

まとめちゃえば、俺は幸せ者なんだよ、きっと。ダンスに関して言えば、ダンスを中心にできる人生なんて、神様に選ばれたとしか言い様がないと思う。ダンスを踊るとか、絵を描くとか、歌を歌うとか、そんなの幻想の世界だけど、天国の住人が日頃やってるようなことだろうからね。そんな一番神に近いようなことを、現世でやってる人は、幸せとしか言い様がないよね。


「DANCE@LIVE」主催カリスマカンタローからのコメント

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HORIEさんを毎回ジャッジでお願いしているということですが、ズバリ ジャッジとしてのHORIEさんの魅力とは?

カンタロー

カリスマカンタローまずHORIEさんの魅力は、ずばり表情から魅力が溢れているというところです。みんながHORIEさんと話すとハッピーな気持ちになるんです。エンターテイナーですね。事実HORIEさんを嫌いな人は僕の周りは皆無ですし、いないのではないか?と思います。ダンスが上手であろうが、後輩や生徒が沢山いようが最後は人となりです。場の雰囲気を一瞬でハッピーな空間にするHORIEさんの魅力は一言では語れませんね。前々から何かご一緒させて頂けたらという話をしていまして、HORIEさんも快く了承して頂きました!嬉しかったですね。いつか、みんなが見ていて幸せになるショウをすることができたらと思います。

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どんな観点でジャッジを選んできてますか?

カンタロー

もともと自由な表現であるダンスを審査すること自体ナンセンスなことは十分承知しています。しかしながら、今のシーン、「審査されたい、」「自分がどのくらいなのか知りたい」というダンサーがたくさんいるのも事実です。ジャッジを選ぶことは、ある種誰もがその矛盾を知りながら行っていると思います。僕がジャッジを選ぶ際に気をつけている点ですが、どのコンテストやバトルイベントにしても一人!ということはありません。常に複数選ぶのですが、まずは第一人者を選びます。ここはジャンル関係なく選びますね。そしてその人以外のジャンルで、現役の大御所、現役若手、また主催してるイベントで結果を出してるダンサー。という感じで選出しています。しかしながら、ジャッジを選ぶことが非常に難しいです。審査して頂きたいダンサーが出演したいので!と断られるケースが最近は多く、ジャッジ不足でもあります。

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カンタロー君にとって公平なジャッジとは?

カンタロー

僕にとって公平なジャッジとは、「本当にいいダンス、ムーブに出会えた時に、無名・有名関係なく審査をする」、 この点に限られます。また、そのシーンの発展を真剣に考えての審査ですね。今は各ジャンルの中でもスタイルが細分化されてきています。新しいスタイルに目が奪われがちですが、新しいものだけを見ない目が重要だと思います。
'08/04/04 UPDATE
interview by AKIKO
Photo by imu
2008 DANCE@LIVE FINAL Official Web SIte
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