TDM - トウキョウダンスマガジン

『ダンス・スタイル・ハウス』 HIRO×藤田浩史×井爪敦〜伝・導・写〜
『ダンス・スタイル・ハウス』 HIRO×藤田浩史×井爪敦〜伝・導・写〜
2009年2月末に発売されたレクチャーダンスDVD『ダンス・スタイル』シリーズ最新作に登場したジャンルは、満を持しての“ハウス”!今回TDMが意見を聞いたのは、今作のトータルプロデュースを勤めたHIROと、過去のシリーズを共に創り上げてきたコンビ、映像クリエイター藤田氏・ディレクター井爪氏。今作のこだわり、ディライト優勝ネタ話、映像とダンスの関わり方や、シーンへの警笛などを残していってくれた・・・

HIROHIRO

DANCE FUSION、S.T.O、ALMA、GLASSHOPPERに籍を置き、日本国内外でその名を知らない人はいないダンサー界のスペシャリスト。昨今ではイベントオーガナイズやスタジオ運営なども手がけ、そのクリエイティブをより幅広い分野で開花させている。本文中にも出てくる通り、2008年ジャパンダンスディライトで悲願の優勝を遂げ、ますます活動の場を広げようとする彼のビジョンにご注目。


藤田藤田浩史

03年の『ダンス・スタイル・ポッピン』から、ダンス・スタイルのビデオ・DVD製作に参加。ストリートダンス以外にも、バレエ、コンテンポラリーなどの映像制作に積極的に関わる。07年まで「スマステ」「めちゃイケ」「はねトび」などバラエティー番組でのグラフィックワークをやりつつ、PV・映画・アニメなどの編集・合成も担当。現在フリーで活動中。

井爪井爪敦

03年よりダンス・スタイル編集部に所属。月刊誌「ダンス・スタイル」(※現在は休刊中)と、ダンス・スタイルのレクチャーDVDシリーズの企画、進行を担当。本作『ダンス・スタイル・ハウス』をはじめ、03年以降のDVD作品のほとんどを手がける。また彼が2年の歳月をかけた最新書籍である「ISOPP 完全燃焼〜Perfect Combustion〜」も好評発売中。paydayとしてダンス活動も行っている。

映像のかっこよさ。ダンスのかっこよさ。

井爪

ダンス・スタイル・ハウス』を今年2月に発売しましたが、結構反応がいいみたいで、売れ行き好調らしいです。ハウスをやりたがってる人たちが、ダンスをしていない層にもいるんじゃないかなと。

本誌で“やりたいジャンル”のアンケートをスタジオや安田でとったんですけど、ハウスが一位でした。前まではハウスは売れないって言われてたんですけどね。

HIRO

なんか、やらせみたいな話だな・・・ (笑) 。でも、ハウスが好きで、踊りがやってみたいって人には、この『ダンス・スタイル・ハウス』が、ハウスを始めるきっかけにはなるかもしれないね。

ちなみに、このDVDを宣伝するかのごとく、最近、DVDに収録されているステップとかをクラスでやってるんだけど、ダウンの前回しと後ろ回しは、限りなく誰もできないね (笑) 。「DVD見たんですけど、SHUHOさんの説明のステップ、よくわかりません。」って言われた (笑) 。

藤田

自分個人としても、ダンス・スタイルシリーズでハウスを作りたいっていう気持ちをずっと残してたし、ダンサー寄りではなく、自分と同じような、ハウスをやりたいと思う人たち用に作ろうとは努力したんだよね。俺の意識として、ダンサーのためだけには作ってないからね。

DVDはダンスができない人が見ていたりするから、見てすぐにできなくて当たり前。あとは、自分も含めスクールに行くのが恥ずかしい人が見てたりする。レクチャーもののDVDは、レッスンに行ったときに順番がわかるとか、知識としてステップの名前を知るためだけでも価値があっていいと思ってるんですけどね。

HIRO

確かに、よく「DVD見てました!」って言われることが多い。最終的にイメトレになれば良いと思う。俺たちの世代だと、L.L BROTHERSのビデオは絶対みんな見てるよね。俺は、あれでクラブステップを覚えたんだもん。ウェーブはビデオを見てもできなくて断念したけど (笑) 。

藤田

ウェーブもヒットもかっこよかった!

HIRO

そう、かっこいいんだよ。VHSかDVDかウェブかのメディアの違いはあれど、いつの時代にもダンスに映像は必要だよね。

井爪

L.L BROTHERSのウェーブはすごかったですよね!

