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DAZZLE 〜僕らが“イエナイ、イイタイ”こと。〜  
DAZZLE 〜僕らが“イエナイ、イイタイ”こと。〜
今年2月初の単独公演「ienai iitai」を行ったDAZZLEのメンバー、長谷川達也氏・飯塚浩一郎氏に独占インタビュー。独特のスタイルと、不可思議な世界観でダンスシーンにその名を知らしめている彼らも今年で結成11年目を迎え、更なる高いレベルでの表現を思案していた。
DAZZLE (ダズル)
「すべてのカテゴリーに属し、属さない曖昧な眩さ」をスローガンに掲げ、比類ない世界観と独創性に富んだ作品を生み出し続けるダンスカンパニー。ストリートダンスとコンテンポラリーダンスを融合させた、世界で唯一つのオリジナルダンススタイルを持つ。2007年2月には初の単独公演「ienai iitai」を行い、チケットは発売数日で完売。映像とテキストを使って幻想的なストーリーを展開する、90分の舞台作品を発表した。ダンスだけでなくアート・音楽・文学や、映画・コミック・ゲームなどジャパニーズカルチャーの要素を積極的に取り入れ、日本初の新しいダンスエンターテイメントの完成を目指す。ダンスの普及にも力を注ぎ、フジテレビが主催しパパイヤ鈴木氏が会長を務める「ダンス向上委員会」 (D.D.R) にも参加。イベントや舞台などで、より多くの人にダンスの魅力を伝えるべく尽力している。
長谷川 達也長谷川 達也

ダンサー・振付家。1977年生まれ。ストリート・モダン・ダンス・アート集団DAZZLEを主宰し、振付を手がける。SMAP、V6、TRF、Mr.children、ケツメイシ、藤木直人などのアーティストの振付、PV、コンサート出演。その他、ストリートダンスシーンにおいて、JAPAN DANCE DELIGHT vol.8 2ND PRIZE、YOKOHAMA DANCE DELIGHT vol.1 2ND PRIZE、YOKOHAMA DANCE FLASH 2ND PRIZEなどのコンテストで受賞。また、コンテンポラリーシーンでは、横浜ダンスコレクションR「ソロ×デュオ コンペティションプラス」で参加作品が「未来へはばたく横浜賞」受賞。さらにスペインで開催されたMASDANZA 11にて、同作品が最優秀作品賞及びオーディエンス賞のダブル受賞。

飯塚 浩一郎飯塚 浩一郎

ダンサー・コピーライター・CMプランナー。1978年生まれ。慶応義塾大学W+I&Sでダンスを初め、関東大学学生ダンス連盟の公演総指揮を務める。2006年にDAZZLE加入。ダンサーとしてだけでなく映像制作・脚本・プロデュースに関わる。インスタレーションアートやイベントオーガナイズなどコトバとカラダを両輪に、ハイブリッドなクリエイティブを追求している。

不安な音とか聞くと、ゾクゾクしちゃいます (笑) 。

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まず、DAZZLE結成のきっかけから教えてください。

長谷川 達也
(以下達也)


もともとは大学のダンスサークル (=明星大学ダンス愛好会DASH) が始まりなんですが、そこで気の合う仲間と作品を創ろうというのは必然の流れであり、また (ダンス) ディライトに強い憧れを抱いていたこともあって、チームを結成しました。チーム名は「 (強い光などが) 人の目を眩ませる、幻惑する」という意味を持つ“DAZZLE”が気に入ったので。

もともとはヒップホップをやりたくてダンスを始めましたが、僕の所属していたサークルでは同時にジャズも受けなければならない環境でした。それがヒップホップにはない表現の幅に気付かせてくれて、ストリートダンスのテクニックを用いた上で、また違った表現はできないかと考えたのが最初だったと思います。そして、僕は映画がとても好きなんですが、映画にはコメディやホラー、他にも多くのジャンルがありますよね。それはそれぞれに良さを持っていて、同様にダンスの表現もそれひとつである必要はないというか、いろんなやり方があっていいんじゃないかなと思いました。そういったところからですね、暗〜いところにいくようになったのは (笑) 。

