TDM - トウキョウダンスマガジン

Blue Print Vol.3. 『DORON!』特集 〜 踊×演×笑 〜
Blue Print Vol.3. 『DORON!』特集 〜 踊×演×笑 〜
ダンサーの活躍する現場が広がる。舞台作品で活躍するダンサーが増えてきている昨今。舞台と一言で言っても、コンテンポラリーなどの舞台芸術から、ミュージカル・演劇と幅広い。Blue Printはお笑いの要素=喜劇をベースにダンサーが役者となって繰り広げていく物語。心情や日常の動作を可笑しく表現する時に、日本のトップダンサー陣のダンスが、枠にとらわれない方法で活きてくる。セリフあり、アドリブ満載!?ダンスが心地よいスタンスで織り交ざった、笑い満開な舞台!

●Blue Print(ATSUSHI, JUN, TATSUO, MAEDA[L→R])

BluePrint=青写真・設計図
2012年、ダンサー・振付師として活動中のJUNを中心に結成。メンバーは各ジャンル(ポップ、クランプ等)で活躍中のダンサーと劇団SETで役者・振付師(大小)として活動中の大竹浩一で構成される。作家には舞台脚本家、放送作家としても活動中の西条みつとし、演出には自身も役者として活動しながら外部作品も数多く演出している劇団SETの大関真を迎え、ダンスパフォーマンスに捉われない演劇的作品を創作。芝居を中心とした内容にコメディやクオリティーの高いダンスパフォーマンスを取り入れ、総合エンターテイメントな作品創りをコンセプトとする。


JUN

SMAPや嵐、SPEEDや倖田來未など人気アーティストのステージや、『劇団スーパー・ エキセントリック・シアター』などの舞台の振り付け、さらには日本に初めてカポエラを伝承するなど、多岐にわたって活躍するダンサー/振り付け師。6月21日〜熱海 五郎一座10周年記念公演(サンシャイン劇場)にて振付を担当。

●TATSUO

オリジナルハウススタイルを確立したGLASS HOPPERのリーダー。SPEECH、MISIAなどアーティストサポートや、日本のみならず世界各国のコンテスト・バトルで数多くの賞を獲得。国内外のワークショップ、舞台演出など、幅広く活動中。

●ATSUSHI

1997年からダンスをはじめ、AFROISMやユニットなどでダンスイベントに多数ゲスト出演。安室奈美恵、ナオト・インティライミなどアーティストバックアップ、映画 、舞台、TV、CM出演、また最近ではオリジナル動画を作成し、類希なる個性を公開するなど多方面で表現活動をしている。

●MAEDA

KAMIKAZE CLOWNZ として活動。 LAにてHIPHOPCLOWNZとして本場のクラウン活動をし、バースデーパーティーやスクールツアー などをしながらロサンゼルス各地を回る。 現在は芝居や舞台などにも出演をしクラブシーン以外の活動の幅も広げている。

ストリートダンサーによるコメディ演劇集団。

TDM

今回はダンス公演とは謳ってないんですね。お芝居になるということですか?

ATSUSHI

ダンスもありますけど、パフォーマンス色が強いような気がしますね。

JUN

うん、パフォーマンス・コメディみたいな感じかな。今は基本的にはコメディだから。Blue Printっていう団体がどう進むかというのは、まだ今回で3回目なので、まだ決まっていない。

でも、みんなダンサーで芝居とか表現することが好き。ダンサーの表現は身体を使ったり、歌手は歌ったりしますが、いろんな表現をできるようになって、すごく幅を広げていければすごくいいなと思って、それに興味を持ってるダンサーたちの集団です。

ダンスの表現だけでなく、たとえば、しゃべることも好きだし、将来的にはいろんな表現ができる人になりたい。そういった想いを持っているダンサーの集団というのが、俺のイメージです。

TDM

そもそも立ち上げたきっかけは?

