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ELLENI『DAB LOUNGE 〜Fever Sessions〜』
ELLENI『DAB LOUNGE 〜Fever Sessions〜』
ELLENIがオーガナイズしている空間演出イベント「FEVER」が、DABDABとコラボレーション。その名も“DAB LOUNGE”と題して、8月22日にclub axxcisで新たな遊び場が提供される。ダンサーという表現者・ELLENIが演出というツールを使って表現したいものとは・・・。DABDAB新企画となる“DAB LOUNGE”にもご期待ください。

なお、今回文末でレポートをお届けしてくれるのは、TDMのニューフェイス MIDORIちゃんです。ざっくばらんなイベントレポートやコメントをTDM STAFFとしてTDM blogにも登場していきます。「良いモノは良い」「面白いことは楽しい」をモットーに、他のスタッフとは違った価値観でTDMを彩ってくれると思うので、皆さん楽しみにしていてください。

ELLENI 『DAB LOUNGE 〜Fever Sessions〜』ELLENI

From「bulgar」。ストリートシーンで活躍する貴重なwomanダンサー。ジャンルは主にR&B、ノリを重視した重めのHIP HOPが好み。Men'sに引けを取らないそのパワーはCOOLと特に女の子人気が高い。




ELLENI発・総合演出空間イベント「FEVER」、絶賛開催中。

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今、「FEVER」っていうイベントでELLENIがやろうとしていることを見ると、表現の仕方がダンスだけじゃなくなったよね。空間の総合的なプロデュースをしているように見える。

ELLENI

クラブでダンスのショウタイムを見る人って、ジーっと難しい顔して見てるでしょ。だけど、喜んでる顔が見たいと思った。「FEVER」で撮った写真、お客さんが皆「キャー!」って笑ってるの。それが、好きなんだよね。

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ダンスだけでの表現者・ELLENIから、そういう観点で物事を発信する様になったのは、変化だよね。

ELLENI

ELLENI 『DAB LOUNGE 〜Fever Sessions〜』ダンスは自分のベース。ジャンルも、ヒップホップとかR&Bって言われてるけど、何でもいいの。それくらい、昔からダンスが好き。だけど、自分のベースがヒップホップだから、自分とかぶらない表現方法の人たちと一緒に面白いことができないかなって言う発想でやってるよ。

例えば、変装が好きな人と、歌うのが好きな人と、私はダンス。これがあれば人は飽きずに見ていられると思う。私の場合は、空間ありきでそこにダンスではめ込んでいく作業だけど、私とは違う表現方法の人が、その人発信で利用できる空間をFEVERで創ってるの。

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その空間提供はダンスとは違う楽しさ?

ELLENI

全然違う。完全に自分のしたいことをやってるから、地に足が着いている感じがする。

正直に言うと、今まで自分がダンスイベントで踊るのには、すごくやらされている感があったの。自分が表現している側なのに、「こうしなきゃ」「こうじゃなきゃだめだ」っていう気持ちで悩んだ時期があった。

人を喜ばせるという意味では、イベントに合わせて踊ることも、対応力があって、感謝されることなんだろうけど、それが嫌だったんだと思う。だったら、見に来る人が喜ぶことを考えて、全然ジャンルが違うものを創ることのほうが、しっくり来た。

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自分のセンスで動いて形にできているからっしっくりきてるんだろうね。そもそも、FEVERをやるきっかけは何だったの?

ELLENI

きっかけはすごくくだらないの (笑) 。友達と一緒に神戸のバンドを東京に呼んで、生バンドを置きっぱなしで、ダンスや変装でコケティッシュなキャバレーみたいなことをやりたかった。

ただのキャバレーよりも、SMスタイルのキャバレーの方がいいと思って、その企画を目黒食堂の唐さんに持っていったら、すごく乗ってくれて、それで、イベントやってみる?って言われたの。

でも、そのときは企画だけで、主催をやるなんて、めんどくさそうだし、無理だと思ってたんだけど、唐さんがサポートしてくれて、実際は演出をメインやらせてもらえて、今こうして形にできている感じ。

結局、最初の生バンドのアイデアは実現できてないから、いつかはしたいね。

振付より演出の方が合っているのかもしれない。


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FEVERというイベントをやってみて、大変なことや学んでいることはどんなこと?