当時のダンスシーンは、比較的、人間らしい表現が主流で、活発に、または悪っぽく踊る風潮だったから、じゃあ、僕は逆に、非現実的な表現をやりたいなって…。だから、もし周りが非現実的な表現ばかりだったら、きっと僕らは活発に踊ってましたよ (笑) 。

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神秘的というか、奇妙なスタイルを貫いてらっしゃいますよね。

達也

そうですね。不安な音とか聞くと、ゾクゾクしちゃいます (笑) 。先ほどの話とつながりますが、とにかく独自性が表現者として最も大事なことだと思っていて…。まぁ、どこをもってして独特なのかの判断はそれぞれですが、なるべく人と同じことしたくない。その方が価値が高いって信じてるんですよ。ただ、伝わらなければ意味がないですけどね。

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メンバーの方は現在8名ということですが、それぞれ役割があるんですか?

達也

みんなそれぞれにやれることがありますよ。またその中でも浩一郎なんかは、何でもやってくれますね。映像をやってもらったりとか…

飯塚 浩一郎
(以下浩一郎)


(公演「ienai iitai」)劇中の映像とかは僕がやらせてもらいました。もともと大学で映像を学んでいて、今も映像関係の仕事をしているので。

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すごいですね。でも、ダンスは時間的にできるものですか?

浩一郎


無理矢理やってます (笑) 。でも、ダンサーの人も皆さん忙しそうですもんね。だから、結局他のメンバーと同じなんじゃないかなって。頭を使う仕事だからこそ、ダンスでバランスを取っている部分もありますし。あとは村上春樹さんも言っているように、創作活動を支える集中力を維持していくのは、体力だと思うので仕事にもプラスになっています。

達也

忙しさの中にもいくつかありますね。人によりますけど、練習の時間と、創作活動に費やす時間。創造のインスピレーションが降りてくるかこないかは、気まぐれみたいなものですし、降りてくるまでは常に考えていなきゃいけない。そういう状況だと、体は空いてても、「忙しい」って言っちゃうことってよくあります。

いいダンスはいつの間にかなくなってしまう。
DAZZLEをその中のひとつには絶対しちゃいけないと思った。

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今年2月に行われた公演「ienai iitai」のきっかけは?

達也

DAZZLEが結成して今年で11年目なんです。他の舞台への出演や、スタジオ公演を演出させてもらうことは、それなりに経験してきてはいたんですけど、正式な形での自主公演というものはやったことがなかった。10年経って、いつも使い捨てになってしまう作品を、今度はちゃんと映像作品として残したかったし、そろそろひとつ形にしなければならないと思ったんですね。「ダンスで食べていきたい」、「DAZZLEっていうチームで稼げるようになりたいね」っていうのは、みんな思い描いているんだけど、なかなか現実にならない。もちろん、楽しいから踊るっていう部分はあるけど、それだけでは続けていけない、いつか辞めてしまう。だから、そうなる前にやっておかなければいけないことのひとつがその公演でした。

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2001年の「JAPAN DANCE DELIGHT vol.8」ではDAZZLEとして第2位に入賞していますが、 (編集部が用意していた当時のディライトマガジンを指して) この時のメンバーとはまた違ってますよね?

達也

懐かしい〜!はい、違いますね。増えてますし、変わってます。辞めちゃった人もいますしね。メンバーはほぼ大学のサークルのつながりですが、浩一郎だけは別で「一緒に公演をやろう」って言ってくれたんで。一番後に加わって、一番仕事ができるメンバーです (笑) 。

浩一郎


もともと達也さんたちとは別のサークル (=慶応義塾大学W+I&S) でダンスを始めて、関東大学学ダンス連盟で振付の達也さんと出会い、かっこいいな〜と思いつつ、その後は自分なりのダンスをやっていました。ダンスは好きだったんですけど、好きだからこそダンスで食べてくのは難しいと感じていましたし、ダンス以外に表現したいことも色々あったので、広告会社に入社して、今はコピーライターをやっています。社会人5年目くらいの時に達也さんに舞台に誘われて出てみて、「あ〜、やっぱり達也さんのダンスっていいな〜」って思ったんです (笑) 。それで、ダンスでも本格的に何かやりたいと思って、DAZZLEをやろうと思いました。