DVDを見ただけで上手くなるのは難しいと思うんですけど、でも、何かの取っ掛かりとしてはいいと思うんです。そういう意味で、『ダンス・スタイル・ハウス』は伝え方のバランスがいいと思います。ストリートダンスのかっこよさを追求しすぎても、取っ掛かりになれないし、かといってダサいものになってもいけない。

ダンスをやってる人たちは、映像のかっこよさに重点を置きたがるんですが、俺はそこに重きを置いていなくて、あくまで映像ではなくダンスのかっこよさが優先。今回の『ダンス・スタイル・ハウス』に関しては、まず「ハウスダンスってかっこいいよね」って思えることに重点を置いて撮りました。

藤田

前にHIROさんとも話しましたが、超一流のダンサーになってくると、編集がいらないんですよね。一応押さえで2台のカメラで撮りますが、1台だけの映像で、しかも一切手を加えないままでOKなんです。この事実はすごく踊りの本質を突いていて、踊りの素晴らしさを伝える上で編集は必要ないんですよね。

HIRO

ダンサーは映像に対しては素人だけど、ダンスの映像を見ている数はプロ以上。最終的には、ダンサーはパッと見た第一印象で、かっこよかったかどうかを判断するから、そこにダンスの躍動感だったり、かっこいい雰囲気が消えない撮り方をしてもらったときに、かっこいいと感じる。

そういう意味では今回の作品も、すごくシンプルで、明かり具合とか、動きの残り感というか、クリアに見えすぎてない感のバランスが、よくできてると思う。 映像で何を見せたいかというコンセプトがはっきりしてくれている方が、見る側にとって良心的だと思う。

藤田

今作のパフォーマンスの部分と、クラブで撮った普通に踊ってる姿だったら、絶対後者の方がかっこいいと思います。でも、1時間ただ踊ってる映像だけだと、見なくなっちゃう。俺の中でダンスの良さっていうのも見た目のかっこよさだけではなくて、映像にするときも、どうすれば無駄がなく、見てる人に「また見たい」と思ってもらえるようにするかを一番大事に考えてます。

HIROさんたちが優勝したダンスディライトのネタと同じで、いかにあの5分間を飽きさせずに見せるか。そういう考えは1分でも5分でも1時間でも一緒。その中で必要な要素を、バランスよく配置することが大事。必要なものを整理して選んで見せるっていうのは、ダンス、デザイン、言葉を整理する感覚とも同じです。

“デザインがいい”イコール“見た目がいい”という言葉にもなってるところがあるけど、実際、デザインとは“機能的に洗練されたもの”という意味。なぜデザインの良さが求められるのかというと、無駄がなくて、見た人が気持ちよくなれるから。ディライトネタは、洗練されていた作品で、また見たいと思いましたね。

これで優勝できなければ、俺ら終わってるなって思った (笑) 。

HIRO

あのネタは珍しく、振りの前に構成を決めた。“ここは5人でこうする”、“ここで移動する”、“ここで音にはめる”とか。中に組み込む技もショウタイムで何回か予行練習してたんだよね。その他の技も、なんとなくこうすればできるっていう感覚をつかんでたからやろうって思った。そういう使いたい振りを、どういう風にはめて使うかを先に決めた。

全体のバランスを俺が見て、構成をTATSUO君に考えてもらって、振りの際立った部分はPINOに創ってもらった。バランスを見る基準は、さっき洗練された話があったけど、あれと同じで、“無駄に動かない”。無駄に構成をしにいくがために動くことはしない。

“8×8振りをやりました、次の4×8で移動して振りをやりましょう”っていう区切りじゃなくて、音を聞いて、ここはブワッと広がる動きっていうイメージだけを優先して動く。日本人は頭を使うから、横一列、台形、2−3の隊形とかになりがちだけど、そういうのを少しずつやめる。コンテンポラリーと一緒で、どこまで行けるかわからないけど、行っちゃったところに行ってみる。その人のバランスを見て他の人の配置を決める。この決め方は練習を相当しないとできないんだけど。

こういうことは普段俺らはやらなかったから、挑戦だった。コレをやることで、練習が4日も5日も増えちゃったし。「そんなのやらなくてよくない?」ってなりがちだけど、そこを俺は学習した。

ドシッと安定して、手を加えなくても見ていて安心する踊りをする大御所さんがいたとしても、やっぱりずっと見ていると飽きてくる。反面、若い子たちは構成ばっかりでつまんないけど、一瞬「お、面白いな」って思う画がある。頭がいいから、すごく合理的に動く。俺らは「まだまだ体がガンガン利きまっせ!」っていう勢いで攻めたいから、1年前くらいからショウタイムで少しずつそういう練習をしてた。