JUN

JUN俺はMeltin' Potをやってて、それもダンサーの集団で、いわゆる、Blue Printと同じようなことをやってたんだけど、ちょっと俺がプロデュースとか制作とかすべてをやっていたことにしんどくなって、一時離れてたんだよね。

後輩たちはMeltin' Potの舞台を観てくれてて、特にKAMIKAZE CROWNSの連中が「ああいうのやりたい。芝居とかやってみたい。」っていう話をチラッとしてて、「本当にやりたい?じゃ、やろっか。」と。その時に、誰かが「あっ君(ATSUSHI)もそういうのに興味があってやりたいって言ってました!」と。

そんな流れがあって、KAMIKAZE CROWNSとあっ君と俺、あと、役者の大竹と大関を入れて、ひとつ作ろうかとなったのが始まりです。

ダンサーでもそういういろいろな可能性を目指してる人たちが、俺たちの舞台を観て、一緒にやりたいなって思ってくれれば、俺は全然ウェルカム。タッちゃん(TATSUO)も1回目の公演を観た後に声をかけた時は、「俺はちょっと無理です。」だったんだけど、2回目を観た時に「やったことないんですけど、ぜひやりたいです。よろしくお願いします。」って自分から言いに来てくれた。だから、今回一緒にやることになったんだよね。

「ダンスとは全然違うんですけど、本当にやって良かったなと思います。」


TDM

実際に舞台に立ってみて、どうですか?ダンスだけの表現との違いや、それによって変わったことはありますか?

MAEDA

MAEDA僕は、もともと高校時代に演劇をずっとやっていたので、お芝居が好きだったんです。ダンスをしながらもお芝居も観にいったりしていました。

でも、なかなか、自分でやる機会がなかなかなかったところで、僕らがやりたいと言った意思の元で、JUNさんが中心となってこういう機会を作っていただいて、やらせてもらっています。

今になって、いろいろやってきたものがつながったり、いろんな人からの刺激もすごく受けます。集まってるメンバーは先輩も仲間たちも本当にすごい人たちで、「自分もやんなきゃ!」って思わせてくれます。

踊りももちろんそうですし、表現の仕方が本当に全員違うので、「そんなところから、そうやってくるんだ!」みたいな。稽古で毎回笑っちゃいますし。みんな、おもしろいことをやろうとしてるわけじゃないのに…

JUN

いや、おもしろくやろうとしてるでしょ?

MAEDA

あ、そっか!間違えました!やろうとしてます!(笑)。

その一生懸命にやってることがおもしろくて、それを毎回感じられるってすごいなって。すごく楽しいです。

ATSUSHI

ATSUSHI僕のきっかけは、JUNさんから、「こういうことをやるんだけど、やらない?」と誘ってくれて、興味はあったので、やりたいなっていう想いはありました。でも、自分のチーム、AFROISMの活動があったので、最初は断ったんです。

でも、ちょっと考えて、やっぱりこういう芝居をやってるダンサーの集団ってないなと思って、誰もやってない新しいことをやるのが自分は好きなので。JUNさんも、「今回じゃなくても、観てもらって、次回からでも。」と言ってくれました。

ボブとかも、「あっ君がいてくれたらいいな〜」って言ってくれて、それで考えて、“今やらないと後悔しそうだな”と思いました。

実際にやってみて、他のメンバーも知ってたし、知らなかった方ともすごく仲良くなって、大関さんや、大竹くんからも芝居をすごく教えてもらっています。大関さんのことは師匠と呼んでいます。

TDM

ダンスとは全然違いそうですね。

ATSUSHI

全然違いますね。ダンスはずっとやってきてるので感覚的にわかっているから、練習の時に手を抜いても、本番はできたりすることもあるんですけど、芝居は手を抜けないです。、テンションが低いとできないので、常に上げておかないと、できない。落ち込んでたらできないんです。

でも、この団体の雰囲気が毎回良くて、創ってる最中もギスギス感もないし、本当に稽古中の笑いが絶えないし、10〜12時間とかやっても、全然苦じゃないです。しかも、本番も楽しくできるし、ダンスとは全然違うんですけど、本当にやって良かったなと思います。

「仲良さそうでいいね!」みたいなものがステージから出てると思う。


TDM

うまく芝居をするために、何か勉強することってありますか?