たぶんDAZZLEじゃなかったら、仕事しながらなんて、やらなかったと思います。どうせやるなら自分にしかできないことがやりたかったし、DAZZLEの人たちが10年間、食べられない中でも、ひたすら磨き続けたこの世で唯一つのダンスは、他にないものだし日本の誇るべきものだと思っていたんです。

いいダンスっていつの間にかなくなってしまうじゃないですか。僕もダンスを10年やっていますが、いなくなってしまった素敵なダンサーたちが一杯います。DAZZLEをその中のひとつには絶対しちゃいけないんじゃないかと思って、ビジネス的な面でもクリエイティブ的な面でも色々経験しているので、何らか力を貸して形にできたらいいんじゃないかと。

達也

この公演のきっかけをくれたのも浩一郎だし、公演のタイトル「ienai iitai」を考えてくれたのも浩一郎なんです。

ダンサーへの視点から、ダンスを知らない人への視点へ。

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当時、コンテスト向けて創作していた感覚と、今の創作活動での感覚は何か違いますか?

達也

当時は、ディライトが最大の目標だったので、そこにつぎ込むエネルギーはすごかったなぁ。

コンテストと舞台の違いには、まずは単純に尺が違います。5分間の作品と90分間の作品。この85分の差はとても大きいですね。5分間良く見せるのでさえ難しいのに、90分は途方もない。仮に5分良くできても、そのエネルギーを当たり前に90分は維持できないですし、90分を創るには、あらゆる要素を用いて構成しないともたない。だから、長い作品の場合、踊ることよりも、それを面白く見せるための環境の方が大事になってくる、と僕は思っています。

コンテストの場合は審査員を含め、同じダンサーに向けて観せるっていう視点で取組む部分が多かった。でも、今はダンサーに対して踊るわけではなくて、ダンスを知らない人が見たとしても、面白いと思ってもらえることを考えるようになりました。もちろん、当時から面白いことをやろうとは常に考えてはいましたけどね。そういう見せようとしている方向に幅ができたと思います。

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振りを作る過程はコンテストも舞台も変わらない?

達也

コンテストはとにかく踊りを見せること。もちろん、僕らの表現の仕方って踊りだけじゃなくて、様々な要素が含まれてますけど。でも、公演になると、規模が大きくなるので、踊るだけでは1時間半もたないんですよね。舞台を作りあげる上で必要な要素って、コンテストで踊ることよりも、もっともっとたくさんありますしね。さきほども言ったような環境が重要になります。

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今回の公演で何か大変だったことはありますか?

達也

物語を作ること、衣装、照明、映像、音楽、製作、そして踊りを創ることも全てですね (笑) 。行き詰まると映画を見て発想を養ったりします。自分のイメージに近い映画を観たり、まったく違う作品を観たり。

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映画ですか。何か好きな映画はありますか?

達也

スタンリー・キューブリック全般とアンドレイ・タルコフスキー、あとはジャン=ピエール・ジュネ、他にもジム・ジャームッシュも気になるし、ペドロ・アルモドバルも好きです。

浩一郎


僕は、言葉とか人の想いの機微が描かれている映画が好きで、ソフィア・コッポラの『ロスト・イン・トランスレーション』っていう映画はすごく好きです。特に何も事件が起きない。その中で、心の微妙な移り変わりを、言葉やしぐさの端々で表現して、作品として成立させている。それは本当に難しいことだと思うし、そういう微妙な感覚的なものを見せる映画をよく見ます。

ダンスの力、人間の持っている可能性を伝えることが、
これからダンスの社会的な意味だと感じます。 

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同じようにダンサーとして舞台の創作に携わる人たちに対して、何かアドバイスはありますか?

達也

ん〜、そうですね。5分の作品だったらできると思うんですけど、それが何倍にも膨れ上がると途方もない。やり方としては、発表会みたいにいろんな作品をばーっと踊ってくだけでも、一応公演には成り立つので、それもひとつだと思います。ただ、僕は映画的なテイストにしたいと思ったので、また違った作り方になりました。

物語を作って、話に矛盾がないように何度も書き直して、そこから、じゃあこのシーンはどう表現できるんだろうって考える。今回の公演で言えば、男女間のちょっとした恋愛のシーンがあって、でも、メンバーに女性はいませんから、どうしようかっていうのを、じゃ、映像にしようっていう風に解決したり。シーンに合った曲を編集するのも、1時間半の照明プランを考えるのも途方もなかったですが、すべては自分やDAZZLEがやりたいこと、そしてDAZZLEを応援してくれる人たちがいるってことを、とても意識しました。そして、舞台で表現したいと思っている人は、とにかく「やる」ことだと思いますよ。

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振りを付ける割合に関してはリーダーの達也さんが多いんですか?