ELLENI

たくさんの出演者をまとめるから、とにかく連絡を取り合うのが大変!それだけかな。

本番までにリハーサルを2日するんだけど、時間帯で区切って、私は一日クラブにいて、音を渡して、演出のお願いをして、衣装のチェックをやらなくちゃいけない。それ以外は、手伝ってくれる子たちがいろいろと動いてくれるし、本番は、文化祭を皆で作ってるみたいで楽しいよ (笑) 。

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一緒に作っていくときに、ダンサーに指摘することはある?

ELLENI

「踊りすぎないで」って言ってる。結局、クラブでガンガン踊っちゃうと、ダンサー以外のお客さんが踊れなくなる。それが嫌だった。

ダンサーじゃない人でも「イェーイ!」って踊れるクラブにしたかったの。だから、あえてヒップホップよりも、ハウスよりの音をかけるようにした。じゃないと、ダンサーは音をとっちゃうから落ち着かない。その延長で一般のお客さんと一緒に盛り上がる分にはいいんだけど、皆で飲んでゆっくりショウを見られる空間にしたかったんだよね。

あとは、見せ方のアドバイスは一人ひとり違うから、やってもらいながらその人の雰囲気に合わせて変えていく。だから、振付というよりは演出の方が自分には合っているのかもしれない。

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人を選ぶ時の着眼点はどこ?

ELLENI

完全に見た目。たとえ踊りが全然できなくても、「ポーズして立ってて」とか、その人の個性に合わせた違うオーダーをする。

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そう言われて、若いダンサーが戸惑わずに楽しんでいるのは、オーダーが的確だからだろうね。

ELLENI

どうだろう・・・だけど、「その人だったら何ができるか」を私は考えてる。

ダンスを入れ込むバランスが大事。もっと踊りが映えてくる。


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FEVERの今後のビジョンは?

ELLENI

見たことがないショウや、普段見れないショウをどんどん取り入れていきたい。たとえば、マジシャンとか。そういう、見てドキドキするような、楽しいことをやりたい。

ダンスに寄りすぎると、描いていることと違うんだなって、最近わかってきた。いい具合に入れ込むバランスが大事。完全に今までダンスしかなかったから、そうじゃないとものと組み合わせると、もっと踊りが映えるってことがわかった。

結局、すごいものをずーっと見せられても、人間の感覚として、どれがどうすごいのかがわからなくなってくる。クラブイベントもそう。同じような曲、衣装で同じようなダンスをたくさん見てると飽きてくる。だから、違うことをしたいと思った。そのときのお客さんの反応を見たい。マジシャンがイリュージョンで消えた瞬間にダンサーが踊りだしたら、すごく効果的。ここでこういうのが出てきたら驚くだろうな〜とか、そういう人間の感覚を操作したい。それがすごく楽しい。

誕生日パーティーを企画してるような感覚かな (笑) 。サプライズさせたいから。

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誕生日の主役=お客様に対するおもてなしだよね。

ELLENI

うん。だから皆、「楽しい!」「何これ!」って言ってくれる。

あとは、エロス。普通に誰もが持ってる感覚として、ドキドキしちゃうものでしょ。エッチな本が落ちてたら、めくりたくなるのと同じ。だから、それが空間に混じりこんでくると面白いと思う。

でも、下品なのは嫌。そこはものすごく気をつけてる。綺麗で、「え!?そんなことしちゃうの・・・」って少しビックリするようなことが入ってくると、面白いかなって思ってる。

自分に対するのと同じくらい人を好きになりたい。


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じゃ、話は少し変わるけど、そもそもELLENIがダンスを始めたきっかけは?

ELLENI

習い出したきっかけは、マドンナのツアー映像をテレビで見たときに、ダンスをしたくなったから。

でも、もっと昔の、2歳くらいの時に。ピンクレディーとかのモノマネとかをして、大人が盛り上がってくれるのが嬉しかったのを覚えてる。

あと、盆踊りのときに、円の内側に入って一人で逆回転して踊ってたんだって (笑) 。外国人の顔した女の子が、浴衣着て、輪の中心で逆回転で踊ってるから、みんな注目するよね。それが嬉しかったみたい。たぶん、その快感から始まったんだと思う。いまだに親から「あの盆踊りのときは、顔から火が出るほど恥ずかしかったわよ!」って言われる (笑) 。