JUN

そりゃ、発声からだね。本番は半年に1度やってるけど、本番のためだけに集まってるんじゃなくて、週に1回は必ず集まって、大竹や大関が台本を用意してきて、発声から演技までのワークショップをずっとやってるよ。

2回やっただけだけど、みんなうまい。もちろん、役者さんほどまではいってないけど、はじめたばっかりの頃から比べると、ずいぶん変わってきたって演出の大関も言ってる。

でも、なんでもそうだと思うけど、お客さんの前での本番をやらないと、空気感はわからない。うちの団体はそれを楽しんでやってるというか、本当にね、悪い雰囲気にならないんだよ。本当にね、すごくみんないいんだよね。

なんだろう・・・みんな一生懸命なんだよね。創ることに対してもそうだし、身体もみんなたぶんきついのに、一生懸命なのが伝わるんだよね。

きっと、お客さんにもこのチームの空気が伝わるから、おもしろがってくれるというか、そこがうちのいいところなんじゃないかなと。すごくかっこいいとか、すごくスキルがあるとか、そういうのじゃなくて、「仲良さそうでいいね!」みたいなものがステージから出てると思う。

タッちゃんは過去2回とも観てるから、それをすごく言ってくれた。空気がすごくいい感じだって。

TATSUO

ATSUSHIいやー、でも、一緒にやりたいって言ってもらえて嬉しいですよ。でも、“やりたい!”って気持ちと、“この中に入ってやれるのか?”っていう気持ちでしたね。

あんなにおもしろいあっ君とかを見せられて、“こんなに芝居ができるのか!”って見せられた上に、さらに、2回も本番をやっている団体に飛び込んでいくのは、すごく悩んだけど、“こんな素晴らしい中に入れたらおもしろいだろうな”って思いました。


JUN

でも、今回タッちゃんのセリフ、めちゃくちゃ多いもんね。あっ君より全然多い。よく頑張ってるなって思うよ。ま、でも、MAEDAが1番多いけどね(笑)。

ダンサーが生きていくための枠を広げる。


TDM

発声だけじゃなく、表現の仕方も教わるんですか?

JUN

初演の頃は教えてくれてたし、ワークショップでは「ここではこういう表現もあるよね」って提示し合ったりするけど、もう3回目だし、うちの演出家はその人が思った表現の仕方や笑いの間とかを、「そっちも正解だし、こっちも正解だし、どちらもあるよね」っていう作り方をしてるから、いじっていじって、いろんなキャラクターを試させる。

TATSUO

客として観にいった時に、いろんな舞台を観たものじゃないおもしろさがあるなって思った。今、演じる側の中に入って稽古をしてると、“芝居とはこうです”ではなくて、“ブループリントはこういう形でいきましょう”みたいなものをちゃんと大関さんがわかってるのか、みんながそういう風になってますね。

JUN

“どうやろうか、何を売ろうか、うちは何が売りなのか、ターゲットはどこなのか”という戦略の話なんだけど、今まで2回やってみて、ハチャメチャやって、みんなで汗かいて、必死になって走ってる一生懸命な親父たちみたいなのがすごく伝わるのかなと。

ただ踊るんじゃなくて、シチュエーションの中に踊りがあったりだとか、踊りが前振りになって、落とすシーンがあったりだとか、そういうのをいつも考える。ただ、“踊りました、芝居をやりました”っていうのはあまり好きじゃなくて、それが全部融合しているひとつのエンターテイメントになっている。