達也

そうですね。全体的な演出みたいなこともやらせてもらっているので、大体は携わってます。その中でメンバーにいろいろ手伝ってもらっています。それはこの公演でも然り。ただ、演出家としては振付を頼む場合も、こういうテーマで、こういう空間で、こういう衣装を着てこの曲で振付してほしいというのを、あらかじめ指定した上でメンバーに渡すようにしています。もちろん、メンバーからのアイデアをもらって構成することもたくさんありますよ。

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今回の公演で学んだことは?

達也

今回ご協力いただいた照明さん、音響さん、そして映像・撮影してくれたクルーにしても、多くのキャリア、そしてセンスもあるすごい人たちにお願いしていたんです。知っている人から見たら、初めての公演なのに脇固めがすごいね!って言われるくらい。その方たちには、初回ではありますが僕らの将来性を見込んで…っていう風にお願いして、気持ちでやって頂いた部分が大きいので、本当に感謝しています。そういう縁でつながった方たちに支えられてできた公演はすばらしい作品になったと自負しているし、そんな中でつながった縁や絆こそが、実は一番大事なことなんじゃないかと思います。

浩一郎


これはコピーライター的視点ではあるんですけど、僕は、この舞台を創るにしろ、DVDにするにしろ、DAZZLEっていうものを社会と接続するべきだろうっていうことをずっと考えていました。ダンスって、社会生活と関係のないところで行われていることが多い。人が生きていて、ダンスを見なくても、生きていけたりしますよね。ダンサー自身も、自分がかっこいいと思うことがやれればいいじゃないって思ってやってる人が結構多い気がするんです。そういう中で、見ている人に何かを与えたり、人の心を動かすものがないと、意味がないっていうか、存在が許されないというか。僕らが舞台をやる意味っていうのは、人にいいなって思ってもらうこととか、感動してもらうこととかじゃないかなと、僕個人はすごく考えていました。

舞台が好きなんでよく他の作品も見るんですが、"なんかよくわかんないな"とか、"かっこいいけど、それだけ"っていうのが多くて、今回はそういうのにはしたくなかったんです。90分間の中で、一瞬一瞬の振りのかっこよさだけではなくて、全体を通してストーリーや演者の心の流れも理解できて、ダンスも楽しめて、ちゃんと観ている人の気持ちが途切れずに、最後まで辿りつけるような舞台を創りたいなと。ここでこう思って欲しいし、最後はこう思ってほしいなっていうことを考えてはいますけど、それは人それぞれが思えばいいことであって、とにかく、何かをちゃんと感じてもらえる舞台にしたいなと思って創りました。

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社会の中でのダンスの必要性を考えることは大事だと思います。

浩一郎


例えば広告の仕事だと、車を売りたい場合、この車がなぜ開発されて、どういう風に社会に必要とされるか、ということを考えます。そんな日々の生活に必要とされるものであっても、社会によって判断されて、差がついたり、淘汰されたりする。じゃ、ダンスって本当に必要なのかなって、毎日踊るたび、DAZZLEに関わるたびに思うんですけど、たぶん世の中の人はそんなに必要としていないんですよね。でも、必要としてもらうためにはどうすればいいのかなっていうのを、すごく考えます。その中で、まず僕が考えるのは、身体性の復活です。現代の人たちは、子供たちは特に顕著ですが、人や自然と直接触れ合う機会が減少して、体で何かを把握する身体感覚が低下していますよね。そういう状況で、「体で感じる」ということがもっとこれからの世の中に必要なんじゃないかと。そして、ダンスがそれを伝えるにはすごくいいんじゃないかなと思います。

あとは、命の力というか、人の肉体から出るエネルギーを感じる瞬間は、スポーツもそうだと思いますけど、芸術の面でも、僕個人はすごく力をもらいます。だから、ダンスがもっている力というか、人間が持っている可能性を伝えるっていうことが、これからダンスの社会的な意義として作っていくべきことかなと感じます。

