EBONE 〜She is Vivid 若干21歳にして、多くのキャリアを誇るフィメールダンサー・EBONE (エボネイ) 。今勢いに乗り、ショウビズ界で注目を集める存在だ。活き活きとした表情を見せてくれた魅力的な彼女のスタンスとは。アメリカダンスシーンのホットな情報が伝わるインタビューをお届けしよう。 EBONE aka EBZ (エボネイ aka エブズ) NY生まれ、フロリダ育ち。 現在L.A.在住。ミュージシャンの父とダンサーの母の間に生まれ、1歳半には踊り始める。13歳でMTV / Nickelodeonの番組に出演、振り付けも担当。14歳にしてチャカ・カーンのバックダンサーを勤める。2006年にニューヨークに拠点を移し、Broadway Dance Center (NY) を中心に活躍する振付師、Rhapsodyのカンパニー“Rhapsody The Company”に所属。また2006年、NBA“NYニックス”の専属ダンスチーム、NYシティダンサーズに所属。 2007年にはNatasha feat. Clipse“So Sick”のPV、HUEY“Pop Lock And Drop It”のPROMOツアーで“BET",“It’s Show Time & The Apollo”等にTV出演。Cassie、Britney Spears、New Edition, Carl Thomas等のプロデューサーとして活躍している“Ryan Leslie"のバックダンサーとしても活躍。 2008年2月にアメリカを皮切りに世界中で公開され話題沸騰中のダンス映画『STEP UP 2 The Streets』にメインクルーと対立するライバルクルーの一員として出演中。Missy Eliott等の振付師として活躍するHI-Hatが振付けを担当、映画冒頭から始まる地下鉄内でのダンスシーンやバトルシーンでは迫力のあるダンスを魅せている。ダーティー･サウスとウェストコーストのバイブスをミックス、独自のスタイルとファッションセンスと明るいキャラクター、若干21歳とは思えないEBZは今最もホットな若手フィーメールダンサーとして注目されている。(Text bt New York Dance Project) TDM ： まず、今回はジャネル (JANNEL) と、イージョー (EJOE) と共に、アパレルブランド「en4th」のモデルに起用されましたね。映像がとてもクールだったのですが撮影はどうでしたか？ EBONE ： とても良かった！正直最初はナーバスだったんだけど、スタッフも優しくて、すぐにリラックスできたわ。昨日のワークショップでen4thのパーカーを着てたんだけど、汗をかいてもすぐに乾いて、クールよ。通気性が良くって、素材がいいのよね。 TDM ： あなたが参加した映画『STEP UP2』がこの春全米で公開され、ダンスシーンは話題になっていますね。 EBONE ： そうなの。前作の「STEP UP」にも出てきたダンスの学校が舞台。その学校のダンサー達とストリートダンサー達が対立してバトルするんだけど、今回一緒に来日したジャネルもこの映画に出演していて彼女は学校側、私は敵クルーの一員。ストリートでダンスを学んだちょっと不良のグループのメンバーよ。 撮影のときは、すべての振付を毎日8時間、3週間かけて覚えたんだけど、ひざを痛めて病院に通ったりもしてて、まさにブートキャンプみたいだったな〜。私たちの悪いクルーはミッシー(Missy Elliott) の振付で有名なハイ・ハット※が担当で、良いクルーは『YOU GOT SERVED』の振付だったデイブ・スコット※が担当したの。ちなみにデイブは私の初仕事のチャカ・カーン (Chaka Khan) の時にも仕事をしたの。 ※ハイ・ハット(Hi -Hat)： Missy Elliottを始め、Mary J. Blige，Busta Rhymes，Pharell Williams，Kanye West，Ludacris，Eve，Gwen Stefaniなど、観る者の印象に残るトリッキーな世界観を生み出す振付師/演出家。映画『Shark Tale』(2004)、『HOW SHE MOVE』(2008･日本未公開) 、『STEP UP2』(2008･日本未公開) などの劇中の振付も担当し、数々のコレオグラファーアワードも受賞している。 ※デイブ・スコット(Dave Scott)： Omarion，Marques Houston，B2Kら、いわゆるChris Storks関連のアーティストを始め、映画『STEP UP2』、『YOU GOT SERVED』の振付などを担当。豪快さと繊細さを併せ持つ世界的に有名なコレオグラファー。 TDM ： 面白そうですね。日本でも公開が決まれば、是非とも大きなスクリーンで観たいです。その初仕事となったチャカ・カーンは13歳のときということですが、それまでダンスはどれくらいやっていたんですか？ EBONE ： 父がミュージシャンで、母もプロダンサー、現在はフロリダでダンススタジオを経営していて、エンターテイメントに囲まれて育った私にとって、チャカ･カーンは憧れの存在だったの。子供のころからバレエやモダン、タップも踊っていたわ。その後は、L.Aにあるデビー※のスタジオのスカラシップでダンスを習っていたの。生まれはニューヨークで、育ちはフロリダ。ニューヨークでも活動していた時期もあって、今は拠点をロスにしているわ。でも、今回で二回目の来日なんだけど、日本に住みたくなったな〜 (笑) 。 ※デビー・アレン(Debbie Allen)： 1980年代のアメリカの人気番組「FAME」の振付などを手がけた有名振付師。同番組には教師リディア役でも出演し、女優以外にも歌手・プロデューサーとしても活動。