俺とTATSUO君が音を選んだんだけど、もともと俺の中で最後に使いたいと思ってた曲があって、勝ちにいこうっていうスタンスにしたからそれを軸に決めていった。あの音の並びがあったからあのネタができた。

俺は本当は“ハウス”で優勝しないと意味がないと思ってたから、ああいうトリッキーな曲じゃなくて、4つ打ちのディープハウスを入れたかったけど、5分の中に入れるとそれで流れが変わっちゃう。そこで、展開があって、パフォーマンスとしていい方を選んだ。いかに気持ちよく音に自分たちの踊りや構成が合ってるか。

音を表現しようとしたときに、普通、合わせる音が単発のときは音ハメ、そうじゃないときはカウントになっちゃうんだよね。でも、音の中にシュワー!っていう“風”の音があるとしたら、たとえそこがカウントのツーとかスリーでも、構成で、誰かが前に行けば、なんか全体が“渦”っぽく見える、とか。音を、その立ち位置でルーティンの中では表現できるけど、その音を構成の動きで表現したりすることをあまり今までやらなかった。音ハメばかりになると、音に踊らされて見えるけど、俺たちは音ハメにしたいときもあったり、無視したいときもあって・・・つまりは、音を料理したい。

音を聞いてると、「ここは絶対この動きしかない!」っていうイメージが浮かぶ。ハウスの曲を聞いてると、8分くらいある中で音がブレイクで落ちてから盛り上がる山場が大体1カ所くらいしかないんだけど、そこで「コレはこの振りでこうやるしかない」っていうイメージが沸くんだよね。

井爪

では、すべては曲ありきっていう感じですか?

HIRO

そう。曲があって、並べていって、起承転結をちゃんとつける。

今回のネタで言えば、1曲目でインパクトを取って、2曲目でグルーブがあって、3曲目でひねりがあって、4曲目でスカッと終わりたい、完全そのままだった。ちょうどこれにはまった曲があった。

俺の中では4曲目の“結”をディープハウスにしたかった。でも、勝ちにいくんだったらドドドド!って上がっていくのが、俺たちのカラーだったから。

俺個人の趣味に走っちゃうと、最後はディープハウスで終わって地味になる。俺はそういう方が好きなんだけどね (笑) 。

やっぱりコンテストは、他のジャンルとの比較もするし、ハウスだけのかっこよさを押し付けたところで、勝てるパフォーマンスになるかどうかは確信がない。あそこはクラブとはまた違ったかっこよさがあるからね。そういう意味でスカッとパワフルに終わろうと思った。

あの4曲目にはいろんな面白い音の要素があって、かなり切り貼りしたんだけど、あれだけ遊べる音があったから、それでインパクトを与えられたら絶対優勝できるだろうと思った。これで優勝できなければ、俺ら終わってるなって思った (笑) 。

藤田

僕らも映像を当てはめていくイメージを持ちながら撮影しているので、「あ、イケる」って思える。ダンスを始めたばかりの人は、音の編集の段階でHIROさんと同じように起承転結をつけたり、ここであの振りをやろうっていうイメージはできないと思います。

HIROさんもダンスありきでの音の組み立てをしてたから、具体化していく作業が上手くいったんでしょうね。移動とか、止まるところ、イントロから終わり方までの空気とか、全部含めて踊りなんだよっていう感覚になれる人は少ないのかなと思います。それによって、洗練された作品の価値が出てくると思います。そういうコメントを審査員には言って欲しいですね。

HIRO

ただ、ジャパンダンスディライトに関しては、出てるダンサーのレベルが高すぎて、俺だったら言えない (笑) 。純粋にいいショーだったかどうか、自分が好きだったかどうかなら言えるけどね。

でも、最近海外に行くようになって思うのは、日本のダンスは含みを持たせすぎ。

俺は評論家になれないから上手く言えないんだけど、かっこよさにもいろいろあって、その人の中でのかっこいいっていう概念がダンスにあるとは思うんだけど、海外で感じるのはそういうのを取っ払ったものが、絶対“いい”んだよね。説明できないから“その感じがいい”っていう感覚でしかないんだけど、いいものはやっぱりいいんだよ。

それを表すための手法が、俺たちの場合はハウスの動きの組み合わせでしたっていうだけで、最近は、言ってしまえばもはやハウスではない。

これは、ハウス自体がそういうものになってきちゃってるからだと思う。ジャッキングも含めて、俺らが今まで思ってたハウスじゃないものがハウスに入ってきてる。今までのハウスのイメージは、サラッと流れて、綺麗にターンして、ゲッダウンして、立ち上がってステップを繰り返します・・・っていうイメージ。そこに、最近は日本や海外のバトルやショーを見てて、みんながイェー!って反応するのは、ブレイキンやヒップホップなどのトリッッキーな要素の部分。