これは、たぶんだけど、ストリートでこういうコメディをやっている団体はきっと日本でうちしかいない、 という風には思ってる。

TATSUO

その新しさがいいんですよね。「他で観ないな、コレ!」って思いました。

TDM

近年、クラブシーンから舞台にいく機会が多くなってきてて、私は今まで芝居を観てこなかったので、わからないけど、でも、“ダンサーが踊るんだったら観にいきます!”ってダンサーならそこから足を運ぶようになったと思うんです。それが、「おもしろかった!」となった時に、ダンスシーンと同じように演劇のシーンで生き残っていくやり方が確立されていくことも素晴らしいことだと思います。

JUN

うん。俺がいつも言うんだけど、キッズを含めて、ダンス人口がすごく増えたでしょ。でも、枠が狭過ぎる。バックダンスなのか、クラブなのか、ダンサーの職業とか、食べていく方法の枠が狭いと思う。

でも、こういう活動をすると、ダンス以外のことに広がっていく。そして、それは多いほうがいい。

夜中のクラブシーンだと、一般の人は行けない。こういう舞台を昼間にやっておもしろいと思ってもらう機会がたくさんできたら、たとえば、オフブロードウェイみたいに、芝居だけでもいいし、俺はダンスが主軸の舞台をやっていきたいけど、ストリートダンスとか、アングラでやってた奴らがおもしろい舞台をやることが広がって、観る環境があって、それで食べていけて、そこからスターが出て、テレビに出たり映画に出たりしてもいい。

やっぱり、ダンサーからスターが出たらいいなと思う。もちろん、タッちゃんとかバトルでのスターはいるけど、それがもっともっとメジャーになっていけたらいいと思う。増えれば増えるだけ、おもしろいことを見れる環境が広がるじゃない。広がっていって、1個大きなムーブメントが起きたらおもしろいなと思うけどね。

芝居をウェーブにたとえると・・・?


TDM

ダンスと芝居の違いや共通点はありますか?

ATSUSHI

結局、基礎があって、個性があるというところでは一緒かなと思います。個性だけなら伝わらないし、基礎やスキルだけがあっても、個性がないとおもしろくないとか。

TDM

お芝居の基礎って、発声のほかにはどんなことがあるんですか?

JUN&ATSUSHI

わからないです。

全員

(笑)。

TATSUO

胸を張って「やった」とは、あまり大きな声で言えないけどね(笑)。

ATSUSHI

基礎をやって、「はい、本番!」みたいな(笑)。


TATSUO

ウェーブのやり方だけ教わった、みたいな(笑)。

Blue Print Vol.3. 『DORON!』特集 〜 踊×演×笑 〜

ダンサーが生きていくための枠を広げる。


JUN

そのウェーブを“自由でいいから好きにやってみて”みたいな(笑)。

TATSUO

“それはそれで、個性のあるウェーブになっていいんじゃない?”みたいな(笑)。

TDM

なるほど(笑)。興味があるほど、うまくなっていきそうですね。

JUN

そうなるだろうね。ダンサーって比較的、人前でしゃべるのが苦手な人が多いでしょ。でも、やると、結構できるんじゃないかなって思っちゃうんだよね。そりゃ大変だけどね。

役者も言ってたけど、ダンスとか歌を1からやるほうが難しいと思うよ。スキルだから。芝居って、普通に生きててしゃべってることだから。

TATSUO

ということは、逆に言うとジャッジも厳しいということですね。

JUN

もちろん、厳しいね。

でも、ダンスがうまい子は芝居もうまいと思う。表現をしてるから。ダンスのテクニックだけある人よりも、表現者としてやってる人は、しゃべっても何しても、表現はできると思う。

