TDM - トウキョウダンスマガジン

HIP HOP STORY
ヒップホップという言葉は巷にあふれている。しかしそれは本当に伝わっているのか?ヒップホップとダンスとの関係は? KOOL HERC、BLOCK PARTY、DJ、ZULU NATION、GRAFITY、B-BOY、FLASHDANCE……..知っている人には今更なことだと思うが、今一度簡単にそのルーツをさらってみたい。

ヒップホップのルーツ
1960〜70年代のジャマイカで、ヒップホップの芽となるサウンドシステムが生まれた。自前のスピーカー、アンプ、ターンテーブル、ミキサーなどのセットを組み上げ、ヒット曲をプレイするパーティがレゲエ、それもダンスホールと呼ばれる独特の音楽の元になった。

それを体験して育ち、NYに移住して新たな形に発展させたのがDJ KOOL HERC(クールハーク)である。彼が作り出したブレイクビーツというアイディアはヒップホップの基本となる精神を内包している。

「ジャンルに関係なく自分のセンスでいいものを選び取り、それを組み合わせて新しいモノを作り出す」

その音楽はあっという間に発展し、スクラッチ、ループ、ラップ/MC、エアロゾールアートなどのの要素を吸収、その熱気の中で生まれたのがBREAKIN'である。ROCK
STEADY CREW、NEW YORK CITY BREAKERSなどの伝説が生まれ、独自の発展を遂げたB-BOY文化。一方で音楽としてのヒップホップはさらに異なる方向へ進化を続け、ヒップホップ以前のロッキン、ポップ/ブーガルー、ソウルダンス、レゲエダンス等の要素にニュージャックスイングのステップを加えたいわゆる「ヒップホップ」と呼ばれるダンスが生まれた。その基本的な精神は「自分のセンスで」いい動きを選び取り「新しいモノ」にまとめ上げるという点で、KOOL HERCが音楽の上で実践したヒップホップと共通するものと言えるだろう。

"B-BOYING"
「ヒップホップ独自、そして唯一のダンスとして生まれたBREAKIN'は驚くべき進化を遂げつつある。ストリートダンスの代名詞といっていいほど世界的にB-BOY/GIRL人口は多く、本国アメリカはもちろん、ヨーロッパ勢(特にドイツ、イタリア、フランス)の活躍には目を見張るものがある。」

"NEW JACK SWING"
「MC HAMMER、BOBBY BROWNに代表されるニュージャックスイングと呼ばれるダンスは特に日本のヒップホップダンスでは重要な位置をしめる。厳密に言えば、R&Bのダンスと言うべきか? 特に日本では独自の発達を遂げている。今ではTRANCE、BIGBEATにまでそのスタイルが広がっている。」

"N.Y. 〜1992〜"
「オールドスクールを取り入れた新しいスタイルとして90年代前半から日本を席巻したNYのダンサー達。彼らは過去のスタイルすべてを貪欲に取り入れて来た。彼らがミュージッククリップ等のバックダンサーとして活躍したこと、音楽シーン全体がダンサブルな方向性に向かったことによって、バックダンサー需要は確実に拡大している。その一方でヒップホップダンスの「ショウダンス化」も進んでいる….?」

ハウスの向かう先は?
「あらゆるスタイルからその要素を取り込む」ということを今もっとも実践しているのはハウスのダンサー達だ。B-BOY達がここ数年急激に進歩させたアクロバティックな技はもちろん、リンディホップ、サルサ、ヒップホップ、ロック、ブーガルー等々、様々なダンスをまとめあげている。その意味ではハウスダンサーこそヒップホップの精神を受け継いでいるのだろうか?

ヒップホップはどうなる?
一定のスタイルもほぼ完成し、新しい動きのあまり目立たないヒップホップダンス。ヒップホップの音楽シーン自体が停滞気味だったこともあって日本のヒップホップダンサーは一気にトランス、ビッグビートと呼ばれる音楽に流れている。一方でBUTTER、HIPNOTIC BOOGIEのようにヒップホップであることを守りつづけるチームも負けていない。いずれにせよ海外との交流が盛んになった分、アメリカの真似をしていればいいという訳には行かなくなった。これから日本のヒップホップダンサーがどこへ向かうのか…….楽しみになってきた。

'01/07/01. UP DATE
文責:TDM編集部
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