オリジネーターの人たちもそういう動きになっているし、シーン全体の流れの中で、ディライトでの俺らの中にも、自然にトリッキーな要素が入ってきてるし、ハウサーが想像しうる限界の動きを詰め込んだ。あくまでもストマックまでいったとしても、シックスステップにはつなげません!みたいな (笑) 。

使いたい動きはあるんだけど、そこにつなげるためにどうもっていくか、すごく悩んだ。4カウントのためだけに、二日間かけたりもした。「これはハウスっぽくないんじゃないか」ってもめたりもした。だけど、ニュースクールっぽいかっこよさというか、型が決まってない自由な感じのかっこよさは残しかかった。インパクトがあった後にも流れが続く、そこが立ち踊りの魅力というか、俺の思うヒップホップやハウスの良さはそこにある気がする。

アニメーションやキャラクターになりきってネタとして踊るのと、ただじっくりファンキーに踊る違い。全部がネタって感じにならないために、あえて今回のDVDにもあるような基本的な動きを二回繰り返したりしたのは、今までなかなかやらなかった要素かも。

勝つこと。


HIRO

勝つことに意義があるけど、それが俺たちの中では得ではなかった。お金になるわけでもないけど、それを度外視してでもいいっていう感じだった。

ショウタイムは、ブッキングされて、お金が発生するから、それに対してモノを創るモチベーション。そのネタは対価への準備でしかない。

コンテストは俺らが嫌だったらやらなくてもいい。出る義務はない。けど、だからモチベーションが上がった。「自分たちの意思で出てみよう」と思って準備していったものを最後にディライトの決勝の舞台で出したかった。

井爪

やはり、勝ちたかったですか?

HIRO

みんなそれぞれのスタンスで勝ちたかったんだと思う。

俺は歴代の優勝者たちと海外に行ったりするけど、彼らはちゃんと作品を創って優勝してる。

俺たちにもいくら影響力があったとしても、同じ次元で作品を創って評価を受けた事実がなかったことで、やっぱり俺の中で引け目を感じてた。それだけ優勝者たちのレベルが高いことも知ってたし、優勝しなくてもすごくいいショウがある。その中でも、票を集めて優勝するのは並大抵のことじゃない。

そこで優勝しているか、していないかで、説得力に違いがある。「決勝出場」は毎年30チームくらいが経歴に書けるけど、「優勝」は毎年1チームしか書けない。その二文字はでかい。

俺がただイメージして伝えてあげることに、俺に説得力がなければ、ただ一個人の見解でしかないし、実績がある人の意見だと、「あ、この人は自分たちのことを思って言ってくれてるコメントなんだな」って思って聞いてもらえると思う。そういう思いもあったから、優勝したかった、っていう想いもあったね。

あとはやっとこれで裏に回れる。自分がガンガン出ていくだけじゃなくて、こういうレクチャーDVDとか、イベントを運営するとか、そういう場を作る方に回れる、その転機が欲しかった。だから、すごく良かった。

ダンスという素材でアーティスティックにどんどん料理して欲しい。


井爪

今作では今まで以上にソロの見え方がかっこよく撮れていると思います。

HIRO

確かに。今回のソロは、みんな力まず、リラックスしてた。今回はなんとなくこう撮られてるんだろうなっていう感覚があったから、ここはこういうテンションで踊った方がいいのかなっていう自分たちの中での配分ができた。

ダンサーはいいダンスを提供して、内容の提案もできるけど、映り方や編集は制作側のセンスに委ねる。俺らの要求をゴリ押しして作るのではなくて、本当はこのスタンスが理想だと思う。今回はダンサーが提供した素材も、制作側が担当した料理の方法も良かった。

俺の中での理想は『ALIVE TV』なんだよね。あれは、編集した人のセンスがすごい。実際、クラブや適当なロケーションで撮りっ放しで撮った膨大な映像素材があって、やばいムーブもたくさんあった、その中から、なぜあそこを選んだのか・・・あれはダンサーの観点ではないと思う。子供のバスケの映像とかも入ってるし、そうやって完成した30分が、実際にこれだけ多くの人の印象に残って、彼らを現在の地位にまで押し上げた。あの音といい、カットのタイミングといい、トータル的なかっこよさは超バッチリ。だから、俺の中でのダンスの映像作品の究極は、映像クリエイターの人に任せたいと思う。