でも、芝居は超深い・・・超難しいよ。

「こういう人たちが、もっと世の中に出ないといけないなって思う。」


TDM

前回を拝見しましたが、昔から私もあっ君のおもしろさを知ってはいるけれど、あそこまでおもしろく使われるとは思ってなかったです。

全員

(笑)。

JUN

あっ君は、おもしろいもん。ボブとあっ君は好きにやらせてる。ほったらかされてるもん。演出をそんなにしない。それで、演出家はずーっと笑ってる。

ATSUSHI

全然言ってくれないんですもん。ダメ出しもない。


JUN

おもしろいんだもん。ダメ出しされるのはMAEDAばっかりだね。

全員

(笑)。

ATSUSHI

いろいろMAEDAは試されてるから、逆にいいなーって思う。

JUN

そうだよね。稽古つけてもらってるわけだし。あっ君は稽古つけてもらえないもんね。

MAEDA

JUNいやいや、逆にあっ君の素材が羨ましい。

ATSUSHI

俺はどうしたらいいのかわからないもん。何も言われないから。

MAEDA

その状態がすごくいいから、いいなって思う(笑)。

ATSUSHI

そういうことなのか・・・。

TDM

JUNさんから見た、みんなの魅力を教えてくれますか?

JUN

みんな、器用だと思う。俺は不器用だから、みんないろんなことをやれてすごく器用。演出家がパッと言えばすぐ出してくるし、「こうやって」って言ってもすぐ返してくれる。瞬時にできるから、すごいなって思う。

そして、みんなそれぞれ個性は違う。みんな、おもしろい。だから、それが、バラバラにならないで、融合して、そこでコメディが入って、振付が入っていくから、観てる人はおもしろいんじゃないかなって思う。

だって、やってて自分たちがおもしろいもん。俺もたまに他の舞台とかにも出るけど、“この人すげー上手い!”と思っても、なかなか“おもしろい!”って思わないもん。腹抱えて笑うってあんまりない。でも、ここ、あるのよ。「ばかだな〜!」ってのがあるのよ。基本、それはあっ君だけどね。

全員

(笑)。

ATSUSHI

あ、はい(笑)。

JUN

この人はやばい。たまんないね。

TDM

いや〜、あっ君のダンサーだけではない、正しい才能の使い方だと思います。

ATSUSHI

そうですか?そう言ってもらえると嬉しいです。今までふんどしの映像とか撮ってきた甲斐があるなって。

全員

(笑)。

JUN

こういう人たちが、もっと世の中に出ないといけないなって思うよね。でも、あと何年後かにはそういう風になっていくんだろうなって俺思うよ。特に、うちを続けていたら、この人たちはたぶんそうなるよ。

ATSUSHI

なりたいっすね〜。


JUN

舞台を観にいくと、おもしろいものもあるけど、おもしろくないものもある。いいのに、もったいないなーって思うことが結構ある。

でも、俺なんかはこれを楽しくやれてて、お客さんが楽しんでもらえれば、それでいいかなと思ってる。お客さんが楽しんでもらえないとどうしようもないからね。そこが1番。

舞台はナマモノ。


TDM

脚本は毎回書いてもらってるんですか?

JUN

JUN書いてもらったものを演出するよ。一応、作家にプロットまではいかないけど、イメージを伝える。今回は書いてもらいたい作家がいたんだけど、ものすごく忙しくて、1週間前にして、台本がまだ上がってないんだよね。残りは演出家がなおしてる。今から作らなきゃいけないことが山ほどある。

でも、前回もそうだった。本番3日前にセリフがめちゃくちゃ変わったんだから。

よく覚えられるなって俺は思ったよ。特にMAEDA、スゲぇと思った。グッときたもん。あの量はないよな〜。前回、冒頭のMAEDAの長ゼリフがあったでしょ、アレが追加になったの。あの量の変更が3日前に来たら、泣くよ。俺は絶対いやだ。

MAEDA

そんな変更、ありましたね(笑)。

TDM

基本的な質問でごめんなさい。セリフはどうやって覚えますか?

MAEDA

ひたすら読んだり、動きをつけながら読んだり、“この人がこう言ったらこれを言う”とか、全体的にその話の流れが理解できてれば、いきなり忘れても、“こう言われたから、こう返そう”ってなります。

TDM

覚えるのって、大変ですよね?