DAZZLEは、ちょっととっつきにくそうな特別な世界観を持っているわけですけど、僕らが作る公演とかDVDは、実はすごく見やすいものなんじゃないかなと。まず、"わかる"とか"伝わる"とか"理解できる"っていうのが、大事だと思うんですが、DAZZLEの舞台はそれらのことを助ける要素が、たくさん散りばめられています。ダンスは言葉が本来的にはないわけで、あまりにも何もない状態でダンスだけを見せられても、「なんだかすごい気もするけど、でも、なんだかよくわからない!」って、ダンスをしていない人だったら思うんじゃないでしょうか。でも、ダンスをしていない人が観ても、ある程度理解できるような状況を作ってから、ダンスを見せたいんです。DAZZLEは言葉もあり、演技もあり、ストーリーも映像もあって、ダンス以外の数多くのもので構成されていますが、それはダンス以外の余計なものというよりも、そういう要素が、観ている人の理解を助けることによって、よりダンスに集中できると思います。だから、僕はDAZZLEの舞台作りではダンス以外の部分も頑張っていきたいですね。

やっぱり僕にとって"伝える"って大事なんです。僕らはダンスに関わってると、たくさん大切で素敵なものをもらってるのに、世の中の人は、なぜダンス無しでも生きていけるんだろう、もったいない!って思うんです。でも、それは、わからない・知らないから。僕は舞台に立つ経験もしているので、その楽しみも知っていますけど、観るだけでも楽しいはず。ダンスを観たことがない人の方が多いですしね。本当にもったいない。今のダンスを取り巻く状況は、僕の愛したダンスはこんなもんだったのか!って思いますね (笑) 。

今回の舞台には会社の仲間とかも観に来てくれたんですけど、「すごい良かった!」っていう意見が多かったんです。人が初めてダンスを観るっていう機会も、これからのダンスがやっていかなくちゃいけないことだと思います。ダンスを一部の人たちのためのものじゃなくて、広く開かれたみんなのものにしたいです。

達也

ダンスにあまり馴染みがない人に、DAZZLEを観てもらうと、ありがたいことに大体の方が「面白かった」って言ってくれます。「また、全然イメージしてたものと違った」って言われることも非常に多い。それは、確かに僕たちは「独創的であれ」と思って作品を創っているので、初めて観る人にとって想像にやすくないものを創っていると思いますが、それでも一般の人が持っている、ダンスに対するイメージが基本的に乏しいことも、ひとつ挙げられると思うんですよ。

今、日本でダンスが広く普及されてきているのは、一般にも感じ取れるほどだとは思いますが、それを直に観て、触れる機会はまだまだ少なくて、そしてそれは"なくてはならない"というレベルでももちろんない。だからこそ、今、僕らは頑張らないといけないし、初めて観に来てくれた人が「ダンスってつまらない」なんて間違っても思われないように、いつ観てもらっても魅力的な作品を創りたいなぁって思います。

DAZZLEは“人の心を動かすにはどうすればいいのか?”を
総合的に考えているグループ

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そんなDAZZLEのメンバーは、達也さんにとってはどういう存在ですか?

達也

なんだろう… (笑) 。途中から入ってる子もいますけど、10年経っても、めちゃめちゃ仲いいんですよ。単純に、テクニックじゃなくて、気の合う人たちだからこそ選んでるというか、誘っているので、一緒にやっていて楽しいっていうのが根底にありますね。もちろん、楽しいだけではダメなんですが、切磋琢磨して一緒に上がっていきたい、大切な絆でしょうか。

TDM

浩一郎さんから見たらどうですか?

浩一郎


みんなピュアですよね。そんな人たちとのコミュニケーションが、僕にとってはとても貴重です。やっぱりダンスって、今のところ、間違いなく、人生を捧げるものとしては厳しい道のりじゃないですか。そういう前提がありながらも、ダンスを好きとか愛しているっていう気持ちでやり続けている。しかも、ヒップホップとかハウスとか、主流のジャンルではなく、自分たちがやりたいことをひたすらやり続けるっていうのは、相当根性がないとできないことだろうなって思います。僕にはできないことですし、そこをすごく尊敬していますね。