井爪

もっと撮る側にもダンスの演出を考えられる人たちが増えればいいんですけどね。

藤田

僕の衝撃は映画の『フラッシュ・ダンス』だったんですけど、あのすごさは、あえてブレイクダンスと一切説明していないところ。

HIRO

あのいちエキストラである彼らのあの数分間によって世界に衝撃を与えるなんて、誰も思ってなかっただろうね。俺も、『ALIVE TV』を予備知識を持って見たわけではなかったけど、単純にかっこいいと思った。マークエストの革ジャン姿とか、あの家の感じとか。

マークエストが玄関で踊ってて、家の前と外側に柵があるのに、あえて柵の外側から撮ってる。でも、ああやって撮ってるのがすごくかっこいい。それは、演出する側の器量。

勿論、今できる範囲でいいから、背景やライティングや撮り方なりで、ダンスという素材でアーティスティックにどんどん料理していって欲しい。アートとしての被写体としても、実験する機会がいろんな人にいっぱいあるといいね。

次世代へ。


HIRO

そういう意味で、今3年くらい関わってるダンス連盟の子たちを見てると、もっといろいろ吸収して欲しいなって思う。

ダンス連盟という会社を同年代の自分たちで運営して、作品を創って、そのノウハウを自分たちの今後の社会生活に生かしてる。それって新しいダンスへのスタンスだと思う。あの世代で何かを発信したり行動するときに、組織としての動きがわかった子たちがいてくれると新しいことが実現できる。

ダンスも映像も同じかもしれないけど、誰も現状に反旗を翻す人がいないんだよね。だから結局、こんなに情報化社会が普及してるのに、テレビでPVが流れる機会が少ない。だから、海外に比べてダンサーもPVに出る機会が少ないのは、日本の特徴だと思う。中国とかエージェントがあって、どんなにしっとりした曲にも必ずダンサーがつくらしく、お金もいいからそれだけで食べていけるらしい。日本には唯一そこだけが育ってない分野だね。

ただ、日本はパフォーマンスというよりも生演奏を優先させているから、バックダンサーよりもバンドが主体でツアーを回ったり、テレビに出たりしてるんだろうけど、実際あんなにテレビで生演奏がフューチャーされている国は日本以外はあまりないと思う。

海外は世界観をPVで出していて、ライブではパフォーマンスをしてるから、日本はそれが弱い。だから、ダンサーにそのチャンスが恵まれていないっていうのもあると思う。デジタル放送になったら、チャンネルの間口が広がるかもしれないから、そうなったときにダンサーのニーズが増えたらいいけどね。

HIRO's Vision


HIRO

ボーダレスなダンスのサイトを作りたいなって今は思ってる。また、やることやって、説得力があることをしていきたい。やっとある程度は俺もいろんなことができる立場になったかなと思うから、いろんな分野の人と接点を持って行動していきたいね。

“接点を持つ人”と“ダンスをする人”、普通はどっちかに強くなっちゃうと思う。その両方のバランスを保つために、自分のダンスをプロデュースしなくてはいけない。頭を使わないと考えられない。それができる人がたくさん増えていってくれたらいいなと思う。

そういうモデルケースをもっと増やしていけるといいかもね。俺とか、AKKOとか井爪君もそう。代々木のコミュニティを築いたSYMBOL-ISMもそうだね。とにかく今までと違う活動をちょっとずつしていったほうがいいと思う。

もっとプレゼン能力があるダンサーが増えていくといいね。自分たちでハンディカメラを持ってDVDを撮るのもアリだし、MIX CDじゃないけど、自分たちのダンスを収めたMIX DVDを作るとか、日本でそういう活動をしてる人は少ないと思うから。海外はマイスペースとかで動画をアップしてるし、プロデュース能力は進んでる。そういうバイタリティーがあるんだよね。

日本人は気も使って、言葉の問題もあるけど、これからの世代の子たちはそれができると思う。英語もわかるし、頭もいい。今までのお酒やクラブしか知らない、税金のこともわからないダンサーの時代は変わったから。それを早く引っ張ってあげて、育ててあげた方が、自分たちも安泰だからさ。

あとは、今、STEZOと毎月第2木曜日にaxxcisでRAISE UPをやってるけど、少しずつでいいから、毎週どこかでダンサーが集まるレギュラーの帯をダンサーがたくさん持ってくれるといいな。
'09/03/31 UPDATE
interview & photo by AKIKO
関連Topics
[TDM SHOP] ダンス・スタイル・ハウス
[TDM SHOP]
『ダンス・スタイル・ハウス』

ここがハウスの入り口だ!


Back Number