マドンナのツアー映像を見たのは小学校2〜3年生くらいのとき。それで、ジャズダンスをはじめたんだけど、中学2年生のときはダンス甲子園の大ブームで、友達とロッキンをしてたなぁ。中学3年生の時にジャズで腰を痛めて、それでダンスから1〜2年は遠のいた。高校卒業して、B-LANDっていうメジャーグループメンバーのオーディションに受かって、東京に来たの。パンキング、ニュースクール、ストリートダンスを本格的にやり始めたのは、東京に来てからで、B-LANDは私の転機だったなぁ。

今の子たちはダンスレッスンをたくさん受けてるけど、私は東京に来た時にお金がなかったから、ダンスレッスンを受けれなかった。バイトして、事務所のレッスンを受けるだけでいっぱいいっぱいだったから、自分の習いたい先生のレッスンに行けなかった。だから、ヒップホップに関しては独学になった。今となれば、それで良かったなって思ってるけどね。

TDM

ダンスを通じて、自分がすごく学んだこと、やってて良かったなって想うことは?

ELLENI

それは、もういろんな場面がありすぎるなぁ・・・たとえば、人を信じれなくなっても、ダンスは自分を裏切らない。

あとは、海外に行っても、ダンスができれば、皆と仲良くなれる。

ダンサーはすごく増えたけど、まだまだ見てない世界があると思うし、それこそ、FEVERでいろんなジャンルの人と関わるから、今まで自分がかっこよさのMAXのラインで捉えていた「これがカッコいいんだ!」って思っていたものが、覆されるんだよね。

ポーズだけであんなにカッコいいんだ、人間の身体ってあんなにカッコいいんだ・・・。それまでずっとダボダボした、男の子みたいな格好でずっと踊ってたからね。

結局、男の子みたいな格好をして踊っても、別々に見た時に、男の子のほうに目がいく。それはロッキンやポッピンをしてる頃から気づいてた。最近は女だからできること、女の子の特権を意識してる。たとえば、化粧もそうだし、ヒール履いて踊るのも、女だからしっくりくる。だから、FEVERは、自分の刺激にもなるから自分のためにやってることでもあるんだよね。

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FEVERでダンスも変わった?

ELLENI

変わった。コンテンポラリーな動きが入ったりするようになったし。

TDM

ELLENIの中で“カッコいい”ってどういうときに思う?

ELLENI

難しいね。・・・人を見て、カッコいいって思うときは、その人が自信を持ってるとき。自分も早くそうなりたいなって思う。

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どんな女性になっていきたい?

ELLENI

自分に対するのと同じくらい人を好きになれる人になりたい。やっぱり人間だから、自分以上に他人を好きになるのは難しいと思うけど・・・。私は自分が好きすぎちゃって困るから (笑) 。

条件や規則はあまり作らない。相手のやりやすい条件に対応できやすいようにね。


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FEVERをやってることで、ELLENIの表現を変えたなって感じるよ。少なくとも人が何かをやってくれているから、人が自分に付いてきてる時点で、皆プラスな関係なんだよ。

ELLENI

それはすごく考えるようになった。要は、最初にイベントをやるってなってときに、正直、お金を掛けたくなかった。だから、ノーギャラで出てくれる子たちに何かをしてもらえればいいんだと思った。

普通は、いいものを創ろうと思ったら、ギャラを払って出てもらえればいい。だけど、そしたら、自分の思い通りにもならない。けど、自分が描いたものをやってもらえる・・・そういう始まりだったから、ノーギャラで出てくれる皆には早く還元したいんだよね。

前々から、AKKOちゃんがやってるDABDABは、bulgarで出させてもらってたときからダンスイベントなのにノルマがなくて、すごいなって私は思ってた。だから、FEVERも、「ホントに面白いイベントだから来てよ!」ってみんなが呼びたくなるようなイベントにしたくて。出演者が言えば、お客さんは来るから。

正直、ずっと出てくれてる子には満足にギャラが払えていないし、もっとオーダーしたいことはあるんだけど、なんせ経費で飛んじゃうから・・・だから、早くスポンサーを見つけたいの。インタビューには「スポンサー募集中!!」って書いといて (笑) 。

昔に比べたら、どうやったら、お客さんも出演者も、皆がしんどくなく、皆で楽しくできるかを考えるようになったなぁ。

TDM

中には辛くなって断る人もいるかもしれないけど、それでもいいと思う。一緒に付き合ってくれている人には、還元しようって思えるよね。人が動いてくれるから、還したい・・・そういう風に内容を組めて行けるのは、正しいイベントの作り方だと私は思う。