JUN

超大変だよ。俺はいやだよ。絶対いやだ。全然覚えられないもん。覚えるのに時間かかるのよ。

でも、ダンスのルーティンと同じだよ。セリフもとにかくしゃべる。繰り返し繰り返し。ダンスも覚えるために練習を何回もするじゃない?

MAEDA

やってるうちに自然にセリフが入ったりしもしますね。会話のやり取りをやってる間に、リズム感だったりもありますし。

TDM

でも、ダンスは間違っても曲は進むけど、セリフは間違ったら進まないですよね?

JUN

いや、進む、進む。セリフは飛ぼうが、何しようが話は進むから。つじつま合うから。お客さんにはわからないように。

ATSUSHI

進めなきゃいけないですよね。噛んだりしたらわかると思いますが。

TDM

「あ!お前、今、間違っただろ!」ってなったらどうするんですか?

JUN

そこは、助け合いだね。

ATSUSHI

JUNすごく助けられた時もあります。

前回の「死神パレード」のときに、いつも稽古でこんがらがる言葉があって、それを本番中でも、こんがらがっちゃって、がっつり噛んじゃったんです。 そこで俺は、「ん、ん〜!お腹が痛い…」みたいな感じになって、みんなが、「ん!?どうしたんだ!?」みたいになって、「もう1回やっていいですか?」って本番中に言いました。

全員

(笑)。


ATSUSHI

もう、どうしようもできなくなったんで。でも、そしたらそれがウケたんで、それはもう、助かったんですけど。

JUN

あの時、超おもしろかったなぁ。

MAEDA

あっ君のキャラがないと無理でしょ。

ATSUSHI

そうそう、変なキャラだったから良かったんですけど。

JUN

「もう1回いいですか?」は、すげーよなー。

TATSUO

それ、なかなか成立しないっすよね(笑)。

MAEDA

しかも、ひとりしゃべりのところだったよね。

JUN

そうそう、ひとりで崩れて・・・

MAEDA

ひとりで立て直した(笑)。

全員

すごい(笑)。

ATSUSHI

あれはもう、助かりました・・・。

TATSUO

ATSUSHIお前、天才だな〜。

JUN

でも、みんなそんな感じ。間違ようが、何しようが、憎めないキャラというか、お客さんに愛されるキャラというか。それは、楽しんでもらえるよね。間違えても、噛んでも笑ってくれるとか、ほのぼのしてくれる感じの空気感はある。

だって、お客さんはこの人たちのまじめな芝居は観にきてないもん(笑)。芝居にそんな期待してないでしょ。

前回の初日には、でかいカバンがバキって折れたんだよ。「あれ?折れてます。」みたいになって会場大爆笑。犯人は演出家の大関だからね。「あーあ、折れちゃった。」みたいな(笑)。

そういうことも舞台なんでいろいろありますよ。それが、インプロではなくて、バトルみたいなフリースタイルでもなく、芝居は全部にセリフがある。でも、生ものの感じに見える時もある。

Blue Printの創作方法。


JUN

気持ちの作り方みたいのがあって、まずはキャラクターがふゎーっとしてて、どこに持っていこうかなと考える。台本に設定は書いてあるんだけど、自分は何歳くらいの設定で、どういう人間で、その奥のバックボーンがどうなっているかのイメージがないと、“この人はこういうことするのかな?こういう発言をするかな?こういう時にこれを聞いてる人かな?そういう人じゃないのかな?”みたいなものが見えてこない。それが見えてくると、そのキャラクターがもっと浮いて見えてくる。

そこでキャラクターがぶつからないように、いろんな人間がひとつの場所に集まって、こういうコメディが生まれる。そんな風に創ってるから、いつもみんなと話がしたい。通しをやってからでも、いろいろ変わるからね。台本通りではなく、そういう創り方をしてる。

創り方は団体によって全然違うと思うよ。その場で、やりながらセリフをあててく人たちもいるし、セリフ通り“てにをは”まで完璧にしゃべらなきゃいけないところもある。でも、うちはそれはない。てか、無理。進まない(笑)。


TDM

演出や脚本の役割は毎回変わるんですか?