幸いDAZZLEはダンスだけではなく、"人の心を動かすにはどうすればいいのか?"ということを、もっと総合的に考えているグループですし、僕はみんなとは違って、ダンスに限らず色々チャレンジたいので、脚本や映像もそうですけど、将来的には異ジャンルとのコラボレーションや、ネットを使った双方向な舞台とか新しい仕掛けをやっていければなと思ってます。僕みたいな人がいる、ということが他のダンスグループと違う個性というか、武器になればなと。

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それは、適材適所だと思いますね。そうできない人がいるからこそ、それしかできない人が助かることもあるんですよね。踊れていける人には、その役割があるんだと思いますよ。


達也

そうですね。だから、言ってしまえば、ダンスを辞めていく人がいるからっていう部分もあるかもしれないですね。僕がダンスを始めた頃、上手い人が腐るほどいて、それが同年代だったり年下だったりして、「うわ、上手いなこの子…」っていうのはいっぱいいました。それは寂しくもあり、でも、だから僕が今こうしていられるのかなって複雑な心境でもあり。


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達也さんはD.D.Rの舞台「テーブル・サイド・物語 〜嗚呼!学園編〜」に出演されていましたが、“演技”という表現についてはどう感じていますか?


達也

いや〜、お恥ずかしい限りです (笑) 。演技を語れるほど経験もないので、何とも言えないですね。ただ、まぁ、言葉を使うのか体を使うのかっていう面で、舞台で表現する上での共通点はあると思います。また、演技って他者になることだったりしますよね。それが、自分との比較になる面白さとか…。あとは今まで基本的には言葉のない世界で表現してきた自分にとって、その言葉の持つ力はとにかく強力でした。ニュアンスを少し変えるだけで印象がまるで違うこと。しぐさや表情、立ち位置に視線など、奥が深い…。というか、浅いものなんてないと思いますが…。

「テーブル・サイド・物語 」は芝居経験がほとんどないダンサーで観せる舞台。パパイヤさんの言葉にあった「役者が踊るのは良いんですね?では、ダンサーが芝居をするのはいけませんか?」というセリフに個人的に奮い立ちました。この言葉に、ダンサーの価値に対するメッセージが示されているように思えて、絶対格好よく演じてやる!と思ったものです。

それにしても、芝居は素人同然のメンバーでやるので、出演者全員で芝居のワークショップを何度も受けました。そしてそのワークショップでも特に印象深かったのが、言葉を使わない演技でした。それが感覚的に踊りと似ている部分があって面白かったんです。例えば、舞台上で人の動きに対して、自分がどう動くか。相手が言葉に発さずにアクションをするんですけど、その意志を感じて、それに対してまた何かアクションで返す。言葉を使わずに相手に意思を伝えるっていう感覚が踊りと似ていて、すごく面白かったですね。

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今後の活動予定や、追及していきたいことはありますか?


達也

まずは続けることですね。続けながら、もっともっと多くの人に見てもらえるようになりたいですし、また、今回作ったDVDを元に活動の場も広げられたら、と思います。あとは、漠然とですが国外でやってみたい気持ちもあります。ですが、とりあえずはまた来年2月に次回の公演がありまして…すでに切羽詰ってますよ〜。もう苦しみは始まってます (笑) 。前回同様、映画的な展開なのですが、内容はまた違った感じになる予定です。

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次回作も期待しています。頑張ってください。今日はありがとうございました!
interview & photoby AKIKO & imu
'07/11/23 UPDATE
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DAZZLE第一回公演「ienai iitai」収録DVDを公式サイトで発売中! DAZZLE第一回公演「ienai iitai」収録DVDを公式サイトで発売中!

2007年2月に行われたDAZZLE第一回公演「ienai iitai」を映像化。ストーリーの全てと表情・細かな動きも捉えた完全版ディスクにダンスの全体像を収めた「long shot ver.」ディスクを加えたDVD二枚組を3500円 (税込) でDAZZLEオフィシャルサイトにて販売中。

予告TRAILER
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<速報!>DAZZLE第二回公演 「eyescream (仮題) 」
日程 : 2008年2月22・23・24・25日
会場 : 池袋シアターグリーン BIG TREE THEATER
※前売りチケットの予約申し込みは、2007年12月15日にオフィシャルサイトで受付予定。
※その他の詳細は後日DAZZLEオフィシャルサイトにて公開。


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