L.A.にあるダンスアカデミー・DEBBIE ALLEN DANCE STUDIOの主宰でもある。 TDM ： 日本のダンスシーンはどうですか？ EBONE ： 日本のダンサーは音を感じて踊るのね。もちろん、それは言葉の問題もあると思うんだけど。あとは、練習熱心で、真面目。アメリカだったら、昔から生活の一部としてあるものだし、怠けちゃうと思う。深夜練習なんて、ありえないしね。でも、日本人はダンスをアートフォームの一部として考えていて、すごくリスペクトするわ。 TDM ： あなたの過去多くの経験の中で、一番良かったと感じる、ダンスが必要とされた現場はどこでしたか？ EBONE ： 日本よ！アメリカのエンターテイメント界はシビアで、お金を払ったら終わりっていう感じ。でも、日本では、どこの現場でも、ダンサーに対する協力への感謝と心遣いを感じる。最近、やっとアメリカでも、ダンサーがアーティストとして認められ始めてきたところもあるけど、まだまだ地位は低いと思う。ダンスが好きで、情熱を注いで仕事をしても、そういう現場だと気分がモヤモヤしちゃうわ。 例えば、アメリカではアーティストのバックダンスをやってるとしても、お金や現場の対応の面でちゃんとしたケアのないアーティストや事務所もあるし、たくさんやってるからといって、そんなにいいキャリアとしての価値ではなかったりするの。 TDM ： アメリカではダンサーのエージェンシー (※ダンサー専用の事務所) が整っている分、日本よりもダンサーの地位が確立されているイメージがあったのですが？ EBONE ： 確かにエージェンシーの存在は大きいわ。今、私には二つのエージェンシーがあって、一つは私自身のマネージメントをしてくれるタレント･エージェンシー、もう一つは、そこに所属している新人アーティストにダンスを教えたりしているの。でも、まだまだ不十分な部分もあると思う。 TDM ： 第一線で、様々な年代のダンサーたちと接してきた中で、何か得たものありますか？ EBONE ： ん〜、そこで人から得たものというよりも、それぞれのダンサーたちとの現場で、自分のやり方がいかに通用するかっていうことだと思う。10歳の子と競い合うこともあるし、直接スキルややり方で影響を受けたことはないわ。 ただ、母からは精神と魂を教わった。もちろん父からも。二人とも大好きよ。二人はマイケル・ジャクソンが出ていた映画『ウィズ』の仕事で出会って結婚したの。羨ましいわよね。うふふ (笑) 。だから、私には勉強の才能はないけれど、生まれながらにしてダンスの才能があるんだと思う。 あとは、ラプソディー※との出会いも私を変えた。ニューヨークで彼女と出会って、彼女のカンパニーに参加したのは1年もなかったんだけど、彼女は才能豊かで、オーラも美しい。ダンサー一人ひとりをきちんと扱う、素晴らしい人ね。ママのように慕ってるわ (笑) 。 ※ラプソディー(Rhapsody)： ジャンルにとらわれない独自のスタイルに、全世界からファンを集める能力高いダンサー/振付師。彼女の主宰するカンパニー・RHAPSODY THE COMPANY にEBONEは所属している。 TDM ： 今興味のあることって何ですか? EBONE ： ･･･やっぱりダンスかな (笑) 。あとは、食事ね。他には詩を書いたり、スケートボードも好き。あと、クラブも好きよ！Party！ TDM ： 今アメリカでホットなスポットはどこですか？ EBONE ： ニューヨークのソーホーね。H&M (アパレルショップ) は安くてかわいくておススメよ。友達が働いてるDC (スケートボードブランド) にも入り浸ってて、あそこは店内でも滑れるし、空いた時間はセントラルパークでも滑ってるわ。近くには好きなうどん屋さんもあるの (笑) 。 TDM ： 日本の食事、大丈夫なんですね。 EBONE ： 日本は国も食べ物も皆好きよ。もちろん日本の男の子も (笑) 。キティちゃんのタトゥーもかわいいでしょ。 日本のクラブもいいわ！VUENOSに行ったんだけど、皆恥ずかしがらずに話しかけてくれたの。フレンドリーで、楽しかったわ！ TDM ： では、好きなアーティストはいますか？ EBONE ： プリンス(PRINCE) ね。あとはヴァニティ6 (VANITY 6) とか、1980年代のオールドスクールスタイルが好きなの。ニュースクールのものはあまり好きじゃなくて、自分の教えるときの為に聞いてるくらいね。 ダンサーだったら、アルビン・エイリー※。13歳のときには彼のサマースクールに行ったり、毎回ママとショウを観に行ってたの。あと好きなダンサーは、さっきも言ったけど、ママ、デビー・アレン、ラプソディーよ。 ※アルビン・エイリー (Alvin Ailey)： 現在ニューヨークにある世界屈指のモダンダンスカンパニー｢ALVIN AILEY｣の創立者。過去のインタビューではMiss Prissyも支持していた TDM ： オーディションを受けるときに意識していることは？ EBONE ： まず、見た目を良くすることね。髪型、メイク、付けまつげ、ファッションすべて念入りに。しかも、そのオーディションで求められる雰囲気を意識したりするわ。 TDM ： 最後にトウキョウダンスマガジン読者にメッセージをお願いします！ EBONE ： 夢があるなら、絶対諦めないで。あとは、プロであっても趣味であっても、とにかく続けてね！ TDM ： ありがとうございました！ '08/06/27 UPDATE Interview & Photo by AKIKO & imu 協力 : New York Dance Project 撮影協力 : BEASTAR渋谷校 関連Topics [TDM SHOP] TDM推薦。ダンサー専用スウェットパンツ。− en4th (エンフォース)