JUN

演出家は大関だから、演出家は俺たちのことをよくわかってる。もともと、大関、大竹、俺でやろうとなった話だから。

脚本家を俺は知らないけど、大関はたくさん知っていて、ブリプリに合った脚本家はこの人なんじゃないかなというのをちゃんとチョイスしてくれる。それで、書いてもらって大関がなおして脚色してくれる。そして、パフォーマンスはみんなで考えると。

本にはパフォーマンスのことはそんなに書いてないから、「ここに入れるね。」と、みんなで決めていく。

TDM

具体的にはいいダンスの入れ方を決めていく作業ですよね。

JUN

うん、それがうちの売りだからね。おもしろく入れたい。

芝居をウェーブにたとえると・・・?


TDM

踊りの舞台を作って通しをする感覚と、お芝居だと、作品が思ったより違ってくるのかなと。

JUN

うちの場合、違ってくるかもね。普通の舞台はあまりそういうことはない(笑)。本当はだんだん良くなってくけど、うちはどこかしらがいつもガタガタしながら進んでいくから、おもしろいんじゃないかな。ちゃんとした舞台を観にいく人には申し訳ないけど(笑)。

全員

(笑)。

JUN

俺が客なら、全部の回を観れるね。退屈じゃないもん。「どうなっちゃうの?」ってドキドキするんだよね。自分がやっててもドキドキしてる。

「あ、忘れた。どうしよう。次につなげなきゃな〜。」とか「違うこと言っちゃったなー。でも、つながってるなー。」とかよくあるよ。

ATSUSHI

それを袖で聞いててもドキドキしてますもん。「どうすんだ!?どうすんだ!?」って(笑)。

JUN

今回はタッちゃんドキドキするだろうなぁ。やばいと思うよ。ぜひ初日を観てあげてください!

TATSUO

いやいやいやいや(笑)。最近それはあんまり考えないようにしてます。もう、恐ろしい・・・(笑)。


TDM

では、これから観る方に、見所を!

JUN

何が見所だろう・・・あっ君がおもしろいとしか言えない(笑)。

TDM

また、そこに戻ります?(笑)。あとは、TATSUOくんの初芝居も、ですね。

JUN

そうだね。今回は、タッちゃんのセリフから始まるからね。

TATSUO

噛むんだろうなぁ・・・。


JUN

じゃ、「噛め、噛め!」って俺毎回言うね。

全員

(笑)。

TDM

TATSUO君と普段話してても、話したいことを理解しながら話してくれたり、噛んでるイメージもないけどね。

MAEDA

あぁ、確かに。流暢にしゃべるイメージはありますね。

JUN

でも、余計な動きが多い。

全員

(笑)。

TATSUO

そう、話す時に動いちゃうんですよね。止まってしゃべれないっていうことに気がつきました。

JUN

止まってしゃべったほうがいいんだよね。

TATSUO

止まると、頭も止まるんです。

JUN

ダンサーってそうなんだよ。俺も演技を教わってた時に、ダンサーってリズムでしゃべっちゃって、止まってスッとしゃべるのを練習したほうがいいよって言われた。

TATSUO

ジャッジのあとのコメントとかも、ずっと動いてしゃべってる。

JUN

それはダンサー特有らしいよ。役者はそういうのないんだって。

あとは、俺たち結婚式の二次会レベルのようなものだから、一杯飲んできてから観にきてもらってもいいよね(笑)。

全員

(笑)。

TDM

動いてしゃべってるか、乞うご期待ですね。本番まで頑張ってください。今日はありがとうございました!

interview & photo by AKIKO
'13/06/01 UPDATE
関連Topics

[TDM SHOP]DVD『LINKS』-sucreamgoodman in BROOKLYN
[PICK UP EVENT]
2013.06.06(Thu)〜09(Sun)Blue Print Vol.3「DORON!」

ストリートダンサーによるコメディ演劇集団。


Back Number