ELLENI

ホント!?AKKOちゃんにそう言ってもらえるのは嬉しいな。もちろん、初めからそういう考えはなくて、言われてみれば、自然にそうなっていったんだけどね。

TDM

自然にそうなっていったからすごいと思った。だって、FEVERを見て、普通にどういう条件で、こんなにまとめたんだろう?って思ったから。

ELLENI

皆そう思ってるみたいで、よく「どうやってやってるの?」って聞かれる。逆に、あまり条件や規則は作らないようにしてるんだよね。相手のやりやすい条件があるだろうから、それに対応できやすいようにね。

あとは、結構みんな課題を出すと、頑張ってやってくるんだよね。初日のリハーサルのときに、「もっと綺麗に、セクシーに見える形を、鏡の前で研究してきて」って言ったり、メイク道具も「こういう道具を買って、こういう雰囲気が出せたら、写メ送って。」って言うと、実際に送ってくるんだよね。「じゃ、この2枚目の方がいいよ!」って返したりする。言うなれば、ダンススタジオの発表会の振付じゃない分野を、指導してる感じかな。その方が楽しい。

TDM

まさに、総合演出だね。私が出会ったときからELLENIに感動したのは、そのセンス。どういう風に形にするのが、私たちの関係としてベストなのかを探してた。だからこそ、FEVERでやっていることを見て嬉しかった。今回axxcisから「DAB LOUNGE」のオファーを受けたときに、“空間演出”のオーダーだったから、真っ先にELLENIに連絡したの。

ただ、ノリだけで終わるんじゃなくて、私とELLENIだからできたって思われるものにしたかった。そして、そこにどれだけの人を巻き込めるか。基盤は私たちが作るから、もっと演出を考えられる人と、毎回いろいろと具体化していきたいと思ってる。でも、とりあえず、8月の第一回目は二人で遊んでみよう!

ELLENI

うん、DAB LOUNGEでは何をしようかなって構想中だよ。いろんな個性で遊んでいけたらいいね。パフォーマンスをしている人は、自分本位になりがちだけど、来てくれるお客さん中心でイベントが創れたらなって思う。

TDM

では最後に、トウキョウダンスマガジン読者にメッセージをお願いします。

ELLENI

ダンスに興味がある人たちを巻き込んでいくのが私やAKKOちゃんの仕事だと思うから、たとえ踊れなくても、変装やメイク、自己表現が好きな人が気軽に来れるような場所をFEVERや、今後のDAB LOUNGEで提供していきたいと思っているので、ぜひ遊びに来てください!

TDM

そうだね!8/22、参りましょう!

[Report] FEVER by MIDORI

MIDORI

GW直前の5月1日、踊り屋ELLE.2がプロデュースする異色パーティー“FEVER”が目黒食堂で開催され、仕掛けられた数々の罠に訪れた老若男女たちは文字さながらの大熱狂ぶりを見せた。

このFEVERには、Elle.2があらゆる方面から集めてきた多種多様のジャンルのダンサー、SM界の女王様、奴隷志望の青年/女子など、濃厚なキャラを持つキャストが勢揃いしており、毎回大胆で派手な衣装を身にまとい、内側から放たれるエロスの虜となる者も実は何気に多い。

5回目を迎えたこの夜はストリート/サンバ/ポール/エアリアル/コンテンポラリー/ファイヤーetc...次から次へと出てくる華やかでアグレッシブなダンスと悩殺エロ仕掛けの縦横無尽で個性炸裂の斬新2大アートにフロア一体となって大はしゃぎ! それに魅せられ、“ナイーブ”を脱ぎ捨てたゴキゲンな酔っ払いも続出し、こぞって腰をフリフリ、クネクネして賑わい、朝までグッドハイテンションブルースにつつまれる盛り上がりを見せた。

やっぱりせっかくの週末はこれくらいド派手でナイト♪
お疲れ様! そして ごちそうさまでした!

MIDORI : 東京都マニアッ区在住の自由人/適当ヤロー。 その名は ミ ド リ ! 区のおもしろい人ランキング1位を目指してひたすら精進中。 アガれるものなら大体何でもウェルカム! 中でも酒と音遊びとウィキペディアが大好物。 リリカルに、そしてシニカルに、ヨノナカの“らしいよトーク”を展開させちゃうだわよ〜!
'09/08/21 UPDATE
interview & photo by AKIKO
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老舗ダンスイベントDABDABが次にお届けするのは、ダンスフルな演出で彩られたラウンジスペース。空間プロデュースに“Fever”を迎え、色濃い一夜をお届けします。


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